◯十一番(おときた駿君)
みんなの党Tokyoを代表して、知事提出全議案に賛成、議員提出議案第十三号に反対の立場から討論を行います。
本定例会に先立ち、東京都長期ビジョンについて中間報告が行われました。世界の大都市に先駆けて、急速な少子高齢化と人口減少に直面する東京が、雇用、モビリティー、福祉、バリアフリーなどの面で東京モデルを構築し、世界に発信することで、次のステージに向けた都市像を明確に示していくべきであることは論をまちません。
しかしながら、今回のこの策定過程においては、団体ヒアリングや都民アンケートをしたということではなく、政策企画局が中心にビジョンをまとめたとのことであり、そのタスクフォースについても、実際には短時間の一回のみの開催というのが実態でありました。
今後の策定に当たっては、都民のニーズを把握することはもちろん、広範な都民にも参画してもらい、双方向で計画を策定していくことがさらに重要になることを、ここで改めて指摘をさせていただきます。
また、代表、一般質問においては、舛添都知事が積極的に進めている都市間外交についても議論が交わされました。我が会派所属の上田令子議員が指摘をしたように、これらを担当する役職である外務長には、外務省からの出向者が充てられておりますが、外交、安全保障をつかさどる外務省と、都市政策である都市間交流事業を担う東京都では、果たす責務が明確に異なります。
また、その採用に当たっては、関係文書が不存在という行政事業においては、いささか考えられない手続を経ていることを改めて指摘した上で、この役職につく者は天下りではないのかという都民からの疑義を持たれぬよう、外務省からの出向者に限定せず、広く民間人や都職員からの抜てきの検討を再び提案しておくものでございます。
それでは、第百六十号議案、東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例について申し上げます。
本条例案における東京都の設置基準は、全体として保育の質を追求するものであると捉えられます。子供たちの健やかな成長と安心・安全のために、厳しい設置基準を設けることは当然でありますが、従事する職員に幼稚園教諭と保育士の両方の免許取得が必要となるなど、ハードルの高い基準が、事業者の認定こども園移行への負担となる可能性がありますし、新規参入を妨げることからも、東京都として、これまで以上のサポート体制を整えていく必要があります。
また、この条例案策定に先立つ東京都子供・子育て会議においても、保育室の設置階についての激しい議論が行われました。都の基準は、国の府省令を基本的に採用し、原則的に一階に設置を求めていますが、例外も認めています。高層階に設置される保育室については、防災計画など、認可に当たって特に細心の運用が行われるよう強く要望するものでございます。
次に、第百六十八号議案、東京都薬物の濫用防止に関する条例の一部を改正する条例について申し上げます。
現行では知事指定までに数カ月を要する危険ドラッグの指定について、緊急時には数週間で指定をし、その販売や使用を迅速に規制することが可能となる本条例案への都民の注目度は、非常に高いものがございます。
東京都では、これに先立ち、八月、厚労省などと合同で都内三十四店舗に一斉立入検査を行い、指定薬物の疑いがある商品を見つけた場合、薬事法に基づき、検査結果が出るまでの販売を禁ずる全国初の措置を実施しており、高く評価をされております。本条例案の可決後は、危険ドラッグに対しても、これまで以上に迅速かつ厳しい取り締まりが望まれます。
しかし、危険ドラッグに関する課題は、取り締まりだけではありません。私たちが独自に実施したソーシャルメディア分析、いわゆるビッグデータ分析の結果では、SNSやブログ、各種の掲示板など、インターネット上に書き込まれる危険ドラッグ関連の話題のうち、実に三割以上が十代の若年層による書き込みであることがわかりました。中には、脱法ハーブはハーブだから健康によい、あるいは健康に問題がないと、そういった誤った認識を示す書き込みも散見がされました。
危険ドラッグの拡大を防ぐためにも、若年層に対する正しい普及啓発活動など、予防的取り組みが重要であることを、ここで改めて申し述べさせていただきます。
次に、議員提出議案第十三号、東京都木造住宅耐震改修促進補助条例について申し上げます。
都内全域を対象として、旧耐震基準に建築された木造住宅などの全てに、建てかえなども含めて助成をするというものでありますが、予算の裏づけがなく、残念ながら実現性に乏しい条例案です。加えて、個人の住宅というのは私有財産であり、これに対して公金を投入することに対しては、公平性の観点からも極めて慎重であるべきです。
よって、共産党の皆様の都民の安心・安全を思う志には心からの敬意を表しつつも、本条例案に対しては反対の立場を表明させていただきます。
次に、厚生委員会に付託されました請願二六第七号、シルバーパスの改善に関する請願について申し上げます。
現在、東京都が発行しているシルバーパスの発行枚数は九十万枚以上に及び、それにかかるコストは平成二十四年度実績で約百六十億円となっています。今回、子育て支援の拡充のために組まれた補正予算が約三十二億円であることと比較すれば、その大きさがよくわかります。
シルバーパスの意義のその全てを否定するものではありませんが、そもそも広域自治体でシルバーパスを発行しているのは、全国の都道府県で東京都ただ一つであり、その合理的な理由については明らかではありません。加えて、所得に応じて一定の負担をお願いする仕組みではあるものの、財産などのストックを条件に加味しないことから、九割近くの方がその対象外となっています。
この請願の後半部分、多摩モノレールのシルバーパス適用については、多摩地区と区部との格差解消の観点からも趣旨採択といたしましたが、シルバーパス政策は、貧しい若者から富める高齢者への所得再配分の一因ともなっており、制度の見直しが今後不可避であることを申し述べておくものでございます。
最後に、意見書について申し上げます。
現在、我が国では、女性の社会進出と男女共同参画社会の実現が喫緊の政治課題です。政府も経済成長戦略の中核として対策を進めておりますが、その対応はいまだに不十分で、本人の意に沿わない、妊娠、出産による退職や介護離職、さらにはセクシュアルハラスメントやマタニティーハラスメントなど、そういったものが深刻な問題になっております。先般、我が東京都議会においても、性差別を含む不規則発言が問題となりました。
女性政策の推進に当たっては、働く女性、母親への就労継続支援、母親の再就職支援、子育て、介護支援策の拡充はもちろんのこと、特に女性の生命と尊厳を害するハラスメントや暴力の根絶を強く推し進めなければなりません。
こうした理由から、我が会派は、全ての女性が活躍できる政策の推進に関する意見書を厚生委員会に、民主党とともに共同提案させていただきましたが、他の会派からの賛同を得ることができず、本会議の俎上に上がることはありませんでした。
不規則発言で世間を騒がせた東京都議会こそ、こうした意見書を積極的に採択し、みずから襟を正していく、そういった姿勢を見せるべきだと考えましたが、この結果は大変に遺憾であります。
私ども、みんなの党Tokyoは、今後も人権侵害のない議会と女性が活躍できる政策の実現を目指しまして、今後も全力で議会活動に邁進していくことをお誓い申し上げまして、私の討論とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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