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児童相談所における「情報共有」の在り方、抜本的見直しへ。範囲拡大とICT化が実現

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

私の一般質問全文は昨日のブログにも全文を掲載しておりますが、トップに取り上げたのはやはり「児童虐待防止」についてでした。

大きく、

●情報共有範囲の拡大(警察との全件共有)
●児童相談所のICT化(紙・FAXをやめよう!)
●里親委託・特別養子縁組の促進

の3つについて。本日は前者2つを中心に取り上げたいと思います。

児童養護・社会的養護に関する過去記事はこちら⇓
http://otokitashun.com/tag/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%9A%84%E9%A4%8A%E8%AD%B7/

児童相談所と警察の連携については、私は従前の主張の通り、知事の政治決断で「全件共有」まで踏み込んで検討すべきだと求めました。

参考過去記事:
児童虐待情報の全件共有は「やるか、やらないか」ではなく、「どうやるか」を議論する段階に入っている
社会課題における「ボウリングのセンターピン」はどこにあるか問題

知事答弁は記者会見や代表質問でも言及していた通り、「ハイリスクな案件については全件共有」とするに留まりました。

情報共有範囲が拡大するのはもちろん前進ではありますが、

こちらの事例のように、児童相談所が「ハイリスクか否か」を的確に判断することは困難であり、少なくとも現行の体制ではほぼ不可能(これまでも実際に無理だった)と言えるでしょう。

情報共有範囲の拡大をあくまで「ハイリスク案件」に限るのであれば、人員増大・育成やガイドライン策定等をどのように進めていくのか、詳細な改善計画が必要不可欠です。

私としてはやはり、情報全件共有と児童相談所の体制強化は車輪の両輪として双方を同時に進めていった方が効果が高いと思っています。

虐待情報の全件共有・警察の介入範囲拡大については、福祉関係者や法曹関係者の間でも意見が別れているのは確かで、本件を取り上げてから多くの方に私もご意見をいただきました。

「警察の介入によって、保護者との信頼関係が崩れてしまう」
「児童相談所への相談のハードルが高くなる」

という声がある一方で、それらはあくまでエピソードに基づいた主観的なもので、データとして見れば負の影響は少ないとする指摘もあります。

10年前から全件共有を実施している高知県では、共有によって「相談件数が減った」という有意なデータは出ていないようです。

全件共有に踏み切る広域自治体は拡大しており、これからさらに定量的なデータ・調査結果が出てくることが期待されますが、果たしてそれまで待っていて良いものかどうか…。

こうした事案の最後は、やはり政治判断。

私は一人の政治家として「全件共有」に早期に舵を切るべきだと考え、その実施を都には引き続き求めるとともに、「ハイリスク案件の情報共有」がうまく稼働するよう引き続き注視・調査していきます。

そして児童相談所のICT化について。

さすがに都内の児童相談所では既にすべて重要情報はデータ化されているものの(まだ改善の余地はあり)、自治体を超えた児童相談所間のやり取りはFAXで行われています。

なぜこんな化石のようなオペレーションがまかり通っているかと言いますと、任意団体である「全国児童相談所長会」という組織の答申によるものです。

この組織会議の公式な議事録などは公開されていないのですが、

「自治体ごとの情報セキュリティ基準に抵触せずに送受信できるFAXで情報共有を行うこととされている」

そうで、要は全国で一番ITリテラシーの低い自治体・児童相談所の状況に合わせてこうなっているということ。

はっきり言って「どうしようもない」の一言です…。

もはやこの時代にITリテラシーが低いことは罪であるということを、これほど端的に表している事例はないでしょう。

このFAXからの脱却・ICT化を都から積極的に進めるべきだという質問に対しては、当初は限りなく後ろ向きな「ゼロ回答」が来る予定でした。

ところが最終的にはそれが変更され、

「国や全国児童相談所長会と連携して、ICT化を検討していく」

という、行政答弁としてはかなり前向き(やる方向)と言って良いものになりました。

予想外に良い答弁に素直に喜んでいたところ、翌日にこんなニュースが。

児相間の情報伝達確実に=ファクスからメールへ―厚労省
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180621-00000019-jij-pol

なるほど、この動きと連動していたのね…と納得した次第であります。

これも本日記者会見を行った「なくそう!子どもの虐待プロジェクト」を始めとする、世論が大きく声をあげてくれたからこそのスピード展開だと思います。

とはいえ、FAXの代替案として示されているのは「メーリングリスト」。

こうした民間からの素晴らしい提案とも、効果的な連動をしていかなければなりません。

連携の中核となる「全国児童相談所長会」には、東京都から代表して新宿の児童相談センター長も参加しており、そこから色々な方法を議論の俎上にあげることは可能なはずです。

私からも引き続き議会内外を通じて、効率的なICT化に向けた提案を行っていきます。

また、昨日取り上げた手話を用いての質問については、ありがたいことに映像ニュースでも取り上げていただくことができました。


音喜多議員 都議会で初の手話による質問

児童虐待防止も情報保障の推進も、世論の理解なくしては進みません。

世論を醸成し、またその声を議会を通じて都政に届けることに尽力していく所存です。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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