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功罪が織りなす小池都政でも、「何をやめたか」の改革は正当に評価されるべき

日々のこと

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

特に市場移転問題では残念ながら失点の目立つ都政ではありますが、以前に比べて格段と改革が進んでポジティブな面も確かに存在します。

都、工業用水道廃止検討発電事業の運営権売却も
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO24000120Y7A121C1L83000

なかなか大きく報道されることはなくなってしまったものの、先に行われた都政改革本部の第12回会議では、上記記事のように工業用水道の廃止など重要な提言がなされました。

「工業用水道」とは、一般の水道より水質などの条件を落として、専門事業者に都が工業用に使用する水道を提供する事業です。

もともとは工業事業者が地下水を組み上げて地盤沈下が起こることを防ぐためにスタートした本事業、初期の目的はすでに達成し、年々利用する事業者の数は減り続けています。

とはいえ、安価で供給される工業用水道への継続ニーズは根強く存在し、広大に敷設された水道管などの設備とともにこの事業は維持され続けることになります。

結果、膨大なインフラの維持費が収益を大幅に上回ることになり(年間約5億円の赤字!)、これまでも規模縮小・経営改善の努力は続けられてきたものの、どうしても「廃止」という一線に踏み込めず、文字通り問題が「先送り」にされてきたのが本事業でした。

参考:東京都工業用水道事業の概要
https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/suidojigyo/kosui/

もちろん、現在も継続して利用している事業者からは反対の声が大きく、一時的に廃止による影響を緩和するための支援措置は必要になるものの、それでも早急に廃止という決断を行うことが、全体としての都民益につながる可能性が高いと思います。

このまま工業用水道を継続すれば、設備の更新に約2300億円という費用が必要になるという試算が出てきたことも、見過ごせないポイントです。

かねてからお伝えしている通り、行政は何かを「始める」ことは得意でも、何かを「やめる」ことは極めて苦手です。

行政による支援事業がスタートすると、どうしてもそれに依存する事業や人々が生じることになり、廃止することには大きな抵抗を伴うからです。

この繰り返しで、都のみならず日本国中で行政は膨張の一途を続けています。しかしながら、厳しい財政状況に直面している昨今、そんな肥大化はいつまでも継続できません。

これからの政策においては、「何を始めるか」だけでなく「何をやめたか」が正当に評価されるべきではないでしょうか。

その点で今回、世間的には地味かもしれませんが、工業用水道という決して小さくないインフラ分野の「廃止」に大きく踏み込んだ都政改革については、個人的に高く評価したいと思います。

この工業用水道の廃止検討については、私の所属する公営企業委員会でも今回の議案として遡上にあがってきます。

私も議員という立場から精査した上で、緩和措置を検討しながらも廃止・見直しの動きがしっかりと前に進んでいくよう、提言を行っていきたいと思います。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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