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平成28年6月9日 総務委員会質問内容

委員会, 議会活動,

◯おときた委員 私からも、重複する部分はございますが、首都大学東京についてお伺いをいたします。
 首都大学東京は、東京都の設置する公立大学であり、開学から十二年目を迎えました。学生らが豊かに学び、教員、研究者らが研究に打ち込むことのできる学府であることはいうまでもありませんが、都立の大学ゆえに東京都のシンクタンク的な意義を擁しており、都の発展に欠かすことのできない存在でもあります。
 二〇一五年に公表されたタイムズ・ ハイヤー・エデュケーション世界大学ランキングにおいて、首都大学東京は、七百七十九校ある我が国の大学の中で第九位にランクインするなど、高い評価も受けております。
 さて、この組織改編などが盛り込まれている公立大学法人首都大学東京の中期目標について伺いますが、公立大学法人首都大学東京の中期目標について、策定に当たってどのようなプロセスを経たのか、こちらを改めて伺いたいと思います。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公立大学法人の中期目標は、地方独立行政法人法の規定に基づき、法人の設立団体の長である知事が、六年間の期間において法人が達成すべき業務運営に関する目標を定め、法人へ指示するものでございます。
 法律では、中期目標を定めようとするときは、あらかじめ、外部有識者で構成されます東京都地方独立行政法人評価委員会の意見を聞くとともに、議会の議決を経なければならないことが定められてございます。
 特に公立大学法人の場合、あらかじめ法人の意見を聞き、その意見に配慮しなければならないことが特例として法に定められてございます。
 したがいまして、中期目標の策定に当たりましては、事前に法人との調整を行いますとともに、評価委員会の意見もいただいた上で本議案を提出いたしました。

◯おときた委員 策定に当たっては、地方独立行政法人法第七十八条三項の規定に基づき、大学法人側との事前に調整を行ったとのことですが、この具体的な方法や回数、対応に当たった大学法人側の担当部署などについて教えてください。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都地方独立行政法人評価委員会公立大学分科会の意見を伺うため、案がまとまりました本年四月七日、都知事名によりまして、法人の理事長宛てに中期目標案を送付し、意見の提出を依頼いたしました。この依頼に対し、法人からは、去る四月二十八日に、特段の意見はないという内容の回答文が理事長名で提出されました。
 また、手元の資料によりますと、法人内部における中期目標や中期計画に関する会議は、平成二十七年八月七日以降、計五回開催されております。都からは、中期目標の検討状況を資料として随時提出し、オブザーバーとして参加することなどにより、法人における議論も把握してまいりました。
 これに先立ち、学部再編につきましては、平成二十五年度から、大学など法人内での検討を行っており、この間、法人内の検討状況についての情報を法人からいただいておりました。
 そのほかにも、担当職員間の打ち合わせ、さらには電話も含めまして、さまざまな機会を生かした法人との意見交換を、特に平成二十六年度以降、頻繁に行ってございます。
 対応に当たりました法人側の担当部署でございますが、いわゆる窓口でございます経営企画室に限らず、理事長、学長、校長のほか、事務局の総務部など、多岐にわたる部署との意見交換を行ってまいりました。

◯おときた委員 詳細なご答弁をいただきまして、大学側とは、東京都として十分なコミュニケーションをとってこられたということがわかりました。
 さて、以前に、東京都立大学から首都大学東京へ四大学が統合された際に学部の再編が行われました。その際、学部再編に反発した一部教員らが他大学に流出するということも起こりました。
 当時、何人の教員が流出したのか、当時のデータと状況について伺いたいと思います。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 個々の教員の退職理由は、必ずしも退職時に明示されるものではないため、都立大学、科学技術大学、保健科学大学、都立短期大学の四大学が統合された際、それに反発して他の大学に流出したという教員の数についてのデータはございません。
 なお、教員の人数につきましては、四大学の統合前の平成十六年度は七百四十八名であり、平成十七年度は法人全体で七百三名でございました。

◯おときた委員 理由についてのデータはないとのことですが、約五十名、一割弱の教員が減少しているということがわかりました。
 これ、都の方針により実施されることになる学部再編という点を共通項に見立てると、今回の学部再編に当たっても、少なからず教員の反発や流出が起こり得ることが懸念をされます。
 都として、この問題をどのように捉えていらっしゃるのか、見解を伺います。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京の開学は、四つの大学を廃止し、新しい大学をつくるという大きな改革でございました。さらに、学部再編だけでなく法人化も伴いましたので、今回の学部再編と当時とを単に比較することは適当ではないと考えてございます。
 今回の学部再編は、時代の要請に合わせ、教育研究を充実強化するために実施するものでございます。教育研究分野の廃止は予定していないこともあり、学部再編を理由とする教員の流出は想定してございません。
 繰り返しになりますが、学部再編につきましては、平成二十五年度以降、大学など法人内で十分に検討を進めてきているものでございまして、さらには東京都とも調整した結果、今回の再編案に至っており、問題はないと考えてございます。

◯おときた委員 問題ないとのことではありますが、現場にいらっしゃる先生方、皆さんが同意されているのかについては、いささかの懸念も残るところです。改革というのには反発はつきものでありますが、さらなるきめ細かな対応を要望するものです。
 続いて、本件にかかわる情報公開の取り組みについて伺います。
 東京都と同じく公立大学法人の設立団体である大阪市や横浜市は、それぞれの大学法人の中期目標の策定に当たって、パブリックコメントの手続を経た後に、議会に議決案件として付議をしております。
 都では、今回の中期目標に当たって、これまでパブリックコメントを実施しておりませんが、都民、とりわけ利害関係にある大学教員や学生からも意見を広く聞くことが可能になるパブリックコメントの手続、こちらの検討をされたのかどうかを伺います。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第三期中期目標の策定に当たりましては、外部の有識者で構成されます東京都地方独立行政法人評価委員会における議論を、報道機関など都民の皆様に公開した会議の場で行ってございます。
 また、評価委員会におきましては、公立大学法人について専門に議論いたします公立大学分科会の委員の方々には、法人の実態を深くご理解いただけるよう、大学や高専の教育研究現場を視察いただき、直接、教員や学生にも接する機会も設けてございます。
 さらには、外部有識者が構成員となっております法人の経営審議会における議論も経ていることなどから、幅広い意見を取り入れるとともに、公正さと透明性を確保した第三期中期目標を策定したと考え、パブリックコメントは、これまでと同様、実施してございません。
 今後とも、都議会を初め広く都民の皆様の理解が得られるよう、他の自治体の取り組みなども参考にしながら法人の支援に努めてまいります。

◯おときた委員 幅広く都民の声を聞くという意味で、パブリックコメントが実施されなかったことは少々残念ではございます。今後の広報活動での挽回を期待したいと思います。
 さて、公開した会議の場で実施をされたとのことですが、そこでの審議の内容、過程などの情報が広く素早く学生らに伝えられることは、当然になされるべきことであるように思われます。在学生やその保護者などにとって、在学する学部、学科等が将来的に再編されるということは、一つの大きな不安要素にもつながりかねません。
 ステークホルダーそのものである在学生やその保護者に対して、議論の過程を開示するなど、説明を果たすべきであると考えますが、学生らへの説明は、新聞報道の以前になされていたのかを伺います。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第三期中期目標は、報道機関など都民に公開して議論を重ねております東京都地方独立行政法人評価委員会におきまして、本年五月九日に承認され、翌五月十日の新聞記事となりました。
 学生に対する学部再編案の説明は、五月十二日及び十三日に大学が実施し、学長みずから説明をいたしました。その際、今回の学部再編は、平成三十年四月の入学生から適用するものであり、在学生の学修環境は卒業まで保障されることなどについても説明をいたしました。
 大学では、第三期中期目標の策定後、中期目標には示されていない学科など再編案の詳細も含め、七月を目途に在学生に対する説明会を開催する予定でございました。これは、変更の可能性がある段階、詳細を説明できない段階で在学生に説明することによりまして、かえって不安を招くこと、さらには、そうした不確定な情報が流れることにより、首都大学東京を志望している高校生に無用な心配を与えることなどを懸念したからでございます。
 しかしながら、新聞報道がなされたこともあり、在学生の不安等を払拭するため、速やかに説明会を開催いたしました。
 今後、在学生には、議会での議決後に法人が策定いたします中期計画が具体化していく節目節目におきまして十分な説明を行っていく予定でございます。

◯おときた委員 その学生向けの説明会では、具体的な再編案の内容について、学長が、新聞報道は青天のへきれきであった、丁寧な議論を心がけたつもりだが、最終的にはトップダウンで決めたというふうにいうことはできるなどの旨の発言をしていたといいます。
 こういった激論が生煮えの状態で、在学生らに不安を与えるという懸念はわかるのですが、新聞報道で学生が初めて知るというような情報の出し方については、いささか問題があったのではないでしょうか。在学生の不信を払拭すべく、今後はさらに丁寧なコミュニケーションを要望いたします。
 最後に、評価委員会にて配布された資料によると、現在、都市教養学部にある都市政策コースが都市環境学部に移管し、再編されることになっております。都市政策コースは、都庁や特別区職員に研修プログラムを提供するなど、重点目標、三の理念、都の政策課題と各教育機関の専門的知見とを結びつけ、課題解決のための施策を提案し、都のシンクタンクとしての役割をより一層果たす上で、その価値は高いものと評価できますが、今回の再編によって他の学問領域と再編することで、この意義に少なからず影響を与えるようにも思われます。
 そこで、この再編の狙いを改めて伺います。

◯初宿企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都市教養学部と都市環境学部に分散しております都市政策分野は、大規模災害対策など高度化する都市の課題への対応力を強化するため、都市環境の向上に貢献する都市環境学部に集約して再構築いたします。これにより、都市政策に関する文理融合の教育研究をさらに幅広く展開することで、都のシンクタンクとしての役割をより一層果たすことが可能となります。
 なお、都市教養学部のほかの分野につきましては、教育研究内容や育成する人材像が高校生や企業等にもよりわかりやすく伝わるよう、人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部の四つの学部に再編をいたします。

◯おときた委員 再編といっても、縮小されるようなものではなくて、むしろ強化するものであるといったご答弁でした。
 ですが、現段階では、特に学生などのステークホルダーにとって、具体的にどう強化されるのか、学科はどのように再編されるのか、将来が見えないままに議論が進んでいるようにも見受けられます。
 どんな改革や変化にも批判や異なる意見はつきものではありますが、それを少しでも解消していくのは、適切な情報公開とコミュニケーションです。特に今回、現役学生などに対する情報公開、説明のタイミングに不適切な点があったことは否めません。首都大学東京に求められている役割に鑑みながら、関係各所が十分に納得していく形で計画が進められていくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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