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「財源はあります!」…本当に東京都に財源はあるの?都知事に身を切る覚悟が必要な理由

選挙の話,

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
いよいよ選挙戦も残すところあと1日になりました。は、早い…!

皆さまの投票先選定の一助となるよう、様々な情報を提供してきましたが、
今日はもう少し大枠の「財源」のお話をしようと思います。

東京都の財政予算規模は、公営企業会計を含めて約13兆円。
スウェーデンの国家予算に匹敵し、しかもプライマリーバランスは黒字になっており、
自他ともに認める日本一財政が豊かな自治体です。

2016-07-29 (1)

しかしその一方で、都債(借金)残高は未だに合計約10兆円となっており、
放漫財政を繰り返した革新都政時代には、財政再建団体への転落寸前にもなりました。
単年度の収支が黒字だからといって、決して潤沢な財源があるわけではないのです。

なぜ黒字自治体の東京都が借金をし続けるのかについては、
かつて詳述しましたのでこちらを御覧ください。(小難しいけど)↓

「将来世代だけがトクをしないために、黒字だけど借金しておきます!(キリッ)」は正しいのか?

こうした中で、元ジャーナリストのとある候補が盛んに、
(もう可哀想だから匿名でいいや)

「財源はあります!公共事業をやめればいいんです!

と街頭演説などで何度も繰り返し主張し、
福祉を充実させることを強調しています。

一見もっともらしく聞こえるかもしれませんが、これは明白に誤りです。

彼が指している「公共事業」は、ハコモノなどの単年度(あるいは一定期間)の予算でしょう。
対して、介護士の待遇改善などの福祉の充実は、継続的な財政負担が生じる予算です。

たしかに目の前にあるハコモノを中止にすれば短期的な財源は生み出せるかもしれませんが、
それをもって福祉予算の充実の根拠としてしまえば、次年度以降に待っているのは
都債発行=将来世代へのツケの先送りです。

「コンクリートから人へ」
「無駄を削減すれば財源は生み出せる」

と主張して大失敗した国政での民主党政権から、
これでは何も学んでいないということになります。

もはや東京都といえど、何か新しい施策を始めようと思えば、
いま行なっている継続施策の何かをやめるしかありません

…こんなことは民間の常識で考えてみれば当たり前のことなんですが、
行政サービスというのは開始するのは簡単でも、やめることは極めて難しいのが実情です。

赤字になれば立ち行かなくなる民間企業と異なり、
行政機構は公債で無限にツケの先送りをすることができるからです。

そして一度スタートした事業は既得権益化し、
効果のほどが疑わしくなった後にもズブズブと続いていくことになります。
(後述のシルバーパスなど)

前置きが長くなりましたが、ここからが本題。

今回の都知事選挙で、知事報酬の削減・全額カットなどを公約にしている候補が複数存在するのは、
まさにこうした都政の財政に切り込むためには「身を切る覚悟」が必要だからです。

議員の定数や報酬削減も一緒になりますが、
知事報酬を減らしたところで財政にさほどの影響はありません。
ですがこれには、数字以上のインパクトが確実にあります。

一度スタートした事業を廃止するということは、既得権益に切り込むということで、
これにはかなりのリーダーシップ・求心力が必要になります。
生半可な覚悟では、部下も仲間もついてきません。

ここで自らの報酬などをカットし、明白な数字で決意を示すことは、
求心力を高め、既得権益と闘うパワーの源泉になるわけです。

「本当にやる気、あるのかな?」
「どうせすぐに、公約など忘れるだろう」

そんな風にサボタージュし、改革に抵抗を示す都官僚などにプレッシャーを与える。
また、民意の理解を受けて、それをさらに改革の推進力へと変える。

こうした文脈においては、知事報酬カットは大きな意味を持ちます

例えば、私が兼ねてから主張している「シルバーパスの廃止」を実施すれば、
年間170億円の財源が生み出せます。保育士・介護士の待遇改善が経年で十分にできる規模です。

ですがただこれを打ち出しただけでは、
大きな反発を巻き起こすだけで終わりでしょう。

大阪で橋下元市長が敬老パスの有料化に成功したのと同様、
まず自分が「身を切る姿勢」を示して始めて、議論のスタート地点に立てるわけです。
(あくまでスタートに立つだけで、そこからさらなる困難は勿論ありますが)

ちなみに上杉隆氏などが提言してる

「地方法人特別税を凍結すれば、年間3000億円の予算が生み出せる」

という主張は具体的かつ魅力的ですが、
残念ながら実現可能性は低いと言わざる得ません。

制度の開始から一貫して、都知事も都議会も全会一致でこの廃止・凍結を主張していますが、
残念ながら国政・財務省からは一顧だにされておらず、
この状況がすぐに変わることはないと思われます。

やはりどこかで「痛みを取る」ことが必要であり、
そのためにはリーダーが「覚悟」を示さなければならないのです。

こうした観点も一つ、都知事選びの要素に加えてみるのはいかがでしょうか。
※なお議員と違って都知事の場合、自らの意思でほぼ確実に報酬カットを実現可能

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明日は8時から新宿都議補選の森口つかさ候補の街頭活動@神楽坂に参加した後、
小池百合子本隊のすべてのスケジュールに同行する予定です。

泣いても笑っても選挙戦最終日。
悔いのないように全力を尽くしたいと思います。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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