「東京都のエボラ出血熱対策訓練は、患者が自ら保健所に
連絡してくれることを想定しており、ほとんど現実的ではない。
(一般的な日本人は、感染症の疑いがあったら病院に行ってしまう)」
という点について記事したところ、
病院に行ってはいけない?!エボラ出血熱・感染症対策には、より実践的な訓練を
http://otokitashun.com/blog/daily/4951/
早速、町田市内の地域病院にエボラ出血熱が疑われる患者が来院したわけですが、
本日担当局に詳細を確認したところ、さらに恐ろしい事態だったことがわかりました…。
現在、リベリアやシエラレオネなどの指定国から帰国した方については、
感染症法に基づき
「健康監視対象者」
に指定され、電話もしくはメールにて1日2回、
一定期間、健康状態を指定機関に報告義務があります。
そしてこの町田市内の男性については報道の通り、
保健所に連絡せずに地域病院に行ってしまったのですが、さらにここで地域病院も
男性がリベリア帰り・エボラ患者可能性ありということを見逃して帰宅させてしまいます。
本来のオペレーションであれば、地域病院に来院してしまった場合、
その医療機関で待機をさせ、消防庁の搬送専用車両の到着を待たなければなりません。
ところが今回は、
男性「ちょっと熱っぽいから、病院行っておこうかな」
病院「扁桃腺が腫れてますね、お薬出しておきましょう」
(普通に帰宅)
男性「さて、報告の時間だ。今日、病院行ったことを報告しておこうかな」
監視「…!!!今すぐ専用車両を向かわせます!自宅から一歩も出ないでください!!」
↑ここでようやく発覚、オペレーション開始
という流れだったわけですね。
うーん、本当に危ない。
幸いこの男性も陰性で、地域病院への往復にも
公共交通機関を利用しなかったわけですが、
・保健所に行かず、病院に行ってしまったこと
・さらに病院も、エボラの可能性を見逃したこと
・その結果、感染症疑惑の患者の外出を長時間許したこと
という三点がすでに、「実践訓練」外の事象として発生しています。
特に2点目。病院だけのせいにするのも酷ですが(風邪の患者すべてを疑えない)、
感染症疑惑の患者に往復分の外出を許したことは、由々しき自体です。
こうした仕組みを見ると、いかに行政側が何重にも「網」を貼っていても、
市民たちに伝わってその通りに動いてくれなければ、ほとんど機能しないことがわかります。
感染症の「封じ込め」というのは、本当に難しい。。
とはいえ、こうした可能性を1%でも下げるべく渡航者&医療機関を啓蒙し、
なるべく最悪に近いケースへの想定・訓練を続けるしかありません。
■
ちなみ前回の記事にコメントで指摘されたのですが、現在の日本の
「感染予防法」は、感染症疑惑がある人物については強制的に隔離・停留できるのですが、
本人の強い希望があった場合、72時間経ったら一度解放しなければならないんですね。
人道的見地からこうした法律になったと思われますけど、
現実にこれがエボラ出血熱に適用されたら、ガチでホラーな展開になります。。
音「万が一そういうケースが発生した場合、東京都はどうするか決まってます?」
担当局「…うーん。。」
やはりまだ、こうした点についても十分な対応はできそうもありません。
明日は問題の訓練が実施されますが、引き続き諸外国の例なども検証しながら、
発生時の封じ込めについて検討・政策提言をしていきたいと思います。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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