前回のコラムにて待機児童の問題を論じたところ、
「病気や介護などの特段の事情なく保育園に預けている家庭に、どうして税額免除がつくんですか?」
という質問をいただきました。ポイントを突いた質問なので、こうした税控除の根拠となり、また保育所への入所規定などを定めている「児童福祉法」について若干補足させていただきたいと思います。
補助金がジャブジャブ出ている保育事業を担保している法律が「児童福祉法」なのですが、なんとこの法律が制定されたのは昭和22年(1947年)!戦後まもない頃に制定された法律で、小さい改正がいくつかあったものの、この法律の根底に流れる定義や哲学はまったく変わっていません。
この法律の中では、名前の通り児童は「福祉」として扱うものです。父親が稼ぎ、母親がつきっきりで育児することが「普通」であり、それができないのは「不幸な家庭」であり、そんな家庭にいる児童は国によって救済が必要な「福祉(保育)に欠ける子ども」なのです。
-児童福祉法 第22条より抜粋-
配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子であつて、その者の監護すべき児童の福祉に欠けるところがある場合において、その保護者から申込みがあつたときは、その保護者及び児童を母子生活支援施設において保護しなければならない。
この法律においては、女性が社会で活躍することも、保育所を利用してバリバリ働くことも、男性が育児をすることもまったく前提とされていません。一言で言えば、時代にまったくそぐわない化石と化した法律です。
ここまで書けば、冒頭の質問に対する答えもおわかりですね。子どもを保育園に預けること自体が「不幸な境遇」なので税控除が受けられると、そういう解釈なのです。
前回の記事では「規制緩和」「自由競争」という解決策を提示しましたが、そもそもこんな保育を「母親が働かなくてはいけないという、不幸な境遇を救済する福祉」で「お上が対象者を決める『配給制』」にしている化石のような法律を時代に合わせて改正することが、法律を作ることを仕事とする政治家の最たる役割なのです。
「そんなバカな…こんな法律がまかり通ってるなんて。。」
と思う方もいるかもしれませんが、日本の制度設計は戦後や高度経済成長期に形成され、そのままの状態になっているものが本当に沢山あります。破綻が目に見えている年金などの社会保障が、その最たる例と言えるでしょう。
何度か書いていますが、立法府につとめる政治家の最たる役割は「法律を作る(変える)」ことです。それによって社会の枠組みを決め、よりよい方向へと導いていくのが彼らの務めです。
こうした責任がしっかり果たされていくよう、われわれ若手有権者も最適に一票の力を行使していきたいものですね。補足記事なのに長くなっちゃったわ。おほほ。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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