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規制緩和に失敗するアベノミクスはヤバイ

政治コラム

少し前のニュースになってしまい恐縮ですが、
アベノミクス第三の矢「成長戦略」の最重要項目、
『規制緩和』が早くも後退を強いられております。

雇用規制緩和特区、断念へ…厚労省の反発に配慮
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131016-OYT1T01460.htm

安倍首相のやろうとしていた国家戦略特区では、
解雇や労働時間に関する規制緩和を行うという労働市場の流動化に寄与するもので、
細かな制度設計に異論はありますが今後の成長戦略に欠かせない試みです。

以前にギャップイヤーを取り上げた記事の中でも言及したことがありますが、
日本の労働規制は確実に経済の活力と若者の雇用を奪い取っています

「正社員になったら、事実上解雇されない」
「一度上がった正社員の賃金は、よほどのことがない限り下げられない」

こんなルールがあったら、ちょっとアベノミクス効果で目先の
景気が良くなったからといって、経営者が新しく正社員を増やしたり、
賃金を気前よく上げてあげたいと思うでしょうか?

無理ですよね。

いつ悪くなるかわからない経済状況の中で、
一度あがったら下げられない賃金を上げる人はいません。
正社員登用にだって、もちろん慎重になります。

結果、そうした縛りのない派遣社員が
調整弁として使われるだけですから、

金融緩和で目先の景気が回復

でも企業は雇用や賃上げには慎重

「なんだ、景気回復してねーじゃん!」「家計には実感できない」

人々の期待が萎み、景気悪化

という道をたどることになります。
金融緩和はカンフル剤に過ぎませんから(レッドブルみたいなものです)、
その後に続く規制緩和とセットであることが大前提なのです。

にも関わらず、安倍首相は

全国一律でないと不公平が生じる

などという厚労省の言い分に配慮をして、
規制緩和を事実上見送る方向性に舵を切っているようです。

この厚労省の言い分は、そもそも中央集権制度が限界にきていて
「全国一律」というシステムが破綻しつつあるのですから、
時代の流れに逆行する二重の意味で最悪の主張です。

・全国一律ではなく、地域の特色を活かした政策を実施していく
・雇用規制を緩和し、労働市場を流動化させ経済をドライブしていく

どちらの点から見ても、安倍首相のやろうとしていたことは正しいのです。
それに反対したのは「解雇特区」などとネーミングをして扇動したマスコミと、
左派政党の野党たちです。

彼らが誰の権益を守ろうとしているのか、
ぜひもう一度考えて見てください。

労働市場が硬直化してもっとも割を食っているのは、言うまでもなく若者です。
企業は年配の正社員を解雇するためには、新卒採用を停止しなければいけません。
若者は職を失い、正社員は定年まで会社に居残り、退職金をたっぷりもらってゆっくり退場する。

またこの一度乗ったら降りられない(降りることを許さない)
「正社員というレール」が、産休・育休を必要とする女性たちの
キャリアを阻害している
ことも見逃せないポイントです。

逃げ切りを図る特権階級の「正社員」たちを守ろうとするあまり、
特区の設立すら足を引っ張ったことで、労働市場改革がまた
何年も遅れたことは間違いがありません。

私は世代間格差の観点からも、経済成長の観点からも、
地域主権の観点からも、女性活用の観点からも、労働市場の流動化を主張し続けます。

ぜひアベノミクスが打ち上げ花火で終わらないよう
安倍首相にももう一度、ネジの巻き直しを計っていただきたいと思います。

それでは、また次回。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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