次の世代に希望をつくる

スキャンダル報道の“無制限特権”はもう終わりにすべきだ

日々のこと

出版プロデューサーの箕輪厚介氏が、週刊誌によるプライバシー侵害を理由に民事訴訟を提起しました。

この動きは、個人としての戦いであると同時に、私は 社会的意義のある挑戦 だと受け止めています。

SNSが普及し、誰もが「当事者」になりうる情報社会において、スキャンダル報道をビジネスモデルとする週刊誌の在り方は、もはや「有名税」で片付けられるものではありません。

むしろ、情報環境が激変したからこそ、いまのスキームは限界を迎えているのではないでしょうか。


■“有名税”という言葉が免罪符になってきた時代は終わった

かつては、芸能人や政治家が否応なく「プライバシーを切り売りされる存在」だと見なされ、

「有名になったんだから仕方ない」
「嫌なら有名人を辞めればいい」

といった空気が社会にもありました。しかし現代の情報環境は、あの頃とはまるで違います。

  • SNSで一般人の生活も一瞬で晒される

  • デマや誇張が拡散され、人格そのものが破壊される

  • 子どもや家族まで巻き込まれる

こうした状況下で、旧来型の週刊誌ビジネスが無制限に「書く権利」を主張することが、果たして公共の利益と言えるのか――。

むしろ、報道する側のガバナンスや説明責任が強く問われる時代です。


■「表現の自由」を守るためにも、乱用は正されなければならない

私は一貫して、表現の自由を強く守る立場です。しかし、自由には必ず “責任” が伴うものです。

報道の自由も民主主義の根幹であり、不可欠な権利ですが、だからこそ 乱用があれば是正されなければならない。

今回の提訴は、個別事案を超えた

  • 報道機関の公益性

  • プライバシー権とのバランス

    といった大きなテーマを社会に突き付ける契機になるはずです。


■民主主義に必要なのは“権力監視”であって“人間破壊”ではない

本来、ジャーナリズムの使命は権力を監視し、市民の知る権利を支えることです。

ところが近年は、個人のスキャンダルをセンセーショナルに切り取り、


「売れるから」「数字が取れるから」

という理由で人格を損壊するような記事が量産されてきました。

これは民主主義にとって望ましい姿とは言えません。公共性より商業性が肥大化した結果、報道の信頼性そのものが失われつつあります。


■“誰もが晒される社会”だからこそ、線引きを議論すべき時だ

政治家である私も、日々批判や中傷にさらされます。

もちろん、政治家は公人であり、厳しい監視を受けるべき立場です。
しかしそれでも、家族や子どもまで無関係に巻き込まれるべきではありません。

そして、いまのSNS社会では、一般の方もいつでも“晒される側”になり得る。

だからこそ、今回の提訴をきっかけに、

  • プライバシー権と表現の自由の適切なバランス

  • 週刊誌・ウェブメディアのガバナンス

  • 報道倫理の再構築
    を、社会全体で議論していく必要があります。


■最後に

箕輪氏の提訴がどういう結論になるにせよ、「報じる側の自由だけが強く、報じられる側の権利が弱い」という構造には明らかな歪みがあります。

この問題は、特定の誰かのためではなく、SNS時代に生きるすべての市民のために解決されるべきテーマです。

私も政治家として、表現の自由を守りながら、プライバシーと人格権を守る仕組みづくりに引き続き取り組んでいきたいと思います。

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音喜多駿

おときた駿
前参議院議員(東京都選挙区) 42歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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