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「東京都がまたも虚偽報告!」の報道は不正確。なんでもかんでも、都を悪者にすれば良いものではないのだが…

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

今朝の毎日新聞で、海の森競技場の建設コストをIOCに対して東京都が「虚偽の報告を行なって承認を得ていた」という記事が大きく掲載され、ネット等でも大きな話題となりました。

整備費、都がIOCに虚偽報告 ボート会場、251億円を「98億円」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20161018/ddm/001/050/160000c

都が2年前に国際オリンピック委員会(IOC)に「本体工事費は98億円」と実際より安い虚偽の建設費を伝え、開催の承認を得ていたことが関係者への取材で分かった。都の資料には本体工事費251億円、総整備費491億円と明記されている。都幹部は毎日新聞の取材に「IOCに予算が高いと指摘され、根拠がない数字を示した」と証言した。(中略)

海の森の整備費は招致時に69億円だったが、2013年9月の再試算で1038億円とされた。関係者によると、IOCは整備費が当初計画の15倍超に膨れあがったことを問題視。100億円以下に抑えるよう、都に要請したという。

都は再検討の結果、14年11月に総整備費を491億円とし、本体工事費251億円、周辺整備費86億円などとする内訳も決めた。一方、IOCには同時期に東京五輪・パラリンピック組織委員会を通じ「本体工事費は98億円で、残りの393億円は遺産(レガシー)として残る周辺の公園整備費だ」と説明、承認されたという。本体工事費を251億円とする総整備費の内訳は同年12月末、都議会の質問に答える形で公表された。

都幹部は毎日新聞の取材に、IOCに本体工事費を事実とは違う98億円と伝えたことを認めた。(後略)

(上記記事より引用、強調筆者)

内容を一読して「?」マークが浮かび、書いている記者が私の政務活動費についてトバシ(不正確)記事を書いた方だったので、何かおかしいと思って東京都側の言い分を聞いて私なりに調査しましたところ、この報道内容は明白に誤り、少なくともかなり不正確です。

本体工事費を実態より安く「虚偽報告」したという趣旨で書かれた本記事ですが、端的に言えば金額の分類の仕方が違っただけです。

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2014年に試算された総整備費の内訳は上記の通りで、都議会に設置されているオリパラ特別委員会にて報告・資料提出されています。こちらは「本体工事」「周辺整備」「調査・設計委託費」などのいわば「目的別」で算出された数値です。

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一方でIOCからの要請に基づき提出した書類では「オリンピック経費・レガシー経費」という分類がなされています。言うなれば「性格別」でつくられた数値と言ったところでしょうか。

この算出方法だと「オリンピック経費」が91億円になるというだけで、総工事費や整備費を過小報告したという事実はありません。

どちらの資料でも総経費は491億円となっており、仮に経費の膨張を誤魔化そうという意図があったとすれば、この数値を小さくしなければほとんど意味はありません

加えてこの資料は隠蔽されていたわけでもなんでもなく、どちらもきちんと公開されているものです。

それをいかにも事実隠蔽して虚偽報告を行なっていたかのように報じるのは、明らかにミスリードではないでしょうか。

また、毎日新聞の記事中で「関係者」「都幹部」として証言している人物は不明とのことですが、少なくとも都はこれが正式見解ではないと発表しており、午後には訂正報道も出始めたようです。

東京都、毎日新聞に抗議 「IOCに虚偽報告」報道に対し「事実と全く異なる」(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161018-00000533-san-spo

…一方で、東京都にも落ち度がなかったわけではありません。

こうした疑惑を持たれるのは、そもそも491億円という金額の詳細がこれ以上公開されていないからで、いかにも自分たちで好き勝手に勘定項目を操作したかのような印象は否めません。

詳細を出せば出すほどツッコミどころが増えるので、組織委員会も都も出したくないのでしょうが、情報公開は信頼を得る第一歩です。間違いがあれば、外部監視が働き訂正することもできます。

これを機に都側にも、疑念を持たれないような徹底した情報公開に努めていただくことを望むものです。

豊洲新市場の件と同様、こうした不正確なマスコミ報道を正す情報発信をしていると、

「都をかばうなんて、既得権益に取り込まれたのか!」
「やはりオトキタは口だけの偽物だった」

といった批判を多く受けるのですが、まったくもって心外と言わざる得ません。

都の情報公開は不徹底ですし、やり方にも疑問が残ることは多々あります。実際に豊洲新市場問題では、大変遺憾ながら虚偽の報告を行なったことも発覚しました。

だからといって、都が行うことのすべてが悪では当然ありませんし、事実を曲解した報道があれば、それを正すのは議員として当然の責務です。むしろその行為に、自分の政治信条を軽々に介入させてはいけないと思います。

五輪会場の見直しについて、昨日表明した通り現状では長沼案を支持するものですが、私は常に是々非々です。

被災地がもっとも恐れているのは「忘れられること」。ボート場は復興五輪を目指した長沼案(宮城)を支持します
http://otokitashun.com/blog/daily/13058/

正確な情報を都民の皆さまにもたらし、ともに冷静な議論・検証ができるように努めていきたいと思います。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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