先日、タクシーに乗って運転手さんと雑談していたときのこと。
「議員さんなんですか?!それじゃあ、とても儲かるでしょう!」
と言われまして、
少し疲れていたこともあって
「そんなこと、全然ありませんよ!怒」
と真面目に言い返してしまいました(ゴメン)。
とにかく、世間の
政治家=お金が儲かる、給料が良い
政治家=お金に汚い、お金目当て
というイメージには根強いものがあります。
確かに公開している通り、都議会議員の報酬は年収1700万弱です。
額面だけ見れば、非常に高額に思えるでしょう。
しかしながら、これはサラリーマンの給与というより、
むしろ「商売の売上」に近いものです。ここから事務所費や人件費など、
経費を引いて残ったものが粗利、実際の収入となります。
しかも、給与所得者扱いなのでほとんどが経費控除できず、
真面目に活動すればするほどお金が減っていくという状態に…。
まあそんなお財布事情はなかなか見えづらいのは仕方ないとして、
政治家が偉くてお金が儲かるというのは、高度経済成長期の
政治家たちの姿から生み出されたイメージなのだと思います。
右肩あがりに人口も税収も増えていた時代は、
豊潤な予算を再配分することが政治と政治家の役割でした。
莫大なお金を差配する政治家に権力が集中するのは当然のことで、
「あの道路建設に予算をつけて、実現します!」
「福利厚生を、もっともっと充実させます!」
なんて大盤振る舞いも、実際に可能でした。
市民には感謝されるし、人気やお金も集まってくる。
確かに政治家は「おいしい職業」だったのかもしれません。
ですが、これからは真逆です。
少子化・高齢化が確実に進み、財政破綻間近なこの国で
政治家たちはこれから
「○○の予算は来年から削減します」
「□□というサービスは、今後は縮小します」
「今までタダだった××は、これから2割負担になります」
と、むしろ予算やサービスを削減していくのがその責務になります。
当然、市民には嫌われるし、人気もお金も集まってくるはずがありません。
それでもこれからは、そんな「嫌われ役」を誰かがやらなければなりません。
今の時代に
「増税はしません、でも福利厚生は充実させます!」
なんて公約をいまだに言っているとしたら、
その政治家は本物の嘘つきか、将来のことを何も考えていないのです。
確かに、本当のことを伝えて選挙に勝つのは至難の技です。
街頭に立っていれば、こんな声が多く寄せられます。
「無駄な公共事業をやめればいい」
「政治家や官僚の給料を下げればいい」
残念ながら日本は、そんなレベルをとうに超えてしまいました。
今まで身の丈に合わない制度を使い続けて、将来の子どもたちに
莫大な借金を残していることを、なんとかご理解いただかなければいけません。
「『ありがとう』と言われたい人は、これから政治家になってはいけない」
とある若手市長さんの言葉です。
本当にそのとおりだと思います。
予算を配分するどころか削減し、その理由を丁寧に説明して、
それでも納得してもらえずに市民には嫌われ、働けば働くほど
所得は減っていって儲からない…
-自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、
現実の世の中が、どんなに愚かであり,卑俗であっても、
断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても、
「デンノッホ!(それにもかかわらず!)」
と言い切る自信のある人間。
そういう人間だけが政治への「天職」をもつ-
(マックス・ウェーバー「職業としての政治」より)
これから政治の世界を目指そうとする若い人をみかけたら、
皆さん一つ暖かい言葉でもかけてみませんか?
それでは、また次回。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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