◯十一番(おときた駿君) 私は、かがやけTokyoを代表し、知事提出議案第二十九、三十、三十七、三十八、三十九、五十六号議案に反対、予算案を含むその他議案に賛成、議員提出議案第三号に反対、第二号に賛成の立場から討論を行います。
平成二十八年度予算案は、一般会計が七兆百十億円と二十三年ぶりに七兆円を超える大型予算となりました。都税収入は、昨年より三・七%、千八百六十七億円増と、五年連続の増収見込みです。一方で、都債発行額は昨年より二一・四%減の三千五百三十三億円に抑制していますが、都債残高はいまだ五・九兆円という巨大なものです。
都税収入は、法人二税の占める割合が高く、景気変動の影響を受けやすく、極めて不安定なものであるのはご案内のとおりですが、さらに本年実施の地方法人課税の不合理な偏在是正措置により、三千四百億円の税収入減の影響が想定をされています。
このような状況の中で、戦後一貫して人口がふえ続けてきた東京都も、二〇二〇年ごろから人口減少局面に突入すると予測されています。そして、団塊世代が後期高齢者になる二〇二五年ごろには、生産年齢人口が占める割合が著しく低下し、税収が大きく減少すると見込まれます。
こうした東京が直面する超少子化、超高齢化社会に対応するために社会保障を充実していくことはもちろん重要ですが、その基礎となる持続可能な財政運営を可能とするためには、中長期で社会保障のあり方を捉え、不要不急の投資的経費を削減していく努力がますます不可欠となります。
我が会派は、行財政改革の観点から、厳しく精査、質疑を重ねた結果、知事提案の各予算案は、おおむね合致するものと考えるに至りましたが、同時に今後の都政においては、将来世代が安心して暮らせる環境づくりを進め、次代を担う若年層への投資という観点から政策を大胆に立案し、実行していくことを改めて強く要望するものです。
続いて、個別の議案について申し上げます。
第二十九号議案外四件は、特別職報酬等審議会の答申を受けて、知事や都議会議員などの報酬を月額千円引き上げるというものです。これは、さきの定例会においても問題点を指摘させていただいた公民較差の是正をその論拠の柱とするもので、この現代の社会経済状況にマッチしない決定方法を踏襲し続けることには、都民にも大きな違和感を抱かれるのではないでしょうか。
確かに、特別職の報酬を決めることは一筋縄ではいきませんが、知事や議員たちの報酬額に、都民から厳しい意見が寄せられる中、十名もの委員が全員そろって報酬の引き上げに賛成し、また、その一部が非公開で行われている特別職報酬等審議会のあり方には疑問が残ります。
今後は、人口減少、少子高齢化、そして東京五輪を迎えて巨額の財政負担が確実視されています。その中で、特別職の報酬引き上げは、都民の理解を得られるものではありません。公民較差の結果や、その報告を受け入れるだけの審議会の答申に依拠することなく、都政を預かる政治家、議員こそが、みずからの政治判断で特別職の報酬を据え置くべきと考えます。
以上の理由により、第二十九号議案外四件には反対をいたします。
また、非常勤職員の報酬を引き上げる第三十号議案についても、公民較差是正などに関する疑義等から、前定例会で一連の職員報酬の引き上げ議案に反対しており、同様の理由により本議案も反対です。
また、これに関連して、職員給与の引き上げと連動して、都議会議員の期末手当が引き上げられるような事態は慎まねばなりません。そもそもは、職員給与と都議会議員の待遇が連動するような仕組みを抜本的に改める必要はありますが、当面のところ期末手当等を据え置きにする議員提出議案第二号には賛成をするものです。
最後に、東京五輪と都市外交における知事の姿勢について一言申し上げます。
先般の予算委員会において、本来であれば組織委員会が負担するはずであった仮設施設、有明体操競技場の建設費を都が負担する見込みであることが明らかになりました。予算特別委員会最終日前日に、委員からの質疑で突如として事実が明らかになったこと、並びに都民が注目するオリンピック・パラリンピック準備局ではなく、産業労働局の国際展示場の運営費に予算計上してあったことは、こうかつなやり方であり、極めて遺憾です。
国立競技場に係る都有地についても、算定額の試算が示されぬまま無償貸与を行うなど、五輪をめぐって都負担に歯どめがかからない状態になっています。不動産を初め都の財産は全て都民のものであり、都知事のものでも都庁官僚のものでも、ましてや当該施設や用地のある地元議員のものでもございません。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は、東京都が招致をしたオリンピックなので、東京都がまず会場を用意するということが第一義でなければならないなる発言もしているようですが、一方的に、これまでの取り決めを覆すような発言は到底看過することはできません。
今後、都民からは、より厳しい視線が注がれるでしょうし、我が会派も、これまで以上に厳しく確認をしていく所存です。
一方で、舛添知事が注力されている都市外交関連においては、パリ・ロンドン出張における多額の出張費に注目が集まる中、その内訳について説明を総務委員会で答弁拒否、その後、突如としてホームページ上で詳細を発表するなど、議会軽視ともとれる異例の対応がありました。
我が会派は、かねてより知事並びに外務長、都市外交担当部長の出張と出席した会合については、情報開示請求、文書質問等で定点観測を行い、質疑を重ねておりましたので、報道に驚くには至りませんでしたが、情報公開が遅きに失した感は否めません。
国立競技場をめぐる問題では、舌鋒鋭く情報公開の不徹底を追及していた舛添知事におかれましては、情報公開条例の理念に立ち返り、都市外交を含めた都政全てにおいて、常に都民に情報を提供するオープンな姿勢を強く求めるものです。
以上、かがやけTokyoは、予算案には大枠を踏まえて賛成をいたしますが、その執行状況については、常に監視し、都民益を守ってまいります。何よりも都民生活が重視される都政運営が行われるよう、優先順位を明確とした政策実現に邁進することをお誓いいたしまして、討論を終わります。
ありがとうございました。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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