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平成27年3月19日 厚生委員会質問内容

○おときた委員 私は四つのテーマで質問をさせていただきます。
 まず初めに、食品製造業等取締条例の一部を改正する条例について伺います。
 こちらは路上で、主にお弁当などの規制についての条例案になりますが、この条例に至る経緯と条例が施行されたらどう変わるかということに関しましては、斉藤理事の方からも質問がありましたので省略をさせていただきます。
 食の安全が重要なことはいうまでもありませんが、しかしながら一方で、さっき理事からもあったように、真面目にやっている業者さんも既にいらっしゃいます。
 この条例案が施行されると、こういった真面目にやっている方々もやっぱりやり方というのはさまざまですから、設備投資や資格の取得等々で一律にやってしまいますと、事業者の販売コストが上がって、事業から撤退する可能性や販売価格が上昇するという事態も想定されます。これはすなわち、事業者や安価な弁当を購入する消費者たちの利益を損なうことにもなりかねません。
 食品安全審議会は、もちろん食の安全という観点からの議論が中心になりますが、施策が及ぼす総合的な影響を考慮しなければなりません。
 では、まず初めに、この審議会の中で事業者側と消費者側の意見はどのように聴取され反映されたのでしょうか、伺います。
〇仁科食品医薬品安全担当部長 食品安全審議会は、食品関係事業者団体や消費者団体、学識経験者、公募の委員から構成されております。
 今回の弁当行商の審議に当たり、審議会では検討部会を設置し、事業者側として弁当の製造販売事業者の組合や、弁当を販売するコンビニエンスストア等で構成される団体の代表者、また、消費者側としてオフィス街で働く代表者を委員に加え、さらに弁当行商に携わる事業者からヒアリングも実施し、専門的かつ具体的に規制のあり方について検討いたしました。
 さらに、広く都民から意見を聞くため、答申をまとめるに当たってパブリックコメントを実施いたしました。
 審議会では、検討部会での検討結果やパブリックコメントを踏まえ、昨年二月、弁当等の屋外販売については、直射日光等の影響を受けにくい屋内への販売形態へ誘導することを第一として、人力により移動して販売する場合は、温度管理など衛生管理を確実に向上させるために必要な要件を整備すべきと答申がなされました。

○おときた委員 丁寧な答弁をいただきまして、都としては十分に関係者からの意見聴取は行ったという認識だということがわかりました。
 食の安全は何かがあってからでは遅いというのは大前提です。しかしながら、あくまでも一般論としては、こうした食に関する規制というのは、何か大きな社会的な事象が発生して、世論とともに動いていくというケースが多いと思われます。
 今回、なぜこのタイミングで規制が変わるのかというのに関しては、都民目線では少々わかりづらい部分もあるのではないでしょうか。
 路上販売を問題視する声があることは事実でありますが、反社会的勢力が商売を取り仕切っている、道路を不法に占拠している、あるいは既存の飲食店の経営を圧迫しているなど、それぞれの関係者が認識している課題は単一ではなくて多岐にわたります。
 こうした論点が複雑な問題に対して、衛生というアプローチのみから規制をかけるという動きは、あらぬ臆測を呼ぶことにもなりかねません。
 また、規制するということは、同時に事業者の商売の自由や消費者の選択の自由を奪うことにもなりますから、慎重な対応がなされるべきとの意見も根強く存在します。
 こうした総合的な影響も踏まえて、このタイミングで東京都が規制に踏み切る理由をいま一度お聞かせください。
〇仁科食品医薬品安全担当部長 食の安全を確保することは、都民が健康で豊かな生活を送るための基盤となるものであり、消費者の選択も安全が担保されていることが前提となります。
 近年、弁当行商は、炎天下で路上に大量の弁当を陳列して販売するなど、本来の少量を短時間で売り歩く形態と乖離した状況が都市部で多く見られるようになり、制度上の見直しについて、特別区保健所生活衛生課長会から検討会の設置が要望されました。
 都区市の担当者で構成される検討会が行商による弁当販売の実態調査を実施。その結果、行商弁当の細菌数及び大腸菌群数の不適合率は、製造時よりも行商販売時の方が高い傾向にあることや、遮光性のない運搬容器の場合、著しく容器内の温度が高くなることを確認いたしました。
 食品安全審議会は、このような実態調査の結果を踏まえた科学的根拠に基づき、弁当等に関する食品販売の規制のあり方について審議し、答申がなされました。
 都は、審議会からの答申を踏まえ、食品衛生上の危害の発生を未然に防止するため、食品製造業等取締条例改正を本定例会に提出したものでございます。

○おときた委員 安心・安全、また衛生の面からは、しっかりとした科学的な根拠もあり、そういった理由は理解ができるところです。
 ここで少し話はそれますけれども、海外で日本人が被害に遭ったテロ事件などが発生した際も、それに対する渡航の是非が議論されます。危険とわかっている国に行かせるなとか、国が規制しろというような話が出てきますが、渡航の自由、選択の自由というのがありますし、安全を追求し過ぎれば、国や行政が国民の行動の箸の上げ下げまで管理するということにもなりかねませんし、これは非常に難しい議論です。
 こちらの規制の話に戻りますと、やっぱり多少のリスクはあっても、安くて手軽なお弁当を時間もないし買いたいという若いビジネスマン層がいるということは一定の事実ですし、選択の自由を重視してほしいという声は当事者たちからも数多く聞かれます。
 消費者の選択も、安全が担保されていることが前提というのはご指摘のとおりでありますが、その線引きにもまたさまざまな意見があるところです。
 加えて今回の議案提出までのプロセスに当たっては、議論が完全に尽くされているかということは個人的には疑問です。
 食品安全審議会のメンバーになっている消費者の代表というのは、主婦連の方など、いわゆるスーパーとかお買い物をするという意味では消費者の代表なんですが、あと公募委員の方もプロフィール的には、今回の路上販売のお弁当を買うような現役のサラリーマンの方ではありません。
 検討部会の方には、オフィスで働く者の代表ということで、労働組合の方が呼ばれておりますけれども、この方本人も現役の方でもありませんし、今、労働組合というのは若い世代の方の加入率はどんどん下がっておりますので、こういったところの意見を聴取したとしても、果たして本当に当事者の意見が集まっているのかというのも少々疑問が残るところです。
 加えて、パブリックコメントを行った、これは非常によいことだと思うんですが、集まった意見も十四件ということであって、実際に路上でお弁当を買っている当事者たちの声が十分に鑑みられていないのではないかと思います。
 こうした側面から、本条例案につきましては、まだ継続して議論を行うべきとの意見を表明させていただきまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、東京DMATについて伺います。
 昨日の病院経営本部でも質問をさせていただきましたが、DMAT、特にDMATカーをより活用すべきという観点から幾つか確認をさせていただきます。
 DMATカーの運用については、以前から有識者やまた議員からも適正な利用に向けた改善が指摘されているところでありますが、まずこのDMATカーの配置基準、つまりDMAT指定病院の選定基準を教えてください。
〇小林医療政策部長 都は、災害医療派遣チーム東京DMAT運営要綱に基づき、東京DMATの編成について協力する病院を、東京DMAT指定病院として指定することとしております。
 東京DMAT指定病院の選定基準は、救命救急センターを有するまたはこれに準じた機能を有する災害拠点病院及びその他知事が必要と認める災害拠点病院のうち、東京消防庁との連携体制を整え、東京DMATの活動に協力することができる病院となっております。

○おときた委員 ご答弁のように三つの指定理由があるわけですね。
 ここで、DMAT指定病院として中核病院や大学病院など大手の病院が名を連ねてDMATカーが配備されていく中で、規模などを考えると、指定先として一見すると疑問を感じる病院もあります。
 DMAT指定病院の選定には三つの基準があり、そのほとんど、二十五のうち二十三までが救命救急センターを有しているわけですが、救命救急センターに準じた病院というのはどのようなものなのかを伺います。
〇小林医療政策部長 救命救急センターに準じた病院とは、救急患者の受け入れ実績のほか、災害医療に取り組む体制、首都直下地震等の被害想定を踏まえた地理的条件、大学病院であることなどを総合的に判断して、他の救命救急センターを有する東京DMAT指定病院と同程度の東京DMAT活動を期待できると認められる病院でございます。

○おときた委員 救命救急センターに準じた機能を有する病院として選ばれるのは、かなり強い特別な理由があるということが推察をされます。
 実際にDMAT指定病院で、この理由で指定されている病院は二つしかありません。都民目線で見ても、DMATが配置されるぐらいならかなりしっかりした病院ではないかと、そういうふうに感じると思うんですね。
 ところが、この二つのうちの一つである白鬚橋病院は、DMAT指定をした前後の二〇一二年に運営母体が経営破綻をしています。にもかかわらず、この病院がDMAT指定にふさわしいと判断した理由を伺います。
〇小林医療政策部長 都は、白鬚橋病院の現在の運営法人が、救急車の受け入れ体制や、東京DMATの単位数を初めとした災害医療に取り組む体制などを確保し、円滑に事業を継承していることを病院事業計画書等で確認して、東京DMAT指定病院として指定いたしました。

○おときた委員 円滑に事業を継承していることを確認したためとのことですが、具体的に確認をした時期はどのタイミングなのでしょうか、日付で正確に教えてください。
〇小林医療政策部長 平成二十四年七月一日付で確認しております。

○おときた委員 ここなんですけれども、この白鬚橋病院の運営母体が破綻したのが平成二十四年の六月、正確には六月六日のようなんですね。そして、現在の団体が平成二十四年の七月一日から引き継いでいると。その同日に東京都は確認を終えているということになります。
 普通の民間の事業であれば、同じ内容でも異なる団体が引き継いで運営を始めれば、大体一年か二年ぐらいは経過を見てから、これは果たしてしっかりと運営されているのかという、そういった投資を判断するのが通常であると思います。
 母体が変わっても、すぐさま書類上の体制が整っていたからといって、それをもって即座によしとしたことには疑問を覚えます。
 そうした特別な背景があって配備された白鬚橋病院のDMATカーには、都民からの厳しい目が注がれています。
 経営破綻が確実となった後も、DMATカーの配備決定を継続するに当たってどのような判断で行ったのかを改めて伺うとともに、また現時点で白鬚橋病院のDMATカー運用実態をどの程度把握し、運用に当たってどのような管理、指導をしているのかを教えてください。
〇小林医療政策部長 都は、東京DMATが長時間にわたり自己完結型の活動を行えるように、東京DMAT運営要綱に基づいて、全ての東京DMAT指定病院に災害時医療支援車、いわゆるDMATカーを配備することとしております。
 白鬚橋病院につきましても、現在の運営法人が円滑に事業を継承していることを確認して、東京DMAT指定病院として指定したことからDMATカーを配備することといたしました。
 また、都は白鬚橋病院を含め、全ての東京DMAT指定病院からDMATカーの運用状況について報告を受け、状況を確認するとともに、貸付契約に基づいて各指定病院の管理者に適正な管理を求めております。

○おときた委員 一般論としてお答えいただいたわけですけれども、DMATカーの平均走行距離、こちらは年間六百八十キロ程度で、これ自体も決して多い数字はありませんが、この白鬚橋病院のDMATカーはそれをさらに下回る四百四十キロ程度の走行距離だということを聞いております。
 出動回数も七回のみということで、病院転送などにも活用している他の病院と比べると、運用が活発とは思えません。特別な背景を持ちながら高価、高性能なDMATカーが配備されたこの病院には、その運用について都民から厳しい目が注がれており、より一層の活用を強く期待したいと思います。
 こうした個別具体的な事情も含めて、DMATカーの運用は見直しの時期に来ているのではないでしょうか。
 現在どのような会議体で議論が行われ、今後のより一層の有効活用に向けてどのような検討を行っていくのか、見解をお伺いいたします。
〇小林医療政策部長 DMATカーの運用につきましては、知事からの緊急の出場要請に応じて、いつでもDMATカーが出場できる体制を確保していくことが必要でございますが、東京DMATの活動に支障がない範囲で、指定病院が行う転院搬送などにDMATカーを活用することができるとしております。
 都はこれまで、東京DMAT運営協議会におきまして、災害時等におけるDMATカーの運用について検討してきたところでございますが、引き続き指定病院などの関係者の意見も聞きながら、平常時の活用も含めたDMATカーの運用について検討してまいります。

○おときた委員 ご答弁いただきまして、個別の活用を認めているということなんですが、ところがやはり個別の病院に聞くと、なかなか単独では活用が難しい、東京都がしっかりガイドラインを引いてくれということで、なかなかこの、いい方は悪いんですけど、責任の押しつけ合いみたいなところになってしまっているのかなというふうに感じます。
 こういったことを総合的に鑑みて、配備からかなりの年数がたちますので、しっかりとした活用をDMAT運営協議会の答申に基づいて検討していただきたいことを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 それでは次に、予算特別委員会でも触れさせていただいた、有料老人ホームの管理、監督についてお伺いいたします。
 先般、実はフジテレビのスーパーニュースにおいて、町田市のとある施設についての特集が組まれました。
 ここでは、入居間もないうちにひどい扱いを受けて、体調を崩し入院となった事例があること、医師が診断した際に褥瘡などの恒常的な虐待を疑われる症状があったこと、また、医療関係者によると、この施設から病院搬送の複数の事例があることなどが報道されておりました。
 私の手元にもさまざまな関係者から情報が寄せられ、都民の健康、安心・安全を守る上で看過できない事態と考え、こちらで東京都の対応について確認をさせていただきます。
 報道にもあったように、一月二十日に町田市にある該当施設に東京都が立入検査を行っておりますが、これはどのような理由で何のために行ったものなのかを伺います。
〇飯塚指導監査部長 お話の施設は、特定施設入居者生活介護の指定を受けたいわゆる介護つき有料老人ホームであり、都は、介護保険法第二十四条及び老人福祉法第二十九条に基づき立入検査を行うことができます。
 当該施設については、事前に把握した施設の運営に関する情報などから直接状況を把握する必要があると判断し、立入検査を行ったものでございます。

○おときた委員 さきの予算特別委員会の質問でも確認させていただいたとおり、いわゆる期間を定めた定期的な立入検査というのは行っていないというわけですから、何らかの情報が事前にもたらされていたということだと思います。
 そして翌月には、町田市が同施設に立入検査を行っておりますが、これは合同で調査を行わなかったという理由は何でしょうか、伺います。
〇飯塚指導監査部長 町田市の立入検査は、介護保険法第二十三条に基づき、保険者としての立場から行われたものでございます。
 今回は、都と町田市との合同での立入検査という形はとらなかったところでございますけれども、検査の状況等については市と状況を共有しております。
 今後とも、町田市と連携して対応してまいります。

○おときた委員 済みません、一点これは確認になりますが、それでは合同調査というのはどのような場合に行われているのかを念のために伺います。
〇飯塚指導監査部長 都は、介護つき有料老人ホームの運営に関する情報などをもとに、検査対象施設を決定し計画的に立入検査を実施しております。
 その際、施設の所在する区市町村に立入検査への同行を依頼するなど、必要に応じて合同で検査を実施しております。
 また、事故や苦情など不適切な施設運営が疑われる場合には、都は区市町村と合同で緊急に立入検査を実施しております。

○おときた委員 ケース・バイ・ケースでさまざまな事例があるかと思いますが、ただ、こちらの場合は、もし報道のとおりであったとすれば、十分に不適切な施設運営等が疑われる場合に当たる可能性があります。
 虐待の常態化が疑われるなどの報道に対して、東京都は一月二十日の調査も踏まえてどのような事実関係を把握しているのかを伺います。
〇飯塚指導監査部長 現在、都では、一月二十日の立入検査の後、施設から提出を受けた書類の調査や運営会社からの聞き取りを進めているところでございます。
 本件の具体的な事実関係等については、現在検査中でございます。

○おときた委員 現在検査中ということで、検査中のことについては詳細をお示しできないという事情は理解をいたします。
 それでは事実関係の確認なんですが、同施設から出された事故報告書は何件把握されているか。うち、死亡にまでつながった事故報告は何件か。また、これは速やかに提出されたものなのかどうかを伺います。

○枦山高齢社会対策部長 今年度、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針に基づき、同施設について本日までに事業者から都に提出された事故報告書は一件であり、これは死亡事故報告でございます。
 また、この事故報告は都の指導により出されたものでございます。

○おときた委員 ご答弁のように、死亡という、疑いなく事故報告をしなければいけない案件が、東京都の指導がなされるまで出てこなかったというこの実態があるわけですね。
 そして私どもの調査によれば、これ以外にも報告されていない複数の事故がある可能性が指摘をされています。近隣の医療機関にも、この施設から多数の緊急搬送が受け入れられたという事例があるようです。
 このような運営が疑われる等施設に対して、現在、どのような改善指導や処分を東京都として検討しているのかを伺います。
〇飯塚指導監査部長 検査の結果、問題が認められた場合には、施設に対して口頭指導や文書指摘を行った上で改善状況報告書の提出を求めるなど、介護保険法や老人福祉法に基づく指導を行っていきます。
 改善が認められない場合には、介護保険法に基づく改善勧告や改善命令もしくは指定の取り消し等の行政処分など、あるいは老人福祉法に基づく改善命令を行うこととなります。
 なお、当該施設については、現在、事実関係を検査中でございます。

○おときた委員 改善が認められなければ取り消しまで行えるという強い権限を持っておりますので、ぜひ町田市とも連携をして、迅速な対応、検査結果を出していただきたいと強く要望いたします。
 我々もこの件につきましては引き続き調査を進めていきますが、もしこの運営母体が該当施設以外にも複数の施設を運営しているとすれば、そちらにも厳しい検査、指導監督をいま一度行い、都民の命と健康、安心・安全が守られるように重ねて要望し、最後のテーマに移りたいと思います。
 次に、社会的養護についての質問に参ります。
 まず初めに、里親制度の普及促進についてです。
 東京都では養育家庭の名称で、我が国では一般的に里親で定着を見ている社会的養護の一形態ですが、他の先進国と比べて里親制度が普及せず、養子縁組との混同も多く見られます。
 これが、社会的養護が必要な要保護児童の実親が、施設はよいけど他人にとられてしまう里親はだめと里親措置に同意しない原因の一つともいわれています。この原因の一端は、里親というイメージがそもそも間違って普及してしまったことによるものではないでしょうか。
 私が独自に行ったインターネット上の、いわゆるビッグデータ解析といわれるものなんですが、ネット上で使われている里親という言葉は、何と九六%以上が犬や猫などの動物、ペットの里親という文脈で使われておりました。
 ペットの里親というのは、一般的には飼い主、引き取り手を意味しますから、日本における里親と養子縁組の概念がこれで混同してしまったと考えられます。
 冒頭に述べたように、東京都では独自に養育家庭という用語を用いておりますが、残念ながら現段階では一般的にはほとんど普及をしておりません。
 里親制度への誤解を解いて普及啓発を行うため、こうした間違ったイメージを払拭する行政側からの主体的な働きかけが必要と考えますが、この点について東京都の取り組み、対策をお聞かせください。

○松山事業推進担当部長 都は、養育家庭制度を広く都民に周知し理解を促進するため、十月、十一月の里親月間を中心に、区市町村や児童養護施設等と連携した体験発表会を開催するとともに、ホームページ、広報紙、フリーペーパー等を活用した啓発活動を実施しております。
 今後とも、区市町村や児童養護施設の里親支援専門相談員などと連携し、養育家庭の普及啓発等に努めてまいります。
 なお、都では、里親の名称の適切な使用につきまして、動物などと同じような印象を与える不適切な里親の名称の使用がないように区市町村等に周知を図っております。

○おときた委員 こうした一度ついてしまったイメージを払拭するには時間がかかりますが、ぜひ地道な活動をしっかりと、広報活動を続けていただきたいと思います。
 次に、専門養育家庭について伺います。
 虐待された児童や非行等の問題を有する児童及び身体障害児や知的障害児など一定の専門的ケアを必要とする児童を養育する専門里親、東京都では専門養育家庭ですが、こちらへの委託数は平成二十一年度からずっと一名ないし二名のみの委託となっており、数字だけで判断しますと、なかなか活発には動いていないような状況が見られます。
 実際に専門里親に登録しようとされた方のお話によりますと、登録するために必要な講習、レポートなどがあり、それに必要な二万円程度の教科書は里親さんの自己負担になっているそうです。
 高いハードルと登録する里親さんに負担がありながら、それほど活用事例がないというのはいささかもったいないような気もします。
 今後、この専門里親をどのように活用されていくのでしょうか。また、里親側に対する金銭的な負担は都側が負担するべきではないでしょうか。今後の展望をお伺いいたします。

○松山事業推進担当部長 被虐待児、非行等の問題を有する児童及び障害児など専門的ケアを必要とする児童については、一人一人の状況を総合的に判断し、適切に専門養育家庭等に委託しております。
 また、専門養育家庭になるためには、都が実施する専門養育家庭研修の課程を修了していることが必要となります。
 都では、本研修のスクーリング受講料及び施設実習にかかわる経費を負担しておりますが、テキスト代につきましては、受講後、個人の所有となることから本人負担としております。

○おときた委員 教材に関しては、受講後本人のものになるからということで自己負担というのは理屈としては正しいとは思うのですが、二万円というかなり高価なものですので、こちらに関してはなかなか個人では手を出すのが難しいのかなと。図書館でも借りられるということですけれども、やっぱり受験とかは手元に参考書があった方が勉強しやすいと思いますし、仮に十五名程度の専門里親さんであれば年間支出は三十万円ということで、決して高いコストではありませんので、ぜひこちらは都側が負担をして専門養育里親さんを支援していただくように要望いたします。
 次に、里親として受託するまでの交流期間における里親側の自己負担についてです。
 児童相談所から里親措置の打診があり、実際に里親が児童を措置されるまでの交流期間は双方にとってとても大切な期間ではありますが、その間の里親の経済的、心理的、時間的な負担は非常に大きい、そういった声が里親たちから多く上がっています。
 慎重な対応をする東京都は、特に乳幼児期間は長く交流させる傾向があり、半年間が平均ともいわれています。
 こうした交流期間中の負担軽減については、東京養育家庭の会からも毎年要望が出ていると聞いております。
 平成四十一年度までに社会的養護の六割を家庭的養護とすることを目指す東京都として、里親をサポートし促進を目指すためにもこの点は改善すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○松山事業推進担当部長 養育家庭の委託に当たっては、養育家庭の状況をきめ細かく把握し、委託に向けた交流を重ねるなど、丁寧な支援が必要であります。
 そのため、委託前からの支援の必要性について認識しており、既に国に対して養育家庭と施設入所児の交流に要する経費など、必要な補助を行うよう要望しております。

○おときた委員 国に対しては東京都としても要望しているということなんですが、東京は福祉世界一を目指すのであれば、国が先駆けて東京都が独自支援をするということまで視野に入れて行動を起こしてほしいことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、フレンドホーム制度について伺います。
 里親委託ができない事情がある要保護児童たちに家庭を体験させることを主たる目的として創設された本制度ですが、運用が始まり実態は少しずつ変わり始めています。
 登録をする里親の中にも、まずはお試しでフレンドホーム制度に登録という方もいらっしゃるようですし、私の調査によりますと、現在は必ずしも里親措置が絶対に難しいという子ばかりが本制度を利用しているわけでもないようです。
 ところが現在の制度では、フレンドホームはあくまで里親措置とは別制度になっているため、フレンドホーム登録家庭のもとで一定期間を過ごして、非常に関係が良好で双方が里親関係を臨む状態になったとしても、その希望はかなわないという仕組みになってしまっています。
 フレンドホームを利用した児童の里親措置に関しては、こうした利用実績を踏まえて児童相談所による速やかな里親措置を連動できるように改善すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○松山事業推進担当部長 フレンドホームは、実親の承諾が得られない等の事情により、養育家庭委託ができず、施設入所中の児童を対象としたものであり、夏休みや冬休みなどの学校が休みの期間に数日間、施設に登録した家庭に預ける制度でございます。
 養育家庭委託が難しいと判断された施設入所中の児童につきましても、保護者等の面会の有無や家庭への引き取りの見通しなどを総合的に判断し、フレンドホームとして交流中の家庭が養育家庭として都に登録されている場合には、児童相談所はその家庭を含め適切な家庭を選択し、養育家庭への委託を検討しております。

○おときた委員 丁寧にご説明いただいたんですけれども、やっぱりこれは制度としては別の制度で、一回交流期間が終わると、当然含めた検討ということなんですが、ゼロリセット、一端その実績はフラットになって児童相談所からまた新たな選択と申しますか、検討が始まるというような形になっているということかと思います。
 こちらについては、設立から三十年弱が経過いたしまして、運用実態もだんだん変わってきておりますので、こういった声は実際の里親さん、そして送り出す施設の側、当事者、いろんなところから聞こえてまいります。
 このフレンドホームの制度の見直しにつきましては、引き続き検討されることを要望いたしまして、最後の質問に移りたいと思います。
 最後に、民間による特別養子縁組との協力関係について伺います。
 現在、特別養子縁組には行政、つまりは東京都があっせんするものと民間の事業者があっせんするものがあります。
 行政があっせんした場合には、特別養子縁組の事情に応じたそれぞれの行政サービスが受けられますが、民間のあっせんで成立した特別養子縁組の場合には、そうした行政のサービス制度を利用することができません。仮に民間あっせんにより成立したケースに同様のサービスを提供しても、その絶対数の少なさから大きなコストになるとは考えられません。
 東京都がこれから特別養子縁組の取り組みを進めていくのであれば、この部分への手厚いサポートと投資は行ってしかるべきと考えますが、これについての見解をお伺いいたします。

○松山事業推進担当部長 養子縁組あっせん事業は社会福祉法の第二種社会福祉事業であり、営利を目的としたあっせん行為や、実費相当以外の金品の受領が禁止されております。
 しかし、事業者の活動内容がさまざまであり、金品等の取り扱いの透明性などに課題があったため、平成二十五年に都内全事業者に対して訪問調査を行い、あっせん行為の透明性の確保、適正な金品の処理等について指導を行いました。
 中でも二事業者につきましては、実費徴収が不透明である等の問題が見られたため、早急な改善を指導いたしました。
 また、昨年五月に国の指導基準が改正され指導の強化を図っていることから、現時点での連携には課題があると認識しております。
 現在、国は養子縁組で親となった両親に対する支援方法等について調査研究を実施しており、都としては、こうした国の研究結果なども踏まえながら今後の対応を検討してまいります。

○おときた委員 ご答弁のとおり、さまざまな問題が民間団体にあったということは事実であると思います。
 ただこれは、序盤の東京都子供・子育て会議においても委員から指摘されたことなんですが、今、東京都と民間の特別養子縁組のあっせん団体は、監視する側と監視される側という不幸な関係でしかない、もっと協力体制をしくべきだというような提言が出されておりました。
 これはやっぱりご指摘のとおりだと思いまして、特にあとは利用者目線というところから見れば、利用者、特に子供から見れば、行政から受けたあっせんなのか、民間から受けたあっせんなのかというのは全く関係がない話で、なぜこのサポートが受けられないのかというのは、非常に利用者目線で見ればわかりづらいことでもあり不幸なことでもあると思います。
 こうしたことも鑑みて、しっかり民間団体を監視する、指導するところはそういったところで指導する、そして協力することは協力するということで、この利用者目線を第一にして、全ての方がこういった行政サポートを受けられるような体制となることを最後に強く要望いたしまして、本日の私の質問を終わります。
 ありがとうございます。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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