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「おこめ券」配布は典型的なマッチポンプ政策だ

日々のこと

政府が進めようとしている、物価高対策としての「おこめ券」配布。大規模農家で構成される日本農業法人協会が明確に反対を表明したことで、議論が一気に加速しています。

私自身、この政策には強い違和感があります。率直に言って「愚策」です。なぜか。理由はシンプルで、政府が自らマッチポンプをやっているからに他なりません。


■ 生産量を絞って価格を上げておきながら、高くなったらクーポンで下げる矛盾

ご存じの通り、政府は長年にわたり“生産調整(減反)”という名のコントロールで、コメの生産量と流通量を絞り続けてきました。供給を意図的に減らせば、当然ながら市場価格は上がります。

ところが、価格が上がって国民負担が問題化すると、

「よし、クーポン配布で価格負担を下げよう!」

という“別の予算”を使う。

自分で火を付けて、自分で消火活動を始める典型的なマッチポンプです。しかも、その消火活動は税金で行われる。本質的な市場機能の歪みは放置されたままです。


■ 自治体の現場は悲鳴 「民間なら絶対にやらない非効率」

さらに深刻なのが、自治体に押し付けられる巨大な事務負担です。

日本農業法人協会の斎藤会長も指摘したように、おこめ券の配布には膨大な事務作業とコストが発生します。

新型コロナ対策の給付金のときも自治体の事務負担が問題になりましたが、同じ失敗をまた繰り返すのでしょうか。

斎藤会長の「民間なら絶対にこんな非効率はやらない」という指摘は、まさに核心です。


■ 「自治体が独自でやってるから良いだろ」という論理は完全に的外れ

確かに、大阪など一部自治体では独自におこめ券などのクーポン施策を行ってきました。しかし、これと政府が全国規模でやることはまったく別問題です。

自治体独自施策は、

・地域事情に合わせた選択
・予算規模も自分たちで決定
・地域経済施策としての意味合い

といった“自主性”があります。ところが今回の政府案は、

・政策の矛盾を隠すため
・自治体に負担だけ押し付け
・「重点支援地方交付金」で“実質強制”する構造

になっており、政府が生んだ矛盾の尻ぬぐいを自治体にさせるだけです。これは中央の政策失敗のツケを地方に回二重のマッチポンプであり、到底容認できません。


■ そもそも物価高対策は「クーポン」より減税の方が効率的

これも農業法人協会の指摘と一致しますが、クーポン配布は交付効率が非常に悪い

クーポン事務コストは一般に現金給付の数倍かかります。まして全国レベルの紙クーポン配布など、2025年の今や時代錯誤です。

物価高対策として最もシンプルで効率的なのは、減税です。

・自治体負担が最小
・事務コストが最小
・効果が最も広く行き渡る
・市場を歪めない

それでもなお「おこめ券」に固執する理由が見えません。

国会で野党はこれを追及し、軌道修正されることを期待するばかりです。維新は…与党になってしまったので。。。

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音喜多駿

おときた駿
前参議院議員(東京都選挙区) 42歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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