もっと、新しい日本をつくろう

手話通訳の存在を忘れて早口でしゃべったこと、「議会慣れ」していたことを、深く反省しております…

日々のこと

本日は、いよいよ長かった予算特別委員会の最終日。
「討論」と予算案への採決が行われました。

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「討論」とは、採決の直前に行われる議案に対する賛否の表明のことで、
賛成理由や反対理由を滔々と述べる他に、

「賛成するけど、この部分には注意してね」
「もっとこの分野を手厚くすることを要望します!」

というような、政党や会派のスタンスを表明する場でもあります。
討論についての詳しい説明は過去記事をば↓

「討論」で登壇、本会議デビューはTBS報道に!
http://otokitashun.com/blog/togikai/2035/

なんですがこの討論、ずいぶんと形式化している部分が否めません。
おそらく歴史的に議会が始まった当初は文字通り、相手を説き伏せるための「討論」で、
賛否の採決を問う前に喧々諤々と議論をして、相手の意見を翻させたりしたのだと思います。

ところが現在の討論は、単に朗々と自分たちのスタンスを原稿で読むだけで、
賛否はすでに事前の理事会で確定している完全な「儀式」となっています。

なので、討論のときは質問と違ってあまり緊張感もありませんし、
「早く終わらねーかな」という空気がなんとなく議場に充満していたりします。

討論は大会派順のため、私の出番は最後。
そんな雰囲気なので、早く終わらせた方が良かろうと、
早口で原稿を読み上げてささっと討論を終えたのですね。

これが大失敗というか、「議会慣れ」していた自分の大反省点です。

採決が終わって控室に帰ってきた後、
このご指摘をTwitterで受けて我に返りました。

…一体わたしは、どちらを向いて仕事をしていたのでしょうか?

この討論がテレビ中継され、それには手話通訳がついていたのを
失念していたこと自体もお恥ずかしい限りですし、それより何より

「討論なんて儀式だし、周りも退屈だろうし、早く終わらせよう」

と少しでも考えていた自分は、
すっかり自分が嫌悪していたはずの「議会の慣習」に染まっていたのです。

いかに事前に原稿があって、議会内ではわかりきった予定調和な討論だとしても、
テレビで生中継をみている都民にとっては初めて見聞きする内容かもしれません。

まして、自らが情報バリアフリーをうたいながら、
それを置いてけぼりにするスピードで原稿を読むなどもってのほか。

自分の軽率で配慮のない行為には、反省してもしたりません…。

もしTwitter上でこうした指摘がなければ…
聴覚障がいの方々とお付き合いするようになっていなければ…
自分のこの「議会慣れ」には永遠に気が付かなかったかもしれません。

そして、幼少の頃から早口を指摘され続け、それでもなんとなく
「まあいっか」という気持ちで本格的な改善に取り組んでこなかった私ですが、

「手話通訳の人がついていけない」

という事実に直面して初めて、
心の底から早口を直そうと決意しています。

これこそまさに、当事者と触れ合って起こった「意識改革」かもしれません。

上記の引用tweetの他にも、
同様の指摘を下さった皆さまに心より感謝を致します。

とはいえ、「討論」の内容自体は決して手を抜いたつもりはございません!

「賛成の討論なんだか、反対の討論なんだかわかんねーよ!」

とのヤジが飛んだ討論ですが(苦笑)、
そのあたりから賛成と反対の狭間で彷徨った迷いをお察しいただけますと幸いです。。
(最後に全文を記載しておきます)

これにて第一定例会も、残すところ最終日の議決を残すのみ!
それでは、また明日。

-以下、討論全文-

かがやけTokyoを代表して、知事提出の全予算案に賛成、共産党提出の編成替え動議について反対の立場から討論を行います。

平成27年度予算案は、策定当初段階から舛添知事が編成した初めての予算案です。同時に本予算は昨年末に発表された「東京都長期ビジョン」とともに、これからの東京づくりに向けた第一歩として位置付けられるものです。

一般会計は総額で6兆0520億円と前年度比4.3%の増額となり、歳入の基幹となる都税収入は昨年度より7.5%、3517億円の増と4年連続で増加し、堅調な企業収益や地方消費税引き上げの影響を反映したものとなっており、一時の厳しい財政環境から見れば、都財政を巡る状況は好転しております。このことは、山積する課題への対応、特に長期ビジョンの将来像の着実な実現に向けたとされる予算編成を可能にしました。

しかしながら、都税収入は景気変動の影響を受けやすい不安定なものであり、比較的財政状況が良好な今の時期にこそ、中長期的な視点に立った行財政の構造的な改革に取り組むべきです。また、今回の予算編成方針の眼目の一つである、政策評価に基づく事業のスクラップアンドビルドをまだ充分とはいえず、今後は更なる徹底を求めるものです。

以下、分野別に述べていきます。

財政運営について申し上げます。この10年間、都の起債依存度は10%以下を推移しておりますが、一般会計部分の都債残高は平成27年度で約6.2兆円となり、微減しているだけです。かつて都では、バブル経済崩壊以降の景気刺激策として、地方債の発行を増加し続け、平成十八年には公債費負担比率が警戒ラインとされる一五%を超え、一五・五%になったこともあります。しかし、その後の不断の経営努力により現在の数値まで圧縮、都債残高、公債費負担比率ともに減少傾向にあることは大いに評価できるものの、今後は未曽有の少子化・高齢化・人口減少社会を迎えるにあたって、世代間の公平性を見直し、従来までの都債発行のあり方を見直すことを求めます。

次に、児童福祉について申し上げます。知事自らも言及されたように、子どもの貧困は重大な社会問題です。不幸にして要保護となってしまった児童には、里親委託を最優先とした家庭環境を与えることを徹底し、学習支援や自立支援などに十分な予算が使われることを望みます。また、子どもの貧困をつくりだす親世代の貧困、特に父子母子家庭への支援体制を充実させ、機会の平等が徹底されることを期待いたします。

次に、介護について申し上げます。高齢化の進む東京都において、安心安全の介護システムを創り上げ、維持することは重要です。しかしながら先般、都内の有料老人ホームで重大事故や虐待の可能性が指摘されるなど、その管理・監督体制は十分なものとはいえません。市場淘汰により質の向上が望みにくいこうした社会福祉分野には、東京都が積極的に関与し事態が是正されることを望みます。

次に、障がい者政策について申し上げます。2020年のパラリンピックを迎えるにあたり、より障がい者政策が重要になることは指摘するまでもありません。東京都長期ビジョン概要版の中にも、「バリアフリー」という単語の登場頻度が100回を超えるなど、この分野への注力度が見てとれますが、バリアフリーは決して障がいをお持ちの方々のためだけのものではありません。若く健常な人でも、歳をとり、身体は自由に動かなくなり、いつか障害を持つことになるかもしれません。障がい者に優しい街は、誰にでも優しい街であることを周知し、物理的な面だけでなく、障がい者に理解ある東京都となるよう、啓発活動も含めた政策が実施されることを望みます。

次に、教育分野について申し上げます。将来の東京都担う人材を育てる教育部門に、投資を惜しむべきではありません。また、教育の世界ではまだまだ、民間の力を活かした政策が不足しているように感じます。教育庁人材バンクなどの取組みを充実させて民間の力を活用し、また教育の世界にも民間経験豊かな多様な人材が参入する仕組みづくりを期待いたします。

次に、行政改革について申し上げます。財政危機は脱したものの、東京都の行政改革にはまだまだ改善の余地が残ります。毎年指摘される特命随意契約の見直し、また監理団体、報告団体の適正化を引き続き求めます。また、知事が全面的な改善を宣言されたホームページについては、東京都各局がバラバラに運用しておりコスト高が発生しており、合わせてコストと運用面の見直しを行うことを要望いたします。

次に、産業振興について申し上げます。行政が行える産業振興の切り札は、投資よりも規制緩和です。特にここ東京都は、容積率の緩和などで大きなビジネスチャンスが生まれることは、多くの有識者が指摘しているところです。世界一の都市を目指すにあたり、時代に合わない規制を見直し、多くの富を生み出す規制緩和の動きが促進されることを望みます。

戦後一貫して人口が増え続けてきた東京都も、いよいよ2020年頃には人口減少の局面に突入すると予測されています。また、団塊の世代が後期高齢者になる2025年頃には、生産年齢人口が占める割合が著しく低下し、税収もかなりの減少が見込まれます。

社会保障の充実はもちろん重要ですが、史上類を見ない超少子化・高齢化社会に直面するにあたり、これからの財政運営には過剰な社会保障、不要不急の投資的経費は削減していく努力が不可欠となります。高度経済成長期やバブル経済期につくられ、今だに一部が残るいわゆる「バラまき」とも言える制度には、厳しくメスを入れていかなければなりません。

官僚や行政機構は何かの事業を始めて拡大することは得意でも、事業を縮小したり撤退するのことは極めて苦手である、これはドラッカーなどの多くの識者が指摘をするところです。また民主主義国家においては、有権者の信託を受けた政治家の多くもまた、現在の有権者を慮るあまり、今ある行政サービスの縮小に踏み出すことができません。

我々かがやけTokyoはこうした従来の価値観・慣習を断ち切り、真に次の世代に輝かしい東京を残すために、全力で取り組むことをお誓いし、討論を終わります。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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