〇おときた委員 私からは、まずスポーツ祭東京推進費の中から、障害者スポーツ大会対策についてお伺いいたします。
スポーツ振興局は、二〇一〇年七月、トップアスリート養成などを担当する生活文化スポーツ局、国体推進部を持つ総務局、そして福祉保健局が管轄していた障害者スポーツを一元化して設立されたもので、特にスポーツにおいては、健常者と障害者の垣根を取り払った点が画期的でございました。
国では、いまだに障害者スポーツの所管が厚生労働省と文部科学省に分かれており、スポーツ振興局の存在は、国に先駆けた先進的な取り組みであると思います。そのスポーツ振興局が迎える過去最大のイベント、スポーツ祭東京におきまして、平成二十四年度も多額の予算を執行して準備を進めてきたものと思います。
そこで、障害者が主役となるイベントにおきましては、競技者のみならず、障害をお持ちの来場者の方、観覧者の方に対しても配慮が欠かせません。健常者との垣根を取り払った障害者スポーツ振興を旨とするスポーツ振興局として、この対策にどのような準備を行ってこられたかについてお伺いいたします。
〇川合スポーツ祭東京推進部長 スポーツ祭東京二〇一三の競技会場、式典会場につきましては、平成十九年度から、有識者を中心とする施設専門委員会におきまして、観覧席も含めました会場の整備計画等を審議いたしまして、専門的な見地からの意見をバリアフリー対策などに反映させるよう準備を進めてまいりました。
また、競技運営につきましては、平成二十一年度から、障害種別ごとの団体代表の方や障害者スポーツ団体を代表される方などから構成される全国障害者スポーツ大会専門委員会におきまして、競技時間や選手動線等につきまして審議を行い、各選手が支障なく競技を行うことができるよう準備を進めてまいりました。
平成二十四年度には、これら専門委員会で出されました意見を踏まえ、競技会場整備実施設計を作成するなど、選手だけでなく、観覧者も含め、障害のある方々に十分な対応ができるよう準備をしてまいりました。
〇おときた委員 五年以上も前から長期的な準備をしてこられたことがわかりました。皆様のご尽力で障害者スポーツ大会が滞りなく行われたことについて、まずは感謝を申し上げます。
しかしながら、実際に来場された方からは厳しいご意見もございました。例えば、我々の会派の上田令子都議が、盲目のパラリンピアン、河合純一大会参与とともに開会式に出席されたのですが、盲目といった障害をお持ちにもかかわらず、座席が出入りのしづらい中央の方であったり、また、座席までの階段も幅が違って、危険な動線を移動する中、一見すると役割がないように手持ちぶさたなスタッフが誘導の手伝いをしてくれなかったということもあったそうです。
ハード面だけでなく、ソフト面も含めて、こういった障害のある来場者への対応がより重要になるかと思いますが、このような来場者からの意見も含めまして、見解をお伺いいたします。
〇川合スポーツ祭東京推進部長 ハード面におきましては、開会式、閉会式の会場となります味の素スタジアムにおきまして、トイレや入り口、階段の位置を示す音声誘導装置を仮設で四十二カ所設置いたしました。また、仮設トイレ二十二カ所を含め、身体障害者用トイレを常設と合わせて三十九カ所用意をいたしました。これらの設置した数につきましては、味の素スタジアムと同じ規模の会場では、過去に例のない最多の数となってございます。
また、視覚障害者が参加する五つの競技会場につきまして、最寄り駅から競技会場までの道順を音声で説明する「ことばの道案内」というものを全国で初めて導入したところでございます。
ソフト面におきましては、開会式、閉会式の観覧者の方の配席に当たりまして、身体上の理由による要望を観覧申込書にあらかじめ記載をしていただき、記載された方に対してはスタッフの配置をするなど、必要な対応を事前に準備しておりました。
また、車椅子の椅子席の利用に際して、介助者の方につきましては隣の席、家族などの同行者の方につきましては、その真ん前に配席をするなどの配慮をしたところでございます。
また、ボランティアの方々、ボランティア全員を対象として筆談研修を実施いたしまして、聴覚障害者と基礎的なやりとりができるようにするなどの対応を行ったところでございます。
以上のように、これまでのどの大会に比べても、可能な限り手厚い対応を行ったものと考えております。
〇おときた委員 設備面だけでなく、スタッフの研修など万全の準備をされてきたものと思います。
しかしながら、過去最大規模のイベントとあって、手が回らない部分もあったのかもしれません。事前にアンケート等で記載のあった方に対しては配慮をするといったご回答でしたが、盲目の方も今回書類のみの応募で、電話での申し込み等ができなかったということも聞いております。
こういった厳しい意見も含めまして、今後はさらに大きなパラリンピック等の大会も控えておりますので、今回の知見を生かした、さらなる円滑な障害者対応をできるよう期待いたします。
次に、特殊スポーツ振興に関連しまして、主に若洲海浜公園ヨット訓練所についてご質問させていただきます。
こちらは、平成二十三年四月から、港湾局からスポーツ振興局に移管されたものと伺っております。この施設をスポーツ振興局が所管する意義を改めて伺うとともに、直近五年間の来場者数の推移についても教えてください。
〇三浦スポーツ施設担当部長 若洲海浜公園ヨット訓練所は、初心者から競技者まで、それぞれの経験や目的に応じてヨットの帆走技術を習得できる教室を開催するなど、都民の誰もが気軽にヨット競技に取り組むことができる機会を提供する貴重な施設となっております。
平成二十年度から二十四年度までの過去五年間のヨット教室の参加者数は、平成二十年度が一千二百八十五人、二十一年度が一千四百十七人、二十二年度が一千三百六十七人、二十三年度が九百二十一人、二十四年度が七百五十五人であります。
平成二十三年度につきましては東日本大震災の影響により、また、二十四年度につきましては、十月より改修工事のため休館していることから、それぞれ参加者数が減少しております。
〇おときた委員 各年さまざまな事情はあったかと思いますが、やはり特殊なスポーツということで、利用者は限定されていることが感じられます。
平成二十四年度の決算を見ますと、若洲ヨット訓練所の使用料収入は、予算に対して五六・四%となっております。そして、こちらの管理運営は、若洲シーサイドパークグループが指定管理者として管理運営をしておりますが、都費からは平成二十四年度幾ら支出されたのか教えてください。また、その費用対効果についての見解をお聞かせください。
〇三浦スポーツ施設担当部長 平成二十四年度の若洲海浜公園ヨット訓練所の指定管理料は四千九百五十二万二千円であり、ヨット教室の使用料収入は四百八十二万三千円であります。
ヨットのように高額な用具や機材を必要とするスポーツは、そのスポーツに触れる機会が限られてしまうものですが、誰もが気軽にヨット競技に親しむ環境を提供することは、都民のスポーツ振興を図る上で重要であると考えております。
なお、平成二十五年度より、ヨット教室や利用者サービス事業の収入を施設の指定管理者の収入とする利用料金制を導入しております。このことにより、収支計画では、指定管理者の経営努力による都民サービスの充実と、施設の利用促進などによる収益増収に取り組み、指定管理料の削減を図ることとしております。
今後も、体験教室やイベントを通じて、ヨット競技の普及振興を図るとともに、収支計画に基づき効率的な運営を行うよう、指定管理者を指導してまいります。
〇おときた委員 厳しい運営状況ではありますが、都民のために継続する事業の意味もわかります。競技人口の少ない特殊スポーツだからこそ行政が運営していかなければならない、そういった側面はあると思いますが、都民の皆様の税金が投入される事業ですから、さらなる効率的な運営がされることを望みます。
最後に、こちらに関連いたしまして、ヨットと同じく特別な施設を必要とする特殊競技であるカヌーの競技場が、オリンピック・パラリンピックで江戸川区に建設される計画になっております。
しかしながら、現在のヨット訓練所の利用状況を見ますと、イベント終了後に費用対効果に見合う運営をしていくことは難しいのではないかとも思います。箱物、利用環境が整っていれば利用者がふえるわけではないことは、ヨット訓練所の例からも明らかであり、大規模な施設を建設するのであれば、イベント終了後も有意義に活用していく計画と展望が欠かせないと思います。この点についての見解をお伺いいたします。
〇荒井施設担当部長 オリンピック・パラリンピック大会におけますカヌースラローム会場につきましては、大会後、カヌー競技のほか、ゴムボートを使用して楽しむラフティングなど、広く地域の人々が水辺に親しむことができるものとするよう、施設のあり方を検討してまいります。
〇おときた委員 競技以外にも、ラフティングなどのエンターテインメントに活用されるということ、そちらもすばらしい試みであるとは思いますが、せっかくの立派な施設ですから、ヨットやカヌーなど特殊競技の振興、競技人口の拡大に尽力していただきたいと思います。
例えば、最新鋭の設備を生かして国際大会を誘致したり、東京都主催のイベントをより一層開催するなどが考えられますが、今後も、スポーツ振興局がより一層の積極的かつ具体的なイニシアチブをとってくださることを期待いたしまして、私からの質問を終了いたします。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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