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大阪維新の会は「財政ポピュリズム」なのか。批判的分析を拝読して

日々のこと

週末の隙間時間に、倉本圭造さんが推薦する「検証 大阪維新の会 -財政ポピュリズムの正体-」を読了しましたので、所感をメモしておきたいと思います。

結論から申し上げますと、筆者は基本スタンスとして維新に批判的な立場なのもあって、論考のすべてに同意できるわけではありませんが、維新としても学ぶべき視点が多い内容だと感じました。

個人の利益を超えて、財を、ある『価値』に基づき中間組織(官公労や業界団体等)を通じて集合させた上で、全体のために経済行為・再分配を行うことが「財政」の本質なのだと、まず筆者は定義しています。

維新は、これまで根強く大阪に根付いてきた「価値」と「中間組織(中之島一家や外郭団体等)」を解体し、教育の無償化等を通じて個々人にその利益・財を分配してきた。

それは「財政」の根幹を破壊しかねない「財政ポピュリズムだ」というのが筆者の中心的な主張となっています(私の理解)。

維新が中間組織を通じての再分配ではなく、納税者一人ひとりに対する政策を重視してきたというのは、筆者の分析の通りではないかと思います。

日本全体もそうですが、とりわけ大阪では公務員組織等の腐敗が進み、こうした「中間組織」を通じた再分配が不公平で機能しなかった実状が間違いなくあって、それを是正してきたことは正しく評価をされるべきでしょう。

その点は筆者も必ずしも否定しているわけではないように感じますし(多分)、

維新が必ずしも「小さな政府」志向の政策ばかりを実行してきたのではなく、その分配方法が公務員人件費・外郭団体への発注費から個々人の教育費や民間企業への外注費に変わっていったことも冷静に分析されています。

一方で筆者がネガティブな要素として指摘しているのが、

○中間組織ではなく個々人の関心を引くために財政政策を行った結果、本当に必要なマイノリティ支援がカットされた。まさにポピュリズムの弊害だ

○「中間組織を通じて大きな価値を集約する」という機能を否定し続けた結果、即個人の利益ではなく、「中長期・全体のため」「まずはそのために投資」という側面が大きい大阪都構想や大阪関西万博・IR誘致などの大型政策に対する理解・支持が得づらなくなっている

という大きく2点だと理解しました。

前者については「特別支援学校を市→府に移管した際、付帯予算を削った」ことだけをほぼ論拠にしている(しかも報道ベース)感があり、ポピュリズムの弊害と断じることには個人的に違和感を覚えました。

後者についての指摘は納得できる部分もかなりあって、それが教育無償化などの政策が原因なのかはさておくとしても、「共同体としての大きな価値」を共有する努力やその機能については、もっと強化・改善できる部分があるのではないかと率直に痛感した次第です。

大阪維新の改革が始まってから10年以上が経過し、財政などの客観的数字からこのような密度の高い分析をしていただけるのは前線に立つ政治家にとってもありがたいことです。

批判的分析もできる限り収集し、虚心坦懐に受け止め、維新という政策集団をより良くすることに尽力してまいりたいと存じます。

国会閉会中は、地元まわりと並行して政策もブラッシュアップしていきますので、お勧めの書籍や情報などがありましたら、ぜひとも教えていただけると幸いです。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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