私の生まれ育った地元であり(王子本町出身ですが、最寄り駅はずっと十条駅)、
事務所も構えさせていただいている十条駅は、再開発の予定地になっています。
ロータリーがある西口の方の再開発計画については、
ずいぶんと前から喧々諤々の議論が続けられてきたのですが、
この度その反対側の東口にも突然の再開発計画が発表されました。
(引用元)
詳細な計画はまだこれから説明といいつつ、
先日確認した暫定案だけ見ても最大(たしか)15メートル幅の道路と駅前広場が整備され、
少なからぬ住民と住居が立ち退きになることは確定的です。
※いま手元に資料がないため、数字が間違っていたらすいません。
都議会議員といえ、私とて一応十条駅を拠点として活動している地方議員です。
反対側の西口開発計画や、付随する都市整備路線については何度も行政と話し合いをしてきました。
その中でこれまで、東口の再開発については一切触れられることはありませんでした。
なので私も素直に、「東口は当面そのままなんだろうな」と思い込んでいたくらいです。
確かに、十条駅は線路・踏切の高架化or地下化が計画されているので、
線路周辺がまったく無影響とは考えていませんでしたが、
ここまで大がかりな計画が突然発表されるとは…。
■
あらゆるコミュニティ・デザインの教科書を見ても、
「街づくりには、住民を意思決定に加える(参加意識を持たせる)ことが重要」
と書いてあります。
しかしながら日本の行政は、それと真逆な手法を取り続けています。
直前まで計画を隠す。決定してから説明だけして、強引な手法で進めていく。
以前に別の道路でも、突然の計画が発表されたことがあります。
ヒアリングすると、ずいぶん前から数パターンの計画案が出ていたようなので、
「だったらせめてこの複数案を提示して、住民も交えて決定すればいいじゃないですか?」
「いや先生、そうやると色々な意見が出て、まったくまとまらなくなってしまうんです」
と言われたことがあります。
面倒くさいから、決まったことにだけすべて従え!という意識です。
確かに住民の方々は、全員が全体最適の視点で計画を考えられるわけではありません。
「私は嫌だ!」という理由で反対をする人も多いでしょう。そうした人々を交えながら、
話し合って意思決定していくことの困難さは容易に想像がつきます。
しかしながら、このような手法をいつまでも続けていいのだろうか…とは切に感じます。
もはや国民・住民の権利意識は大きく変わり、価値観やライフスタイルも多様化しました。
「お上の言うことにすべて従え!」では、納得させることが難しくなってきています。
こうした現代の民主主義の限界と、
その次の民主主義の在り方を論じたのがまさに
昨年末に私が紹介した上記の本です。
「代表者(議員)を議会に送り出すだけが、果たして民主主義でいいのか」
「事実上の意思決定をしている行政に、もっと住民の意思を反映させる方法はないのか」
この本が訴えかける論点は、
身近な地域の問題と合わせて改めて考えさせられます。
■
私は率直なところ、絶対に再開発に反対という立場ではありません。
十条そのものではなく王子本町生まれだからというのもあるのかもしれませんし、
まだ比較的年齢が若いせいもあるかもしれません。
十条の商店街も街の雰囲気も大好きですが、街は時代とともに変わっていくもの。
再開発で今よりも十条駅が盛り上がるなら、そうした挑戦にはワクワクするのが正直な気持ちです。
しかしながら、行政は住民との話し合いから逃げているようにしか思えません。
正式な計画自体はまだ発表されていないので判断しかねますが、
この行政の態度は糾弾されるべきだと感じています。
2月上旬には、また住民に対する素案の説明会が行われます。
皆さまの空気感を感じるためにも、共に参加をしてしっかりと判断していきたいと思います。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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