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被災地がもっとも恐れているのは「忘れられること」。ボート場は復興五輪を目指した長沼案(宮城)を支持します

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

今朝はTBS「ビビット」にお招きいただき、「海の森」新設から見直しが検討されている東京五輪のボート会場について意見を闘わせました。

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海の森(東京)・長沼(宮城)・彩湖(埼玉)の三択での議論となりましたが、私は結論から言うとボート場は長沼案を支持、次点で経費を削減した海の森、埼玉の彩湖は難しいと考えています。

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このボート場見直し議論は、当初69億円で建設する予定だった海の森水上競技場の建設予算が、7倍以上の519億円に膨らんだことがきっかけです。

さらにはこれほどまでの金額を投資したとしても、海水や海風などの影響から競技者(アスリート)にとって最適な環境を提供できるとは限らない点も大きな問題です。国際ボート連盟こそ強く支持しているものの、この場所への競技場建設は当事者の間でも意見が分かれています。

この点、宮城県長沼にはすでに五輪基準を満たしたボート場が存在し、国際大会の実績もしっかりとあります。東京から遠いという欠点は否めませんが、競技の視点からは不確定要素がもっとも少ない選択肢です。

そして何より「復興五輪」というコンセプトの復活は、都民・国民にとって受け入れられやすいストーリーであると思います。

加えて長沼ボート場の周辺環境を整備すれば、今後の国際大会やインターハイなどの実施も見込まれ、宮城の地域振興に少なからず寄与することは確実です。

しかしながらこうした「復興五輪」というコンセプトに対して、今日のスタジオ出演者の皆さまからは

「復興を政治利用しないで欲しい。じゃあ2020年まで東北は復興していないのか?」
「復興は五輪じゃなきゃできないのか。宮城だけなら福島・岩手はどうなるのか」
「復興予算を目当てにしたらダメ!」

などの厳しい意見が相次ぎました。私の力不足でその場では当意即妙な反論ができなかったので、以下に私の考えをまとめておきます。

私自身は東日本大震災が発災後、復興支援を目的とするNPO(ふらいパンダ)を立ち上げ、50回以上に渡って東北三県で様々な活動に従事をしてきました。

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復興支援関係の過去ログはこちらから↓
http://otokitashun.com/?s=%E3%81%B5%E3%82%89%E3%81%84%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%80

もっと本格的に復興支援活動をやっている方の前では微々たる経験かもしれませんが、私がこの活動を通じて痛切に感じたことの一つが

「被災地(被災者)がもっとも恐れているのは、『忘れられる』こと」

だという点です。

時間というものは残酷で、人の傷を癒やすと同時に、どれほど強い悲劇の記憶もやがて忘れられていまいます。一方で本当に復興するまでには、気が遠くなるほどの長い年月がかかります。

当然のことながら、単純にオリンピックのボート競技が被災地にくれば、復興が加速するほど単純なものではありません。

しかしながら、「復興五輪」というコンセプトの元で2020年にボート競技が行われることは、東日本大震災のことを振り返る大きなきっかけになるはずです。

忘れられる恐怖を痛切に感じ、風化させないことの重要性を心の底から理解しているからこそ、宮城県知事も宮城県民もボート競技の誘致をあれほど待望しているのだと思います。

そして宮城県以外の被災者も、東日本大震災を振り返る「象徴」としてボート競技が東北に来ることについては、理解を示す方も多いのではないでしょうか。

復興予算9兆円が未使用 11~14年度、検査院調査:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASJ455JF4J45UTIL039.html

そして残念ながら、少なくとも数字上は活用されているとは言い難い復興予算についても、仮設住宅のリフォームなどの周辺環境の整備に当てられるのであれば、十分に国民の理解を得られるのではないかと私は思います。

最後に、多くのアスリートが支持していると言われる埼玉県の「彩湖」については、個人的な見解では海の森以上に実現困難ではないかと思っています。

すでに既存のものが存在する長沼、恒久施設として建設する海の森に対して、彩湖は五輪が終わり次第撤去される「仮設」であり、これに百億単位で財源が投資されることには疑問が残ります。

また周辺環境も含めてゼロからの着工となるため、不確定要素が多いことも難点です。同じリスクを取るのであれば、恒久施設として競技振興のためのレガシーとなる可能性が高い海の森に軍配が上がります。もちろんその場合、維持費が難点になりますが…。

やはり東京からの「距離」というデメリットを除けば、既存施設を有する長沼ボート場の周辺環境を整備して活用するのが、建設費・競技者リスク・維持費のあらゆる観点からもっとも合理的ではないかと感じる次第です。

都政改革本部からの提案も踏まえて、小池知事が様々な選択肢を検討している段階ではありますが、知事が方向性を示せば次は議会でも議論が行われることになります。

現時点では上記の理由により長沼案を支持しつつ、引き続き最適な提案を模索して比較検討していきたいと思います。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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