次の世代に希望をつくる

ビラ配りのアルバイトで起訴される若者たち――公選法の「罠」

日々のこと

先日、国民民主党から東京7区に立候補して落選した元候補者ら3人が、公職選挙法違反(買収)の罪で起訴されました。

逮捕容疑は、10代〜20代の女性5人にビラ配りなどの選挙運動の報酬として計27万円を支払ったというもの Sanyo Newsです。

この事件で私がもっとも心配しているのは、報酬を「受け取った側」の若者たちのことです。

■ 「ちょっとしたバイト感覚」が刑事事件に

公職選挙法では、選挙運動に対して法定外の報酬を支払うこと(買収)も、受け取ること(被買収)も、どちらも処罰の対象です。

SNSで「選挙ボランティア、謝礼あり」などと募集されていれば、学生からすれば普通のアルバイト案件に見えるでしょう。政治への関心から「社会貢献になるならいい」と軽い気持ちで参加した子もいるはずです。しかし法律は、知らなかったでは済まされません。

今回の衆院選は高市首相による電撃解散で異例の短期決戦となり、多くの候補者が選挙運動の人手集めに奔走した Yahoo!ニュースという背景があります。しかしそれは、違法な報酬支払いの言い訳にはなりません。

■ 責任は明らかに「支払った側」にある

はっきり言います。悪いのは、若者を違法な報酬で雇った候補者側です。

公選法の知識は、選挙に出馬する者にとって最低限の素養です。今回の衆院選は短期決戦で人手集めが困難だった Yahoo!ニュースという事情があったとしても、それは違法行為の免罪符にはなりません。候補者や陣営スタッフが「バレなければいい」「みんなやっている」という感覚で法を破り、その結果として何も知らない学生が刑事被告人の立場に立たされる——これは到底許されることではありません。

国民民主党は「手取りを増やす」を掲げて躍進した党です。玉木代表は「選挙の公正性を揺るがす、あってはならない事案だ」と謝罪しました Nikkeiが、党としての公認候補管理や選挙運動の法令教育が十分だったのか、改めて問われるべきでしょう。

■ 公選法の「常識」は、社会に浸透していない

私はかつて都議・参院議員として選挙を戦ってきました。選挙に関わる者にとって公選法の厳しさは基礎知識ですが、一般の若者にそれを求めるのは酷です。「ビラを配ったら数千円もらった」という行為が逮捕・起訴につながりうる——この事実を、どれだけの学生が知っているでしょうか。

■ 選挙を「学びの場」にするために

若者の政治参加を促すことは大切です。しかし同時に、参加する際のリスクについてもきちんと伝えなければなりません。

選挙ボランティアは素晴らしい経験になりますが、「謝礼」「報酬」「お礼」といった言葉が出たら、必ず立ち止まること。そして候補者・陣営側は、どんな状況でも法定外の報酬を若者に支払ってはならない。

今回の事件が、何も知らなかった若い世代が理不尽なかたちで前科を持つことなく終わることを願いつつ、政治に関わるすべての人が公選法の基本を改めて確認する機会にしてほしいと思います。

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音喜多駿

おときた駿
前参議院議員(東京都選挙区) 42歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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