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菅と鳩山が実は似ているなど

政治コラム

「脱原発」、政府方針でない=菅首相が表明、野党は批判

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&rel=j7&k=2011071500803

13日に菅総理が突然の記者会見をして「脱原発」宣言、個人の意見だの政府の方針ではないだのと、にわかに周囲は活気づきまたも本質から外れたところに議論が突入している感があります…

そんな中、突然ですが今日は「菅直人と鳩山(前総理)が似ているんじゃないか」というお話しをします。

鳩山前総理退陣の最終的なトリガーは、「最低でも県外」と思いつきで言い放った沖縄普天間基地問題がこじれにこじれ、元の自民党案に戻ったことに住民の理解を得られず、政権運営がにっちもさっちも行かなくなったことに起因します。

そして今回、菅総理の7月上旬の突然の「ストレステスト」方針発表から、「脱原発」宣言(元をたどればその前の浜岡原発の停止からですが)。原発の再稼働に前向きだった玄海村関連の住民たちは猛反発し、世論としても「国民(≒住民)が納得しない限り、原発は再稼働できない」という空気が完成しました。

そう。ここに、原発問題が『普天間化』したのです。

これは大変危険な状態だと、僕は思います。手続き上の話しで言えば、原発の再稼働に「地元自治体の首長や住民の理解を得る」というフローは必要ではありません。国がイニシアチブを取って決定すれば、決定事項として進めることができる類のものです(これは普天間も同様)。それを菅さんは一連の行動で、住民の理解という要素を決定のフローにねじ込んでしまった。

なぜこれが危ない状態なのでしょうか。僕とて「住民の理解など不要だ、国策として進めることなんだから黙って我慢しろ!」などと思っているわけではありません。しかしながら、こうした国全体に関わる施策に住民・市民というファクターを過度に入れることは、

・指導者の求心力を低下させる
・問題をむしろ(その地域、争点に)矮小化させる

という2点で非常に由々しき問題です。

まず前者。国民、住民、市民の視点はもちろん大事ですが、欠点もあります。残念ながら一般的な生活者は、目の前にあることを優先します。ゆえに、単一争点(シングルイシュー)でyes/noを問えば、結論はおのずと見てきます。

しかしながら、国を運営することは時に、全体最適のために一部を犠牲にする必要があります。これは事実です。それを行うために存在するのが指導者であり、政治家であるはずです。鳩山さんも菅総理も、本来手続き上不要とされていたものをねじ込んでその役割を放棄し、自らのリーダーシップを低下させてしまいました。

本当に国民目線で意思決定する覚悟があるというなら、法律を改正してそうした手続き(国民投票など)を取るべきです。それもせずに議論のみを巻き起こし、調整ができず一歩も前に進めなくなるのは、壮絶なリーダー・政治家の自殺と言っても良いでしょう。

そして後者の、問題の矮小化。

歴史的に見て、反対運動(市民運動)はだいたい、このパターンにハマってなし崩し的に崩壊します。成田闘争も、住民の反対とそれを応援する世論、という図式で始まりましたが、矮小化された問題への関心は時間と共に薄まります。最後の「一坪地主」たちの抵抗は、むしろ世間から冷ややかな視線を送られ、成田闘争は終わりを迎えました。

安全保障や外交、エネルギー政策など、多岐にわたる領域を横断する政治問題を、「安全性」「地域住民への配慮」という狭い範囲に限定すれば、長期的には国民の関心・理解を得ることをはますますできないでしょう。長期的なエネルギー政策や経済政策を含めた国策を、地域住民に転嫁することは逆に残酷な処置なのです。

国防、安全保障の問題を、住民との対立にすり替えて退陣を余儀なくされた鳩山前総理。
エネルギー、経済の問題で同じことを繰り返そうとしている菅総理。

二人の行く末に同じものを感じると同時に、民主党から出た二代の総理が政治家・リーダーというものの存在価値を著しく低下させてしまったことに、絶大なる失望を感じざる得ない今日この頃なのです。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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