世間は夏真っ盛り、ですね。
政界の方はと申しますと、
ご存知の通り「壊し屋」こと小沢一郎氏が
「国民の(K)生活が(S)第一(D)」
なる新党を立ち上げまして、たちまちのうちに
『KSD49』
(49は新党立ち上げ時に参加した国会議員数)
なんて愛称がつくくらい、殺伐としております。
あと一人だったのにぃぃ!!←
というわけで今日はストレートなタイトルをつけまして、
「小沢一郎」とは果たして何者だったのか?ということについて
ごくごく個人的な考察をしてみたいと思います。
なお、過去形であることは仕様です。
あしからず。
–
まず、彼の思想の変遷を確かめるべく
早速本棚からこいつを引っ張りだして再読してみた。
日本改造計画 / 小沢一郎著
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彼の代表的な著作でして、政治家としての彼の思想は
ここに概ね書いてあると思って良いでしょう。
一節によると、日本の政治を学ぶ教科書として
アメリカの大学の授業でも取り上げられてるとか…ホントかよ?
そんなに面白く…ゴホンゴホン!
さて、著作の中から彼の代表的な主張を
いくつか取り上げてみるとこんな感じになります。
■
・新自由主義(規制緩和による経済改革)
・日米同盟重視(アメリカとの協調路線)
・国連中心主義(積極的な自衛隊の海外派遣)
・自由貿易(ただし、ブロック経済型の一部自由貿易には反対)
・二大政党制(小選挙区制度の導入による政治・選挙制度改革)
・消費増税による税制改革(代わりに法人税、所得税を下げて直間比率を是正)
etc..
■
特にこれらの主張の核となっているのは、一番最初に挙げた新自由主義でしょう。
著作の中のまえがきでは、
「アメリカのグランドキャニオンには(観光客の安全のための)柵がない」
ということを例に挙げ、続く本論の中でも日本社会がいかに過保護に守られているか、
規制が多すぎるかに触れ、規制緩和・民間の競争による経済活性化を訴えています。
直接そういう表現はしていませんが、かなり「小さな政府」思考であると言えるでしょう。
どうでしょうか、ここまで読んでいただいて
今の小沢氏とイメージが重なる方はどれくらいいるでしょうか?
僕は少数なんじゃないかと思います。
今の小沢さんはというと、福祉の充実や格差是正を訴え、
いわゆる「バラマキ」とも批判される施策を推進し、
以前のお考えとはどうも真逆の方向に向かっているようです。
では、上記の主張に戻っていただいて。
小沢さんであることを一端忘れて、先の主張だけ眺めていただくと(特に上3つ)、
これに近いことを主張していた政治家が思い浮かびませんか??
そうです!←(?)
第87~89代内閣総理大臣、小泉純一郎氏です。
小沢さんがこの著書で主張していたかなりの部分(3割くらいだと思いますけど)は、
彗星のように現れた稀代の宰相、小泉純一郎とそのブレーン竹中平蔵が
次々と成し遂げて一定の成果を出してしまいました。
どうしよう?
俺のポジションは?立場は?メンツは??
ここから、彼の迷走は深まったのではないかと思います。
(まあ、その前から結構ブレてはいましたが。)
やりたいこと、やるべきことが彼に取られてしまった。
それを後追いすることや、さらに深めることは自身のプライドが許さず、
違うポジションを求めて政界を彷徨い、政局を混迷に追いやっている…。
それが、小泉政権以後の彼の姿なんじゃないかなと。
そしてここからはさらに個人的な所感ですが、
小沢一郎という政治家は
「日本をどうにかしたい!」「よくしたい!」
「そして俺様の名を、後世に轟かせたい!」
という気持ちはあれど(特に最後)、それを具体的に形にするための
強固な思想を持っていなかったのだと思います。
(小泉さんが郵政民営化と自由競争・市場原理を固く信じていたほどには、特に。)
1980年代に新自由主義的な改革の必要性に気づいていたことは
慧眼であるし一流の政治センスの持ち主だったことは間違いありません。
しかしそれはあくまで一つの「戦略」であって、「信念」や「思想」ではなかったのでしょう。
まだまだ日本には、改革が足りないのですけれどもね…。
自身の主要な戦略を奪われ、思想転換するも迷走を続ける彼は
どこか「死に場所」を求めているように思えてなりません。
とはいえ、「二大政党制」「政権交代」への道筋をつけた立役者として
20世紀を代表する大物政治家の一人だったことは間違いないと思います。
政治資金問題の先行きも不透明な小沢一郎氏ですが、そんな彼に敬意を示し、
かの問題の結論が出て「法的に」葬られるよりも、選挙を通じて「政治的に」
引導を渡して差し上げるのが、彼に対するわれわれ有権者の最後の役割ではないでしょうか。
さようなら、小沢一郎氏!
KSD49総選挙編 -完-
(まだ早いって)
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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