遅々として進まぬ震災の財源論ですが、
ようやくこの頃
「大枠は消費税で」
「いや反対だ!」「条件をつけろ!」
と少しだけ具体的な議論が出てきました。
そんな中、ひっそりと年金改革については
「年金受給金額の引き上げは『中長期的な課題』」
として、先送りが早々に決定したようです。
(4月20日 日経朝刊)
人類史上、前代未聞の超少子高齢化社会に突入することが
確実視されている我が日本国において、破綻が目に見えている
年金システムの抜本的改革は、この後に及んでもまったく進展を見せません。
確かに年金受給年齢の引き上げは、
単純に高齢者の負担増になるのでなかなか難しい問題です。
年齢を引き上げるのであれば、定年を延長とセットにする必要があります。
(長く働いてもらえれば、年金もらえる金額が遅くなってもOKでしょ?という考えです。ざっくりと)
ところが、いま企業では働き盛りを過ぎ
コンピューターも英語も苦手、という50代社員の多くが
「早く定年してくれないかな…」
という目で見られているのも事実。
であれば、定年延長は結局
「解雇規制の緩和」
なくしては不可能なわけです(働きに応じた減給も必要でしょう)。
…はい、左側の方から、非難の大合唱が聞こえてきそうですね。
「雇用を守れ!」「大企業の横暴を許すな!」ってとこでしょうか。
では、年金制度を抜本的に変えるのはどうでしょう。
現行は、いま税金を納めている若者が引退した老人を支える「賦課方式」。
これを「積立式」に大転換すれば、もう少し年金制度は維持できそうです。
しかしこれには、行政が国民一人一人に「個人口座」を作成し、管理する必要があります。
…おや、また大きな声がするようです。
「国民総背番号制だ!」「国家による個人の管理だ!人権侵害だ!」
この流れは今に始まったことではありません。
「逃げ切れる世代」が最大の政治勢力となっている現状に
マスコミや左翼勢力が乗っかって、相互に保管する形で
強固な「年金制度維持トライアングル」を作り出しているのですね。
結果、もたらされるのは財政赤字、そして「国債の発行」。
国債っていうと聞こえがいいけど、単なる「将来世代への先送り」ですからね、コレ。
消費税の増税でまかなってくれるならまだいいけど、
不足分のカバーに所得税や国民健康保険税を増やされた日には
現役世代の負担のみが雪だるま式に膨れ上がる一方です。
復興財源の確保に「年金財源の切り崩し」「年金制度への切り込み」を
唱える識者もいましたが、ほとんどマスコミに取り上げられることはありませんでした。
未曾有の事態に直面し、新たな日本のグランドデザインを描く局面にある日本。
こんな時だからこそ、未来を支える我々はもう少し、
こうした話題にも敏感でありたいですね。
と思ったあたくしでした。お粗末。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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