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事業の全体像は置いてけぼりで、補正予算だけ審議するってアリなの?

都議会の話

総選挙のおかげで、今週は議会日程がパツパツです。
金曜日に厚生委員会にて提出議案・補正予算案について質問するのですが、
その答弁調整の過程で不思議なことに気づきました。

そもそも年度途中に組まれる「補正予算」というのは、
突発的な災害などが発生して、当初の予算ではどうしても対応できない
「不慮の事態」に対して組まれるのが一般的です(昨年の大島災害など)。

舛添知事はこの補正予算を「子育て支援などにも機動的に活用していく」としており、
これを柔軟な対応と見るか、当初予算の信頼性を損なうと見るかは評価が分かれます。

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そして今回わたくしが質問で取り上げるのが、
「事業所内保育施設の認可化移行支援」という新規・東京都単独事業。

企業などが従業員向けに社内に開設している保育施設を、
地域にも開放して地域型保育事業へ移行する場合に
改修費用などの補助を行うというものです。

企業側としても地域型保育事業に移行すると
受け入れている児童の人数にたいして補助金が出るようになるので、
運営費のコストダウンにつながり、またCSR的にもプラスになるという狙いです。

補正予算で組まれる金額は7,000万円。
年度末までに3か所の地域型保育施設の誕生を目指しています。

これがどれだけ待機児童解決にインパクトがあるかわかりませんが、
まあ「ないよりは良い、あった方が良い」事業でしょう。
反対するつもりはありません。

しかしながらこれは、来年度も継続される予定の「新規事業」ですから、
来年以降はどれだけ予算を組むのか、どれくらいの数の施設が誕生するのか、
それによって何人の待機児童が解消されるのかを確認しなければなりません。

ところが、委員会で質問しようとしたら、

「先生、今回は補正予算についての審議なので、
 来年度の事業内容や予算についてはお答えできません。

…???

うーん、確かに今回の対象は補正予算審議なんです。
ただ、これって来年から始まる新規事業の「頭の部分」なんですよね。
ここで承認する≒来年度の新規事業内容も承認する、ってことにほぼなるわけです。

民間であれば新規事業やプロジェクトについて、年単位の中長期的なプランがなければ、
それに対してお金を出すか、投資をするかなんて決められません。
当然、それを提示させて判断材料にするはずです。

ところが、

「これは補正予算だから、本体事業とは切り離して審議・決議して下さい」

って、それでいいんでしょうか…?
「補正予算をあまり乱発すると、予算の信頼性が損なわれる」
という主張を裏付けているような気がするんですけど。

これが許されると、例えば道路とかスタジアムを作る
バリバリの公共事業を補正予算で組んで頭の部分だけ提出してきて、

「補正予算なんで、いま審議して決めて下さい!来年の予算は不問で!」
「昨年承認いただいた予算なんで、これは新規事業スタートでOKですよねー^^」

なんて流れを作りかねない気がしてします。
災害対策などの、単発補正予算を組むのとはわけが違うはずなので。

なんとも不思議な行政の補正予算編成。
皆さんはどのように思われますか?

金曜日の委員会では、答弁がこのままもらえないとすれば、
その点に関する懸念をしっかりと述べて議事録に残しておきたいと思います。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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