次の世代に希望をつくる

子ども1人2万円給付は「悪くない」が…本当に必要なのは恒久的な子育て減税だ

日々のこと

政府・自民党が取りまとめる経済対策において、子ども1人あたり2万円の追加給付(児童手当の上乗せ) が盛り込まれる方向になったと報じられました。所得制限も設けない方針とのことです。

率直に言えば、「住民税非課税世帯」に偏った従来のバラマキよりは、狙いが明確で遥かに良い。子育て世帯への支援はこれまで長く軽視され、日本の少子化深刻化の一因でもあります。

しかし――やはり “その場しのぎ感” は否めません。


■評価できる点:高齢者偏重より、子育て世帯支援は正しい方向

これまで政府の「物価高対策」では、

  • 住民税非課税世帯への現金給付
  • 高齢者向けの追加措置
    が多くを占めてきました。

もちろん、困窮者支援は必要です。しかし人口構成を踏まえると、住民税非課税世帯には高齢者が多く含まれる ため、“実質的に高齢者ばかりが受け取る構造” になりがちでした。

この偏りに対して、「子ども関連支出が増えている層への直接支援」という今回の方向性は、ようやくバランスを取り戻すもので、評価しています。


■とはいえ、なぜまた“一回きり”なのか

問題はここからです。

2万円の給付はありがたい。しかし、「今年だけ」「今回だけ」といった追加給付では、子育て世帯の将来不安は解消されません。

物価高も賃金上昇も、人々の生活コストも、単年で終わる話ではない。支援が一回きりだと分かっている限り、家計の安心感にはつながりにくいのです。

まさに “バラマキ” と批判されてきた政策の典型的な限界 が、今回もそのまま残っています。


■本当にやるべきは「年少扶養控除の復活」と「給付付き税額控除」

日本政府は2010年代に「子ども手当」を創設する際、年少扶養控除(子どもがいる世帯の所得税・住民税を軽減する仕組み)を廃止 してしまいました。

この結果、実質的には子育て世帯の税負担が重くなったまま10年以上放置されている 状態です。

ここを直さない限り、どれだけ単発給付を重ねても、構造的な不公平は解消されません。

私が一貫して主張してきたのは次の2つです。

① 年少扶養控除の復活(恒久的な子育て減税)

子どもの人数に応じて、自動的に税負担が軽減される仕組み。毎年の家計に安定的な効果がある。

② 給付付き税額控除(低所得層にも恩恵が届く“逆進性対策”)

税額控除額が所得を上回った場合は、差額を給付する制度。アメリカのEITC(勤労所得税額控除)などが有名です。これが導入できれば、年少扶養控除の仕組みはこちらに統合可。

これらは 単なる給付ではなく、制度そのものに組み込まれた「子育て支援の仕組み」 です。一度つくれば、毎年の政治情勢に左右されず、安定した支援となります。


■子育て支援を“選挙ごとの一発勝負”にしてはいけない

政治の最も悪い習慣のひとつが、「選挙前だけ給付を積み増す」という姿勢です。

子育ては15年、20年というスパンで続く営みです。2万円の単発給付が必要な家庭がある一方、安心して子どもを持てる社会をつくるには、恒久的な税制と制度設計こそ必須 です。

今回の給付は、以前よりは方向性は正しい。

だからこそ、政府には“この一歩”を制度改革につなげる覚悟を持ってほしい。


■最後に:短期の給付より、長期の安心を

2万円は助かる。しかし、それだけでは子育て世帯の不安は消えない。

次の一手として、

  • 年少扶養控除の復活
  • 給付付き税額控除
  • 税制全体の子育てフレンドリー化
    を、しっかり議論し、政策化していくべきです。

単発のバラマキから、恒久的な子育て支援制度へ。この転換こそが、日本の少子化対策に本当に必要な一歩だと私は考えています。

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音喜多駿

おときた駿
前参議院議員(東京都選挙区) 42歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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