先日、元タリーズコーヒージャパン社長で、
現在みんなの党参議院議員の松田公太さんが主催する
「首相公選制」
についての勉強会に参加してきました。
第9回 公太sフェロー勉強会 (前半)
http://ameblo.jp/koutamatsuda/page-4.html#main
なんとなんと、僕がプレゼンしている場面を掲載していただきました!
(ブログの下の方)
-首相公選制とは??-
現在の日本ではご存知の通り、首相を国民が直接選ぶことはできません。
我々は国会議員を投票によって選出し、その最大多数が所属する政党が与党になり、
そして主に与党が中心となる国会で首相が選出されます。
いわゆる「議院内閣制」と言われるシステムで、
これは先進諸国の主流と言っても良い制度です。
しかしながら日本では、この議院内閣制がうまく機能しておりません。
過去20年間(1992年~現在)の間に、各国のトップ(首相or大統領)に
なった人数をカウントしてみましょう。
アメリカ:4名
イギリス:4名
フランス:3名
ドイツ:3名
韓国:5名
日本:13名
…何事ですか。いやマジで。
ダブルスコアどころの話じゃねーぞ!
平均すると在籍期間は約1.5年ということになり、
最長はご存知小泉首相の5年半。その他はほとんど任期を満了できていません。
ちなみに豆知識ですが、実は日本の首相に「任期」とゆーのは定められてません。
与党(≒自民党)の総裁就任期間が事実上の任期であり、これまでは
自民党総裁選をひとつの区切りとして首相が選ばれてきたわけですね。
まあこの失われた20年では、それすら満了できた人材が
小泉純一郎ただ一人だったわけですが…。
この「コロコロと首相」が変わる原因の一つとして
「国民の乖離」
が挙げられるわけですね。
御存知の通り、日本では世論調査で首相の支持率が
ジェットコースターのように目まぐるしく上下(基本的には下降)します。
世論の支持を得られなくなった首相は求心力を失い、
野党との調整に失敗して法案を通すことができなくなり、
にっちもさっちも行かなくなった首相が退陣、または衆議院を解散する…。
そうならないためには、どうしたらいいのか?
安定した基盤と支持を集める首相を立てて、長期政権を築くためには??
この切り札が、「首相公選制」です。
要は支持率があっという間に急下降して、やめろやめろの大合唱になるのは、
国民が自らのトップを選んでいるという意識が希薄なのではないか?
国民自らが首相を選ぶ(または選ぶのに加担できる)仕組みがあれば、
国民の政治への関心も高まり、また責任感も生まれることから
長い目で政権を見守るようになるのではないか?
また、公選され民意(世論)を味方につけたリーダーは、とても強力です。
この例は、大阪維新の会の橋下市長を考えていただければわかりやすいでしょう。
政治改革には抵抗がつきものですが、「公選」「民意」という金看板があれば、
首相は大手を振って既得権益と闘うことができます。
首相に強力なリーダーシップを与え、また国民の政治離れを防ぐ効果も兼ね備える
強力な解決策が、この首相公選制の導入とも言えるのです。
–
そんな期待がある一方で、おそらくここまで読んだ皆さんも
少なからず感じている通り、この制度にはいくつか欠点が指摘されています。
・国民人気投票になってしまうのではないか?
ヤワラちゃんが一瞬で参議院にトップ当選する国です。
かつては、横山ノック某が大阪府知事になったこともあります。
ところが彼らが強力な民意をバックに、リーダーシップを発揮して
大きな功績を残したという話しは寡聞にして聞かないですよね?
キムタクあたりが出馬しちゃったら、どうしましょうね。
・首相候補の条件は、どうやって決めるの?
誰でも出馬できるとなれば、売名行為目的のいわゆる
「東京都知事選状態」になりかねません。
まあドクター中松は出ますね、確実に。
では候補になるハードルとして
「国会議員(または市長や知事)であること」
「国会議員の推薦を◯◯人以上あつめること」
などを設けてしまうと、結局は現在の
政党政治の延長となり、純粋に国民が選ぶことにはなりません。
この設定条件は、非常に繊細かつ悩ましい問題です。
ここが公選制の制度設計の非常に大事なポイントだと思うのですが、
長くなってしまうのでこの点はいずれどこかで書きたいと思います。
・そもそも、首相公選制って政治的に機能するの?
これは、わかりません!(きっぱり)
先進国で、首相公選制を導入している国は皆無です。
実はイスラエルでかつて(1988年~)首相公選制を導入していたのですが、
選出された首相と与党が違う「ねじれ」が生じて議会運営が行き詰まることが多く、
2001年に廃止されたという経緯もあります。
民意がトップを選んだからと言って、
リーダーシップを発揮して決定できるとは限らない好例です。
・「民衆の熱狂は、長く続かない」という格言があるよ?
この点が実は、僕が一番重要だと思うポイントです。
「国民の政治的関心が高まる」
「一人ひとりが責任感を持つようになる」
というのがウリの首相公選制ですが、
果たして本当にそううまく行くのでしょうか?
よく言われる事例として、前回の衆議院選挙で大勝し選ばれた
民主党の鳩山由紀夫は間違いなくあの時の民意が選んだ首相でしたし、
それに対して国民が意識や責任を持ったかと言われれば、残念ながらNOです。
結局のところこれは、ニワトリタマゴの話しではないかと思うのです。
国民の政治意識を高めるためには首相公選制の導入が起爆剤になりえますが、
国民の政治意識が高くなければ、首相公選制は機能しません。
首相が公選制になるからうまくいくのではなく、
「自らが選んだ首相だから、うまくいくように支えよう!」
という気持ちを一人ひとりが持たなければ、
魂の入っていない人形のようなものなのです。
–
実際に首相公選制を導入するには憲法改正も必要ですが、
松田公太さんらは憲法改正が必要にならない範囲の国民投票という手段で
事実上の公選制を実現しようとしており、また維新会の橋下市長も公選制への意欲を示しています。
僕は上記のような様々なデメリットは承知しつつも、
何らかの形で国民自らがトップの決定に携わるべきだと思っています。
それに対して、国民ひとりひとりが責任を保ち続けることを望みます。
決めるという行為には、責任を伴います。
それは、とてもとても重たいものです。今までのように
「政治家の誰ソレが悪い」
「勝手に決まった首相なんて知らない」
と、国民が野党化することも安易にはできなくなるでしょう。
皆さんは、いかがでしょうか?
自分たちのトップは、自分で選びたいですか?
その決定に対して、真摯に責任を持ちますか?
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
twitter @otokita
Facebook おときた駿
Instagram @otokitashun
買って応援!
下記リンクから飛んで、Amazonにてお買い物をしてみてください。
発生した収入は、政治活動の充実のために使用させていただきます。
Amazonでお買い物