参議院選挙も中盤戦。社会保険料改革と合わせて訴えているのが、年金制度の見直しです。
「年金支給開始年齢の引き上げなんて、けしからん」
そんな声があることは承知しています。 しかし、現実を直視しなければなりません。
■ 1961年と2024年──時代背景の劇的な変化
現在の年金制度の基礎が作られた1961年、日本人の平均寿命は男性65.32歳、女性70.19歳でした。
年金支給開始が65歳だったのは、文字通り「長生きした人」への備えだったわけです。
ところが2024年現在、平均寿命は84歳、健康寿命も74歳まで延びています。 医療の進歩と生活水準の向上で、65歳はもはや「現役」と言っても過言ではありません。
にもかかわらず、制度設計は60年以上前のまま。 これでは持続可能性に疑問符がつくのは当然です。
■ 年金の本質は「長生きリスクへの保険」
そもそも公的年金とは何でしょうか。
私は、年金の本質は「長生きリスクに備える保険」だと考えています。
予想以上に長生きして、蓄えが底をつく。 そんなリスクから国民を守るのが、公的年金の本来の役割です。
しかし現在は、65歳になれば健康状態や資産状況に関わらず、一律に支給される仕組みになっています。 これでは「保険」というより「定期給付」に近い。
本来の趣旨から離れてしまっているのではないでしょうか。
■ 賦課方式の限界と現役世代の悲鳴
現在の年金制度は賦課方式。つまり、現役世代が納めた保険料で、今の高齢者の年金を支えています。
この仕組みが機能するには、支える側と支えられる側のバランスが重要です。
しかし現実は:
- 1970年:現役世代8.5人で高齢者1人を支える
- 2025年:現役世代2人で高齢者1人を支える
- 2050年:現役世代1.2人で高齢者1人を支える(推計)
このままでは制度が維持できないことは、誰の目にも明らかです。
■ 私が考える年金改革の方向性
私は、以下の改革が必要だと考えています。
1. 生産年齢人口の定義見直し 現在の「15~64歳」という定義は、もはや実態に合いません。 健康寿命の延伸を踏まえ、70歳まで働ける社会を前提とした制度設計が必要です。
2. 支給開始年齢の段階的引き上げ 急激な変更は避けつつ、平均寿命・健康寿命の延伸に合わせて、支給開始年齢を見直していく必要があります。
3. 将来的な制度の抜本改革 報酬比例部分の厚生年金については、縮小や民営化も含めた検討が必要だと考えています。 自助努力による資産形成を促し、公的年金は真に必要な部分に集中させる。
■ すべての世代が安心できる制度へ
この改革は「高齢者いじめ」ではありません。
むしろ、本当に支援が必要な超高齢者の方々を守り、現役世代も将来に希望を持てる制度にするための改革です。
今のままでは、制度自体が破綻し、誰も年金を受け取れなくなる可能性すらあります。
痛みを伴う改革から逃げず、持続可能な制度を次世代に引き継ぐ。 それが、今を生きる私たちの責任だと考えています。
■ タブーなき改革を
「年金には手を付けるな」──政治の世界では、これが暗黙のルールとされてきました。
確かに、選挙では不利になるかもしれません。 しかし、誰かが声を上げなければ、問題は先送りされ続けます。
平均寿命84歳の時代に、65歳支給開始は時代遅れ。 年金を「長生きリスクへの備え」という原点に立ち返らせる。
タブーを恐れず、必要な改革を訴え続けます。
7月20日の投票日まで、残り2週間。 東京都民の皆さま、一枚目におときた駿、二枚目にやながせ裕文とお書きください。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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