平成26年第四回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 おときた駿
質 問 事 項
一 補助86号線の都市計画について
二 特区限定の保育士について
一 補助86号線の都市計画について
都市計画道路である補助86号線についてお伺いいたします。この補助86号線も含めた多くの都市計画道路は、昭和21年4月25日に決定された「戦災復興院告示第15号」において決定したとされています。そしてその関係図面については、「東京都に置いて縦覧に供す」と昭和21年4月の官報が明確に規定しています。この一連の決定は、本事業計画の正当性を証明する非常に重要な手続きであると考えられます。そこで、以下の点についてお伺いいたします。
1 官報に指定された関係図面は、現在東京都において実物が保管されているのか伺います。仮に原本が消失している場合、手続きに重大な瑕疵がある可能性があります。現在用いている代替の図面があるとしても、その図面が計画当時のものと相違ないことを証明することは困難にも思えますが、東京都の見解をお聞かせ下さい。
2 そもそも本事業を内閣総理大臣が決定したとされる「告知文書」が、存在しない可能性が指摘されています。70年近く前の文書とはいえ、行政文書が存在しなければ、この事業の正当性そのものが疑われます。この点につきまして、事実関係と東京都の見解をお伺いいたします。
3 さらに、この都市計画における「内閣総理大臣決定」とその告示について、昭和21年4月25日は幣原内閣が総辞職していた時期にあたり、戦災復興院の阿部総裁が告示を出したとされています。しかしながら、この阿部総裁は戦災復興院の総裁就任にあたって、内閣総理大臣の添え書きはあるが、天皇の認証がある総裁任命の辞令書が出せず、国務大臣資格のない総裁であった点が指摘されています。つまり、この都市計画自体が旧都市計画法第3条の規定する正当な手続きに則っていない可能性があると考えられますが、この点につきまして、東京都の把握している事実関係と見解をお聞かせください。
二 特区限定の保育士について
本年10月の国家戦略特区諮問会議において、特区内での保育士不足解消を目指した追加規制緩和策として、地域を絞って国家戦略特区のみで働くことのできる「地域限定保育士」を新たに創設することが決定されました。現在、待機児童解消のボトルネックの一つとなっているのが、都市部における保育士不足です。これによって、今年も4月開園予定だったにもかかわらず、保育士がいなくて開園できなかった園が東京各地で見られたとされています。
保育士不足の根源的な問題は、給与を始めとしたその待遇の低さにあるとされていますが、この改善には多くの財源や制度設計のための時間がかかります。一方で、保育士試験を複数回化してその絶対数を増やすことはすぐにでもできる改革の一つであり、すでに待機児童対策を熱心に行っている神奈川県がこの特区制度を活用するとの報道もなされています。そこで、この特区限定保育士について、以下の3点について伺います。
1 保育士試験の複数回化の必要性について、都の認識をお聞かせ下さい。
2 神奈川県以上により深刻な待機児童問題、保育士不足を抱える東京都こそ、本特区制度をいち早く導入するべきと考えますが、見解を伺います。また仮に導入が難しいとしている場合、都が課題として認識していることは何かをお伺い致します。
3 仮にこちらの特区制度を活用しない場合、機動的に保育士不足を解消していくために東京都はどのような対応をされるのか、今後の計画について具体的にお答えください。
平成26年第四回都議会定例会
おときた駿議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 補助86号線の都市計画について
1 補助86号線について、官報に指定された関係図面は、現在、都において実物が保管されているのか伺う。仮に原本が消失している場合、代替の図面があるとしても、その図面が計画当時のものと相違ないことを証明することは困難だが、見解を伺う。
回答
補助第86号線について、官報に記載のある関係図面は、現在、不存在です。
この補助第86号線の都市計画決定された区域は、他に都市計画決定された区域も合わせて図示した資料に継承し、適切に監理しています。
質問事項
一の2 本事業を内閣総理大臣が決定したとされる「告知文書」が、存在しない可能性が指摘されているが、事実関係と見解を伺う。
回答
補助86号線の都市計画決定について、戦災復興院告示第15号(昭和21年4月25日)に記載のとおり決定されており、都市計画法に基づき、適切に手続が実施されたものと認識しています。
質問事項
一の3 この都市計画自体が、旧都市計画法第3条の規定する正当な手続きに則っていない可能性があるが、都の把握している事実関係と見解を伺う。
回答
昭和21年当時の都市計画法第3条では、主務大臣が都市計画決定し、内閣の認可を受けることが規定されています。
しかし、勅令第671号(昭和20年11月30日)により、戦災地に係る都市計画決定に関しては内閣総理大臣が主務大臣とされ、勅令第941号(昭和18年12月27日)都市計画法及同法施行令臨時特例により、内閣の認可も不要となっています。
戦災復興院告示第15号(昭和21年4月25日)に記載のとおり、都市計画法に基づき、適切に手続がされたものと認識しております。
質問事項
二 特区限定の保育士について
1 保育士試験の複数回化の必要性について、都の認識を伺う。
回答
保育士試験については、保育士資格取得の機会を拡大するため、これまでも繰り返し国に対して、試験回数を増やすよう要望しています。
質問事項
二の2 深刻な待機児童問題、保育士不足を抱える東京都こそ、本特区制度をいち早く導入すべきだが、見解を伺う。また、仮に導入が難しいとしている場合、都が課題として認識していることは何か、見解を伺う。
回答
保育士試験は、現在、全都道府県が一般社団法人全国保育士養成協議会を指定試験機関に指定し、全国統一の試験として実施しており、受験料で賄われています。
国家戦略特区による地域限定保育士(仮称)の創設については、特区で2回目の試験を実施し、3年程度当該都道府県内のみで保育士として通用する地域限定保育士の資格を与えることとしていますが、導入に当たっては多くの課題があると認識しています。
具体的には、一般の保育士試験は8科目あり、3年間で全ての科目を合格することが条件となりますが、科目の一部を特区試験で合格した場合にも地域限定保育士となるのか、受験生の科目合格管理を誰がどのように行うのか、就労しなければ年数が経過しても地域限定保育士から一般の保育士にはなれないのか、特区試験の場合の受験料や財政負担をどうするのか、などの課題があげられます。
質問事項
二の3 仮に本特区制度を活用しない場合、都はどのような対応をするのか、今後の計画について具体的に伺う。
回答
都はこれまで、保育施設勤務経験者で、現在勤めていない人を対象に、就職支援研修と就職相談会を一体的に実施するほか、未経験の有資格者を対象としたセミナー等の取組を実施しています。
また、東京都保育人材・保育所支援センターに、保育人材コーディネーターを配置し、事業者と就職希望者のマッチングや定着に向けた支援を強化するほか、働きやすい職場環境づくりに関する事業者向け研修を行っています。
さらに、国の安心こども基金による保育士宿舎借上げ支援事業を都独自に拡充し、保育従事者の確保及び定着を進める区市町村や事業者を支援しています。
今後とも、福祉人材の育成・定着・再就業を進めるとともに、保育士、介護福祉士等の福祉人材に関する情報を一元的に管理する「人材バンクシステム(仮称)」を新たに構築し、求職者や離職者等に対して、求人情報を効果的・積極的に発信するなどの働きかけを実施していきます。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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