大阪都構想への賛否を決める住民投票が、いよいよ明日に迫りました。
私のようないち地方議員が書くコラムに多くの反響があるあたり、
全国的な関心度の高さが伺えます。
大阪府「ビルつくります!」大阪市「じゃあ、俺もつくるわ!」市民「」-大阪都構想、二重行政を読み解く-
http://otokitashun.com/blog/daily/7363/
東京都の「区」と「市」の違い、言えますか? -大阪都構想、特別区の正体-
http://otokitashun.com/blog/daily/7382/
私はこの解説記事の第一回において、
「大阪都構想は、おそらく憲政史上初めて地方自治体が、
地方自治体の意思によって、地方自治体側からの発案で行う改革になる」
と記載しました。
本日はその真意をお伝えすることで、
明日の投票に向けた私からの最後のメッセージとしたいと思います。
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「大阪市の人数が多すぎる、大きすぎるというなら、他の政令市はどうなのか」
反対意見の中で多いのは、こうした比較意見です。
まず大前提として確認しておきますが、普遍的に正しい統治体制というものはありえません。
何が正しいのかは時の状況やその地域の地理的特性、
住む人の個性、それによって紡がれてきた歴史的経緯によっても異なります。
「大阪市で問題が起きているなら、横浜市でも同様のことが起きるのか?」
その答えはYesでもあり、Noでもあります。
起きるかもしれませんし、起きないかもしれません。
なぜなら大阪と横浜では立地も、住む人の性格も、持っている歴史も違うからです。
だからこそ今、我が国では「地方のことは地方が決める」地方分権が叫ばれています。
中央集権的に日本全国を一律「金太郎飴」のルールで規定するのではなく、
各々の地域事情に合わせた政策・統治を展開しましょうと。
しかしながら、普段は地方分権を支持する人の中にも
「政令指定都市の権限を『奪う』つもりか」
「〇〇市では問題が起きていないのに、大阪だけやる必要はない」
「国がつくった総合特区制度の中で解決するべきだ」
という中央集権的・全国一律型の意識に囚われている人が多く見られ、
私にはそれが不思議でなりません。
もちろん、他の政令指定都市や広域自治体の運営方法は参考になりますし、
自らの主張を補強する論拠になります(大阪都構想も、他の都市を参考にしているように)。
しかしそれはあくまで参考であって、問題の発生原因が異なれば当然、
問題解決の方法は異なるはずであり、それは地域特性によって変わることを
前提として議論を進めるべきではないでしょうか。
■
日本の地方大都市はこれまで、「政令市(政令指定都市)」という国が作った
全国一律のルールの中で統治を行ってきました。切磋琢磨して政令市になろうとし、
その枠組みの中で繁栄を目指してきました。
そんな中で出てきた大阪都構想は初めて、
国のつくったルールを逸脱した改革案です。
これを可能とする法律は当時、我が国にはまったく存在しませんでした。
「自ら政令市の権限を返上し、特別区を設置して大都市運営を行う」
その前代未聞の提案は大旋風を巻き起こし、
地域政党「大阪維新の会」はこの実現のために国政に進出し、
その影響力でついに自らの発案でこれを実現可能とする法律まで制定させたのです。
大阪府政を二期、大阪市政を二期務めた政治家・橋下徹が
「大阪では二重行政という大問題が発生している」
「大阪でこの問題を解決するには、この方法しかない」
と大阪の中で考え、大阪の中でリスクを取り、大阪の中で実現しようとしている。
これが実現されれば、その時はじめて我が国で
「地方のことは地方で決める」
という、単なるスローガンであった言葉が現実になります。
その気になれば地方は、国ではなく自らの意思で変わることができるという証明は、
今後の我が国における地方自治改革の引き金になるはずです。
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残された時間はあまりありません。
私は大阪にとっても日本にとっても、この改革は「ラストチャンス」だと思っています。
「そんなに拙速に決める必要はない」
「わからなければ、とりあえず反対をしておくべき」
そう言いますが、この議論は少なくとも2011年から4年以上続けられてきたのです。
橋下市長や維新の会は時間をかけて構想を練り上げ、時につまづき、それを改善し、
幾度の首長選や地方議会選を経てようやく住民投票にたどり着いたのです。
大阪都構想が上手くいく保証はどこにもありません。
それは私も、はっきりと申し上げておくべきだと思います。
しかし少なくとも、自分たちが決めたやり方で、自分たちの地域をつくる第一歩になります。
至らぬ点があれば話し合い、改善し、少しずつ前に進めることは必ずできるはずです。
「誰かに決められた幸せより、辛くても自分で勝ち取った自由の方が誇らしい」
幾多の小説や映画の主人公はそう語り、我々の多くはそれに共感します。
我が国の地方自治は、市民の意識は、その境地に果たしてたどり着けるのでしょうか。
これは大阪都構想における、重大な「もう一つのテーマ」だと思います。
■
なお今回の改革案が否決された場合、地方自治の機運は一気に後退し、
また反対政党たちが主張する「政令市のままの大坂市の改革」は
ほとんど進むことはないであろうことは付け加えておきます。
なぜなら、自民党から共産党までが手を組んでキャンペーンを展開したがゆえに、
彼らが大阪市の改革案を取りまとめるまでには気が遠くなる年月がかかるからです。
一つの政党が練り上げた大阪都構想でさえ、ここにたどり着くまでに5年かかったのですから…。
逼迫した財政状況、待ってくれない少子高齢化の進展。
もっとじっくり議論をしたい、他の事例とも比較してみたいという気持ちはわかりますが、
ぜひ賛否の判断には「時間」という概念も加えていただきたいと強く思います。
大阪市以外の皆さまもこれを機に地方自治などの統治システムや、
「自分たちで決めること」である住民投票の是非、
政治参加について考えを巡らせていただければ幸いです。
今後の日本を変える、明るい結果を待ちたいと思います。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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Tags: 大阪都構想