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地域住民や当事者からも反発の声…。環状二号線「同時開通」への重大な懸念

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

いよいよ本日で10月11日の豊洲市場開場まで半年間となり、各種新聞でもこれまでの取りまとめ記事などが掲載されているようです。

関連して今日は、予算特別委員会で質問したものの、まだブログで詳述していなかった「環状二号線(上り線)の先行開通」案について取り上げたいと思います。

築地市場跡地を貫く「環状二号線」は市場解体後、

暫定迂回道路

地上部道路

本線

という行程を辿って完成するということは、過日の記事で解説したとおりです。

このうち最初の、築地市場跡地の外周を沿うようにして通る予定の「暫定迂回道路」は、築地市場閉場後から約2ヶ月後を目処に開通させるとされていました。

ところが予算審議の最中である3月23日、日経新聞にこのような記事が大きく掲載されることになります。

環状2号上り線の先行開通検討 都、2カ月前倒しへ
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28475790T20C18A3CC1000/

一部の水産業者(仲卸業者)からの要望を受けて、この暫定迂回道路の「上り線」のみを築地市場閉場と同時開通させることを都が検討しているというのです。

これには築地市場の関係者や地域住民から強い反発が出ていることを、「都政新報」の最新号が詳報しています。

場外市場とも取引が続く事業者たちにとって、築地~豊洲間のアクセスは重要ですから、もちろん早期に開通できればそれに越したことはありません。

しかしながら、「築地閉場と同時に、暫定迂回道路を開通させる」のを実現するためには、言うまでもなく営業中の築地市場の中で工事をスタートさせる必要があるわけです。

「下り線」については青果事業者の敷地に直接抵触するため、検討の遡上にすら上がらなかったようですが、「上り線」の方だけでも工事をスタートすれば、水道や電気、あるいは交通導線などに多大な影響が生じ、築地市場内の機能が低下することは間違いありません。

それだけのハンデを負って「上り線」を先行開通しても、恩恵を受けるのは一部の事業者に留まることから、「事業者から要望があった」とはいえ、それは築地市場関係者の総意ではないことは明らかです。

むしろ私のところには、「80年以上の歴史を紡いできた築地市場なのだから、最後まで全力で営業したい」と、この同時開通計画に意を唱える当事者の声が多く届いています。

加えて、地域の意見も重要です。

これまで築地~豊洲エリアの地域住民の皆さまは、移転延期に伴う環状二号線の度重なる計画変更に振り回されてきました。

上下線はセットで開通させ、晴海通りの渋滞緩和等につなげる」

ということが約束で落ち着いているのに、そこにきてまた「事前相談なし」でこのような計画変更の検討、そしてそれが大きく報道されたことで、地域の中で動揺が大きく広がっています。

つまり、現状を図解するとこのような状態です。

小池知事としては、「事業者の声に応えた」ことを演出し、環状二号線に関する失政を少しでも取り繕いたいのだと思います。

しかしながら、一部の業者の声だけを論拠に突き進むことは、これまでの合意事項を再び壊すことになりかねず、極めてリスクが高いと指摘せざるを得ません。

予算特別委員会の質疑においては、冒頭の日経新聞報道のベースとなった上り線先行開通の「素案」について、建設局長が

「決定されたものではない」

と答弁することによってその存在を認めたわけですが、それが予算審議中にリークされて報じられる情報管理についても大きな疑問が残ります。

私からは質疑を通じて小池知事に、事業者や地域の声・事情を「鳥の目」で俯瞰し、全体最適を考えた慎重な判断をされることを要望しました。

「根回しなし」の正面突破体質は小池都政の(ある意味では)長所であれど、これ以上「思いつき」で現場に混乱をもたらすことは避けなければなりません。

引き続き事業者・地域の皆さまとも意見交換を重ねながら、本件についての提言を続けて参ります。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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