こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
●「LGBTは生産性がない」自民・杉田水脈議員の寄稿文に、当事者団体が抗議
Twitterにて、
「LGBTは生産性がないとの差別発言をしている杉田水脈氏についてなぜコメントしないんですか?彼女と同じ意見ということですか?」
というリプライをいただき、下記のように返したらリプライ欄が荒れ気味になりました(しかも元ツイートは消されてしまった…)。
杉田氏の発言はまったく論外で、人権意識に著しく欠けた政治家としてあるまじき姿勢だと思います。本人の猛省は元より、自民党が党としての自浄作用を発揮してもらいたいところです。 https://t.co/N92GXDCXj3
— おときた駿(東京都議会議員 /北区選出) (@otokita) 2018年7月23日
おそらく私自身、無意識に
「また杉田水脈氏か…確信犯の炎上なので、話題にすれば喜ぶだけだろう」
「どうせ支持するのは一部の『ネトウヨ』層だけだし、あえて相手にしなくても」
と本件を避けてきていたのですが、そういう「ことながれ主義」的なスタンスこそが差別意識の生存に手を貸すことになるのではないかと思い直し、改めて筆を執るものです。
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すでに多くの方が指摘している通り、大前提として人間の価値を「生産性」で図ることほど差別的で、愚かな態度はありません。
それでも敢えてその議論に乗っかっていくならば、「政治家」という職業には生産性があるのか?という命題が降ってくることになります。
何かプロダクトを生み出しているわけではなく、所得の原資は税金。実際のところすでに杉田氏に対しては、「貴方のような生産性のない政治家にこそ、税金を使ってほしくない!」という声が溢れています。
しかし勿論、私自身も議員の一人として、「政治家」にも生産性や価値があると思っています。
政治の仕事は「再配分」です。税金という原資を再配分することで貧富の差などを調整し、社会を安定させることで生産性を高めていくことこそ、政治家の第一の職務であります。
この「再配分」は、主には社会的弱者に対して行われるものです。そして人間誰しも年を取り、また不慮の事故などでいつ自身が社会的弱者になるかわかりません。
そうなった時に、政治が社会的弱者を支援するからこそ安心して日々の生産活動に勤しめるわけであって、そうでなければ弱肉強食の世界になってあっという間に社会は荒んでいくことになります。
人の生産性だけにフォーカスしていった社会がどんな末路を迎えるかは、「優生思想」を体現したナチスドイツの歴史を辿れば明らかです。
現代におけるすべての民主主義政治家はこの反省の上に立っているはずであり、こうしたことをまるで理解していない方が「保守政治家」を名乗って代議士バッヂをつけていることには、極めて大きな不安を感じるところです。
人に対して「生産性」によって序列をつけて「再配分」から排除することは、政治家の自己存在の否定であり、職責の放棄であり、決してあってはならないことだと断言します。
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そして昔から政治家が「炎上」するたびに述べていることですが、政治家が発言で「炎上」するのは、その背後に実はそうした発言を望む大勢の人々がいるという根深い構図があります。
過去記事:復興担当大臣炎上から学ぶ、政治家の失言構造
http://otokitashun.com/blog/column/3899/
一部の支援者たちに過激な発言をする政治家は熱狂的に支持され、批判を浴びながらも選挙で再選を成し遂げる例も少なくありません。
こうした状況との「戦い方」については、ライターの小池みきさんが素晴らしい文章でまとめてくださっています。
「生産性のない人たちの支援は後回しだ」とかいうスーパーむかつく思想との戦い方|小池みき
https://note.mu/mikipond/n/nd5ee09126075
表現や言論は自由ではありますが、こうした考え方には適切な形で批判を加えるとともに(脅迫などはダメ!)、社会に残っている「差別」と一人ひとりが闘っていかなければなりません。
本件については引き続き、私自身も地方議員の立場からしっかりと声を上げて参ります。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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