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「子ども手当」の何が問題だったのか?

政治コラム

前回に引き続き、財源関連のお話し。
復興財源に関連して、

「子ども手当をやめれば、5兆円の財源が捻出できる」

という内容に前回触れました。

しかしながらこの子ども手当、本コラムの(一応のw)テーマである女性の社会進出や
少子化対策にも関わる重要な部分でして、もう少し詳しく掘り下げたいと思います。

「子どもは社会で育てるもの」

という理念を持って作られたこの民主党の目玉施策。
この理念はたいそう素晴らしいものだと思います。

しかしこの子ども手当、なぜここまで評判が悪かったのか。
(というより、まだ廃止されたわけではないので現在進行形なのですが)

僕は大きく、以下の3つに大別されると思います。

1.対象者が不適格
→所得制限がない、外国人も支給対象

2.現金支給である

3.財源がない

1に関しては、散々関係各所で叩かれていました。
高所得者へも一律支給するのは、バラマキではないか?
(政府のもつ重要な役割の一つは「資源の再配分」です)

また、「子どもは(日本?)社会で育てるもの」と言いながら
母国に子どもを残してきた外国人にも支給されますし、
その支給条件はかなり曖昧です。

ただ、この問題点は自公政権時代の
「児童手当」のころから共通の問題で、今に始まったことではありません。

ゆえにオトキタが特に問題視しているのは2と3の項目になります。

2.現金支給である

実は子ども手当のような政策は、先進国ならどこでも行われている
「当たり前のこと」です。ではなぜ、日本では『バラマキ』と批判されるのか?
それは、使用用途の定められていない、現金で支給する部分が問題なのです。

他国で多く導入されているのが「バウチャー制」と呼ばれるものです。

これは現金ではなく、用途を限定したクーポン券を配布するイメージです。
例えば子ども手当なら、教育や養育に限ったものに使用用途が限定されています。
学習塾の月謝や学芸品の購入のみに使えるなど、ルールが設定されているのです。

現金で支給してしまえば、それが必ず子どものために使われるとは限りません。
むしろ、目先の生活費に消えていく可能性の方が相当高いと思われます。

「手当を支給することにより、時代の社会を担う
子どもの成長及び発達に資することを目的とする」

とうたうのであれば、使用用途はそれに限ったものに
限定するのが政策の筋というものではないでしょうか。

3.財源がない

そして、またここに行き着きます。

子ども手当の支給にあたり、政府は扶養控除と配偶者控除を廃止しましたが
これで得られる財源は1.5兆程度。現在の半額支給ですら2.6兆円が必要なのに
その額にすら1兆円届きません。

「予算の組み換えにより、国債の発行なしにマニフェストを実現する」

とぶちあげていた民主党政権が出した結論は、
過去最高額の国債発行でした。

このコラムでも何度も書くように、
国債は

将来世代へのツケの先送り

です。次世代を担う子どものために行う政策が
その子どもたちへの膨大な借金を作り上げているのです。
何か、大きな矛盾を感じませんか?

自民党参議院議員の佐藤さん(ヒゲの隊長)がとある中学校で
中学生に子ども手当について話したところ、こんな答えが返ってきたそうです。

「ちっとも嬉しくないや。もらえるのはお父さんお母さんで、僕たちじゃない。
それにそのお金は、将来僕たちが返す借金なんでしょう?ちっとも意味がないじゃないですか

このセリフにまさに、子ども手当の問題すべてが凝縮されていると思います。

結局のところ、この国の多くの問題は
こうした世代間格差の問題に行き着くことが多いのです。
声なき子どもや若者の声は抹殺され、ツケは未来に回されていく。

「子ども手当」も少子化対策の名のもと、現金支給を行うのであれば
単なる子育て有権者世代への優遇策なのではないか…とも邪知してしまいます。
本当に子どもに投資される仕組み作りは、本気になればいくらでもできるはずです。

目先の有権者のみを厚遇し、子どもたちや10代20代を軽視する政権運営。
このままでは若者が力を発揮する国も、女性が活躍できる社会にもなりません。

マイノリティの声を届けるため、一人でも多くの若者や
女性の議員を国会へと送り込むこと。それがいま我々ができる唯一の処方箋なのかもしれませんね。

若手政治家候補の応援、どうぞ宜しくお願い致します(笑)。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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