次の世代に希望をつくる

無効票の水増し、「間違えた」よりも「誤魔化した」が深刻な理由

日々のこと

東京都大田区で行われた7月の参議院選挙において、信じがたい事態が発覚しました。不在者投票の数が二重計上されていたにもかかわらず、最終的な帳尻を合わせるために、現場の選挙管理担当者が「無効票を水増しする」という形でごまかしていたというのです。

ミス自体も、もちろん看過できるものではありません。しかし、それ以上に深刻なのは、「つじつまを合わせるために虚偽の数字をつくった」という組織的隠蔽の構造です。

選挙は民主主義の根幹であり、有権者の一票一票には、社会を変える力があります。その票が集計され、結果として発表される過程に一点の曇りもあってはならない——。それが近代民主主義国家の大前提であるはずです。

ミスが発覚した段階で、正直に申告し、票の再確認を行っていれば「不注意だったが誠実に対応した」と評価されたかもしれません。ところが、大田区選管の対応はその真逆でした。

誤りをごまかすために、約2,600票もの「存在しない無効票」をでっち上げた。しかも、再点検は「選挙結果に影響がない」として行わない方針。これでは、結果に影響があったかどうか以前に、選挙制度そのものへの信頼が大きく揺らぎます。

かつて2013年の高松市、2014年の仙台市、2017年の滋賀県甲賀市でも、同様の「無効票水増し問題」が発覚しました。それでもなお、同じ過ちが繰り返されているということに、私たちは危機感を抱かなければなりません。

行政の不正を「結果オーライ」で済ませてはならない。たとえ結果に影響がなかったとしても、不正があった事実自体が重大であり、徹底的な調査と再発防止策、そして関係者の説明責任が求められます。

民主主義の信頼を蝕むのは、こうした「バレなければいい」という感覚の蓄積です。一票の価値を軽んじる姿勢に対しては、政治の現場にいる人間として断固として声を上げていきたいと思います。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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