平成27年第四回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 おときた駿
質問事項
一 東京都の里親認定基準について
二 聴覚障害児の入所施設について
一 東京都の里親認定基準について
近年、東京都でも世田谷区や渋谷区で同性パートナーシップが発行されるなど、「家族」を巡る概念は急速に多様化しています。欧州を中心とする諸外国では既に、子どもを産むことはできないけれど、育てる意思と能力のある同性カップルが里親委託・養子縁組を行える例が存在し、今後わが国においても、価値観の多様化に伴う家族の在り方の再検討が進んでいくものと考えられます。こうした背景の中で東京都の里親認定基準を見てみますと、
里親申込者は、配偶者がいない場合には、次の全ての要件を満たしていること。
・ 児童養育の経験があること、又は保健師、看護師、保育士等の資格を有していること。
・ 起居を共にし、主たる養育者の補助者として子供の養育に関わることができる、20歳以上の子又は父母等がいること。
とされており、その前提がいまだに「家族・血縁」に限定されていることがわかります。そこで、以下の3点について質問致します。
1 この血縁・親族制度を中心とする里親認定基準は、どのような法的根拠に基づいて設定されたものでしょうか。法の要請による全国一律の基準ではなく、東京都が独自に定めたものであるとすれば、このように規定されている理由を教えて下さい。
2 現行の認定基準下で、一般論として、本人が保育士等の資格を有しており、同居の両親が存在する場合、パートナーが同居していても里親となる可能性はありえるのか、見解をご教示ください。
3 同性カップルに関する世論に注視しつつ、多様な家族のあり方を前提として、単身者や同性カップルなども里親になれる門戸を広げていくべく、諸外国の制度を比較するなど調査・検討を進めていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
二 聴覚障害児の入所施設について
東京都葛飾区には、唯一の聴覚障害児専門の入所施設である金町学園があります。聴覚障害児の成長・発達には、「手話」という共通の言語によるコミュニケーション集団と、聴覚障害に適した学習方法が不可欠であり、入所施設はそれらを保障する数少ない生活の場となっています。この金町学園が平成30年度いっぱいで閉園になるとの話題が持ち上がっており、スペシャルニーズを持つ方々から多くの不安の声が聞かれています。そこで、以下の3点をお伺いいたします。
1 金町学園の閉園について、すでに東京都に相談があると仄聞しているが、現状、どのような状況にあるのかを教えて下さい。
2 都民福祉を司る東京都として、聴覚障害児専門の入所施設の必要性について、どのような認識をもたれているのか見解を伺います。
3 仮に金町学園が閉園の方向で進む場合、聴覚障害児専門の入所施設が都内からなくなる可能性があり、途切れのない支援のためにも、代替案を早急に検討する必要があると考えます。入所での生活が必要な聴覚障害児たちに対してどのように対応していくのか、今後の展望・所見をご教示ください。
平成27年第四回都議会定例会
おときた駿議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 東京都の里親認定基準について
1 血縁・親族制度を中心とする里親認定基準は、どのような法的根拠に基づき設定されたものか。法の要請による全国一律の基準ではなく、都が独自に定めたものであれば、このように規定されている理由を伺う。
回答
里親の要件は、児童福祉法及び児童福祉法施行規則で定められており、里親制度の運用指針として平成23年に出された「里親委託ガイドラインについて」では、里親を希望する者が単身である場合、知識や経験を有する等子供を適切に養育できると認められる者は認定して差し支えないが、養育する経済的な保証や養育を支援する環境等があるかなどを確認することとしています。
里親の認定について、国は、法令等で定める要件以外は、児童の最善の利益になるよう都道府県の判断で定めることができるとしており、都は、養育を支援する環境があることを確認する観点から、児童福祉審議会の答申を踏まえ、単身者については親族等の同居を要件としています。
質問事項
一の2 現行の認定基準下で、一般論として、本人が保育士等の資格を有し、同居の両親が存在する場合、パートナーが同居していても里親となる可能性はありえるのか、見解を伺う。
回答
里親申込者に配偶者がいない場合、都は、養育家庭の認定要件として、〔1〕児童養育の経験があること又は保健師、看護師、保育士等の資格を有していること、〔2〕起居を共にし、主たる養育者の補助者として子供の養育に関わることができる、20歳以上の子又は父母等がいること、を定めており、これら双方を満たすことが必要です。
同居の両親がいる保育士等の有資格者が里親申込者の場合、両親のいずれかが補助者として子供の養育に関わることができ、年齢、収入、住居の状況など、その他の認定要件を満たしていれば、養育家庭として認定されることは可能です。
質問事項
一の3 同性カップルに関する世論に注視しつつ、多様な家族のあり方を前提として、単身者や同性カップルなども里親になれる門戸を広げていくべく、諸外国の制度を比較するなど調査・検討を進めるべきだが、都の見解を伺う。
回答
養育家庭制度は、要保護児童に対し、養子縁組を目的とせずに、家庭的な環境の下において、一定期間養育する制度であり、都は児童の成長・発達に必要な養育環境を提供するという観点から認定要件を定めています。
具体的には、児童の養育についての理解及び熱意並びに豊かな愛情を有していること、同居者が児童の受託について十分な理解を有すること、家庭及び住居の環境が、児童の保健、教育、その他の福祉上適当なものであること、その他、年齢、収入要件などを定めています。
養育家庭をはじめとする家庭的養護の推進については、平成27年8月、児童福祉審議会に学識経験者や事業者等からなる専門部会を設置し、議論を行っています。
質問事項
二 聴覚障害児の入所施設について
1 金町学園の閉園について、すでに都に相談があると仄聞しているが、現状、どのような状況にあるのかを伺う。
回答
金町学園は、主としてろうあ児を入所させる福祉型障害児入所施設であり、平成27年12月1日現在、施設定員30名に対し現員は28名、そのうち都内からの入所は4名となっています。
当該施設の設置法人からは、施設廃止の相談を受けていますが、現時点で、正式な廃止の申請は出されていません。
質問事項
二の2 聴覚障害児専門の入所施設の必要性について、どのような認識を持っているのか見解を伺う。
回答
平成24年の児童福祉法の改正により、各障害別に分かれていた障害児入所施設は、様々な障害や重複障害等への対応が図られるよう「障害児入所施設」として一元化されました。
法改正前に「ろうあ児施設」であった施設は、平成27年12月現在、全国に10か所ありますが、そのうち8か所は、聴覚障害のほか知的障害や視覚障害のある児童を受け入れる施設となっています。
障害児入所施設においては、主たる対象とする障害以外の障害のある児童を受け入れた場合にも、その障害に応じた適切な支援が提供されるものと認識しています。
質問事項
二の3 仮に金町学園が閉園の方向で進む場合、聴覚障害児専門の入所施設が都内からなくなる可能性があり、代替案を早急に検討すべきだが、入所での生活が必要な聴覚障害児たちに対してどのように対応していくのか、今後の展望・所見を伺う。
回答
都としては、金町学園の入所児童の処遇を最優先に考え、今後、慎重に対応していく必要があると考えています。
当該施設の設置法人に対しては、廃止を前提として、入所児童がその意思に反して退所させられることがないよう要請しており、今後の法人の対応を注視していきます。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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