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「リスク」を正しく政治判断する重要性。HPV(子宮頸がん)ワクチンから政治は逃げてはいけない

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

新年会シーズンは続き、本日は東京都北区医師会の賀詞交歓会に参加しました。

スピーチをする時間をいただけたので、医療政策に関連する話題として村中璃子氏がHPV(子宮頸がん)ワクチンの安全性を検証する論文でジョンマドックス賞を受賞した件に触れながら、

私も自らHPV(子宮頸がん)ワクチンを接種した。正しい医療知識を啓発していきたい

と述べたところ、会場からは「おおっ!」という小さな歓声が上がり、その後多くの医師の方々に「とても期待している」「頑張って正しい発信を続けて欲しい!」との激励をいただきました。

過去記事:
男性議員だけど、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)を接種してきた
http://otokitashun.com/blog/daily/16734/

こちらのブログに対しては賛成・反対・推奨・慎重など様々な立場の方からご意見をいただき、最近では駒崎弘樹さんが上梓した「ワクチンと副反応」についての記事が話題を呼んでいます。

反対派・慎重派の方々が示す「副反応」の定義が世界標準と異なり、過剰な不安を誘発しかねないミスリードの要因となっている点を数字や図を用いながら丁寧に説明されており、ぜひご一読いただきたいと思います。

先にタイトルについて触れておきますと、恐らく現時点で「子宮頸がんワクチンは危険なので、推奨すべきではない!」というのが、都民ファーストの会のコンセンサスというわけではないと思います(なので、筆者の駒崎さんも断定はしていません)。

実際、都ファ厚生部会の部会長である桐山ひとみ都議は、ワクチン勧奨再開に肯定的と取れる意見を発信しています。

党の方針として確たるものが決定する前であれば、議員個人が自分の考えを発信することは許されると思いますし、有権者の判断材料にもなります。

党の政策決定を行う役職者の方がこうした考えを持っているという点について、都民・有権者の方々に留意していただき、都政・都議会に対して積極的にご意見を届けていただければと思います。

私個人としてはもちろん、都議会の責任与党・最大会派として、都民ファーストの会には医療的エビデンスに基づいた「ワクチン勧奨再開」の方針を取っていただくことを強く期待するものです。

なお、小池百合子知事は子宮頸がん予防を呼びかける「LOVE49プロジェクト」の賛同呼びかけ人の一人でもあります。

都知事のリーダーシップによって、都政から本件で大きな動きが起こることも期待されますね。

本件に携わって改めて感じるのは「リスク」を冷静に判断することの重要性です。

駒崎さんも記事の中で具体的な数字を上げて論証しているように、ワクチンの「副反応」とされているものを最大限に幅広く取ったとしても、発がんによる死亡を防ぐ効果が弊害を大きく上回ります。

コストベネフィットの観点からは、ワクチン接種を推奨すべきなのは明らかです。

極端な例を上げるなら、痛ましい交通事故が起きたからといって、自動車の利用をすべて禁止しろというのはあらゆる面から合理的ではありません

被害者の救済と自動車の利便性・危険性は、通常であれば切り離して捉える方が大半だと思います。

ただ、大きな事象が発生した際、人間が理性的にリスクを判断できなくなることも確かです。

例えば、9.11の飛行機によるテロが発生した際、飛行機の利用を自粛して自動車を使う人が増えた結果、交通事故による死亡事故が増加したという有名な事例があります。

自動車の長距離運転による死亡リスクは飛行機よりもずっと高いにも関わらず、冷静な判断ができなくなる人が続出したというわけですね。

こうした人の「感情」に向き合うことは極めて難しく、ある意味では政治家の苦手分野とも言えます。

「それを実際に、苦しみ悩んでいる人の前で言えるのか!」

と問い詰められれば、ほとんどの政治家が対応に窮してしまうのが実情でしょう。

目の前で出される訴えに寄り添い、

「◯◯の危険性については、引き続き時間をかけて議論・検証すべきだ云々」

と中立・慎重な立場を取っておけば敵は増えず、評判も下がらない。あるいは、「一人でも苦しんでいる人がいる限り、寄り添い続ける!」といえば、賞賛されることだってある。

それが政治家として生き残るための、最適解なのかもしれません。

しかし、慈善活動家なら良いかもしれませんが、社会のリーダーである政治家がそれでは絶対にいけないはずです。

1を取るために100を失うことを防ぐために、時に「冷徹」とも取られかねない決断をしなければならないこともあります。

いまこのHPV(子宮頸がん)ワクチンを巡る取り扱いは、まさにそのような政治課題の1つではないかと強く思います。

なお、「ワクチン接種などを行わなくても、検診を奨励すれば対策は充分」という意見も多く寄せられました。

もちろん、早期検診が重要なことは論を待ちません。ただ、検診では「早期発見」をすることはできても、「予防」することはできません

検診での発見により手術に踏み切り命をとりとめたとしても、頸部円錐切除が早産の原因となるなどの弊害が残ります。

「ワクチン(予防)と検診(早期発見)の役割は別物」であり、「ワクチンと検診、どちらも重要」というのが正しいメッセージではないかと思います。

本件についてはまた、継続的に取り上げて情報発信を重ねていく所存です。もちろん、議会での提言も行って参ります。

それでは、また明日。


(こちらも予約しました。届くのが楽しみです)

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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