もっと、新しい日本をつくろう

「大拡散時代」は、インターネット内の分断(サイバーカスケード)を突き破るか?

日々のこと

本日は

●草間剛 横浜市議会議員
●田代光輝 慶應義塾大学 政策メディア研究科特任准教授

のお二人とともに、「情報通信政策フォーラム」に講師として招かれ、
東洋大学のキャンパスで講演をして参りました。
キャンパスの学生たちが眩しかったぜ…

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(右から草間市議、主催の山田肇教授、田代准教授、おときた)

私からは日本を元気にする会のネットを使った直接民主型政治や、
障がい者のネットによる政治参加、そして北欧で見てきた電子政府の話し。

そして自民党のネット特選部隊としてマニフェスト大賞を受賞し、
様々な先鋭的な取り組みをネット上でしてきた草間剛市議からは、
動画コンテンツを中心として取り組んできたネット選挙の総括。

彼自身、この約4年間の動画による取り組みを

「壮大な実験(意味深)」

と称していましたが(笑)、私の政治動画コンテンツに関する意見は
以前にまとめたことがあるのでそちらをば…

動画コンテンツが、政治の世界では(当面)バズらない理由って何だ?
http://otokitashun.com/blog/daily/6522/

そしてラストの田代准教授からのお話も多岐に渡りましたが、
その中の一つで取り上げられていたのはネットにおける

「サイバーカスケード」

について。直訳すると「電脳の多段状の滝」とかになるんですが、
これはインターネット上における事象の一つを表す言葉です。
インターネットには、

「同じ考えや思想の持ち主が結びつくことを容易にする」

特性があると社会学的に言われています。
Facebookで身内とつながり、Twitterで好きな有識者だけフォローしていると、
「自分にとって心地よい情報」だけが耳に入ってくるようになるわけです。

すると人はいつしか、自分が能動的に情報を選びとっている、
自分にとって都合が良い情報だけを集めていることを忘れてしまい、
この状態こそが「世論だ!」と錯覚していまう事象がおきます。

これを宮台真司教授は「島宇宙化」と呼びましたが、
こうした人々はやがて自分と違う意見を攻撃的に排除するようにまでになります。
要は、「自分がすべて正しいと思い込み、狭い世界に排他的に閉じこもってしまう」のですね。

このようなインターネット上に起こりがちな事象、
集団極性化のことを多段状の滝になぞらえて「サイバーカスケード」といいます。

このサイバーカスケードが、政治の世界にどのような影響を及ぼすか。
確かにネットにより、一部の政治家は有権者の意見に触れることが容易になりました。

ですが、客観的な世論を求めてネットを始めたはずの政治家は、
いつしかこの「サイバーカスケード」に飲み込まれます。

自分にとって都合の良い情報ばかりを集め、
やがて自ら発信する情報も中立性を欠くようになり、

「支援者に喜ばれそうな情報発信をする」

というアベコベな行動をするようになってしまいます。
この行き着く先が、いわゆる「ネトウヨ」に支配されてしまった
一部の言論空間と、それをアテこんで選挙で大敗した某政党の政治家たちと言えます。

しかしながら、この長きに渡ってネット言論空間を歪ませてきた
「サイバーカスケード」の事象も、最近になってやや緩和されてきたのではないかと、
私としてはすこーしだけ楽観的な所感を持っています。少しだけ。

mixiやFacebook、あるいは特定掲示板などが主流だった時代は、
確かに似た趣味嗜好の者同士が強く結びつく傾向にあり、
そこだけで議論が完結して箱庭状態になりがちでした。

政治家の情報発信も、ブログを見に来るのは基本的に支援者ばかりですから、
「耳の痛い」意見というのは案外と本人には届かない構造だったと言えるでしょう。

でも今は、Twitterやバイラルメディアによる「大拡散時代」です。

例えば私のブログ記事は

・BLOGOS
・ハフィントンポスト
・アゴラ
・ヤフーニュース

などに転載され、バイラルメディアとしては

・NewsPicks
・グノシー
・スマートニュース
・アンテナ
・ライブドアニュース
・LINEニュース

などに掲載されていきます(大変ありがたいことです!)。
すると、面白いくらいに拡散先で意見が千差万別だったりします。

特にBLOGOSとハフィントンポストは反応が真逆になることもありまして、
この辺りの分析は興味深いので別途いつかやりたいと考えています。

これだけの角度から様々な人の意見に晒されれば、
…その政治家がそれらの情報を受け止める意思がある前提ですが、
サイバーカスケード状態から抜け出すことも可能なのではないでしょうか。

とはいえ、そのような拡散にさらされる政治家や世論もまだまだごく一部。
ネットの情報が偏りがちになるマイナス点は現状、否めません。

しかし、こうした欠点を技術や価値観のアップデートで乗り越えていくことで、
ビジネスでも政治でもまた次のステージへと進んでいく予感がしますね。

お招きいただきました山田肇教授、
そして講演者の草間市議、田代准教授、ご来場の皆さま、
誠にありがとうございました!

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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