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民間の避難施設(一時滞在施設)が増えない驚くべき理由

政策, 日々のこと, 都議会の話

各地で大雪の被害が続いております。
一日も早いライフラインの復旧を祈るばかりです…

さて、こうした事態を受けてSNS上にて

「余裕がある飲食店などの施設を、民間避難施設として登録できないものか?」
「その場所をグーグルマップなどで公開し、リアルタイム情報共有すればよい」

というアイディアをいただきました。


詳細は→
https://www.facebook.com/norio2/posts/10201064982141399

早速、東京都総務局の総合防災部に現状を
レクチャーしてもらったところ、興味深いことがいくつかわかりました。

■民間の避難所(一時滞在施設)の登録は、すでに行われている

直接は区市町村の防災課が窓口になるそうですが、
東京都に問い合わせても適切なところにマッチングして下さるそうです。

東京都総務局総合防災部
03-5388-2485

一時滞在施設に認定された場合、常備食などを備えるための
助成を行う制度も国・都に完備
されておりまして、昨年11月末で
いったん一次募集を締め切ったものの、4月よりまた再開されるとのこと。

商工会議所などの主催で、企業向けの説明会も定期的に行われています。
http://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=26001

しかしながら、現状では民間の一時滞在施設に
収容できるキャパは東京全体で4万人。公共施設の7万人と合わせて、
受け入れキャパは11万人に留まるそうです。

大災害時、100万人規模の帰宅困難者が想定される東京都。

「自分の会社(店)も、避難所として活用して欲しい!」

と申し出てくださる企業・施設・店舗は非常に多いとのこと。
しかしながら、なぜなかなか量的な拡大が図れないのでしょう?
そして、その場所はどうして普段から公開されないのでしょう?

■基準をクリアできる施設が少ない-「自助・共助・公助」-

行政が公認する一時滞在施設に認定されるには、
当然厳しい審査を潜り抜ける必要があります。

まず「自助」。当然のことながら、自分たちの施設内で働いている
従業員を充分にケアできる体制が整っていなければ、他人を受け入れることはできません。
(できていると思っている企業・施設も、実はほとんどが不十分だそうです)

次に「共助」。周りの地域住人の方との関係や、彼らの非常時への準備態勢。
自分たちのことは完璧にケアできる施設でも、周りの地域が全然ダメダメだと、
周り近所の人がその施設に避難してきてしまい、本来の目的が果たせないとのこと。

この自助・共助のラインをクリアすることができて初めて「公助」、
不特定多数の「帰宅困難者」を受け入れる、公的な一時滞在施設に認定されるわけですね。
これは確かに、なかなかハードルが高そうです。

■民法717条「建物所有者の無過失責任」

そして最大の理由の一つが、国の法律!
現状では、たとえ善意であっても避難施設として開放した場所でトラブルがあった場合、
その責任はすべて建物所有者のものになってしまいます

スペースや食料の奪い合いなど、非常事態にはトラブルが容易に想像されます。
これに対して訴えが起こされた場合、善意で場所を提供したはずの
オーナーさんたちが責任を被ることになってしまう…。

そして、普段から避難所をマップなどで公開していた場合、上記のことを知っている
悪質な住民たちが押しかけて意図的なトラブルを起こすことが
非常に危惧されているそうです。

その結果現在の防災マニュアルでは、

「災害発生後、建物内や地域の安全を十分に確認した後、
 6時間が経過してから順次避難所などの情報を発信していく」

となっています。
この法律には東京都(のみならず、すべての都市)の担当者も頭を悩ましているそうで、
国に法律改正をしてくれるように再三要求しているとのこと。

ところが、国側の見解は…

「この民法は行使されたことが未だかつてなく、判例もないために変更できない」

なんじゃそれーー!!
使われたことない法律は、「問題ない」と見なされて変えられないのかーい!!!

この点はまだ詳しく調べてないのですが、これも「慣習」ってやつですかね…。
だったら誰か、これ使って一度訴訟でもしてみれば…とか邪な考えが頭をよぎってしまいます。。

※23:30追記:
本件、国側の正式見解の裏が取れていないので、事実が違えばまたご報告いたします。

仮にこの法律が改正されれば、民間の避難所(一時滞在施設)を
マップにして普段から公開しておくことは、かなり現実的なアイディアになるそうです。

ということで、国への働きかけなど、
政治の役割としてできることは色々とありそうです。

しかしながら、担当課長が再三おっしゃられていたのは、

「災害・帰宅困難者となると場所や施設の『ハコモノ』の話しばかりになるけど、
 もっとも大切なのは『自助』の姿勢。一人ひとりが普段から自宅・会社に備えを
 していれば、帰宅困難者の問題は半分以上解決する」

結局、「家に十分な備蓄がない」「残してきた家族が心配!」となって
会社を飛び出して帰路についた結果、難民化して二次災害などが起こってしまうのですね。

「家には十分な備蓄もあるし、SNS(電話以外の手段)で家族と連絡もとれた。
 今日明日はどっしり構えて、会社(店舗)に泊まっていこう!」

と言える体制を普段から一人ひとりが作っておくことが、何よりも重要と。
もちろん、災害規模によっては公的な援助が必要なこともありますが、
こうした地味な啓蒙活動も政治・行政の役割の一つですね。

微力ながら、自助・公助の両面から
災害時の対策にはこれからも取り組んでいきたい次第です。
そして

「我こそは、公助のために一時滞在施設の認定を受けたい!」

という企業・店舗のみなさまは、
ぜひとも東京都総務局・総合防災部までお問い合わせ下さい。
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/

そして今後もSNSなどを通じて、都政や政治へのご意見をどしどしお寄せ下さい!
「ネットの双方向性」は、選挙以外の時こそ使うべきと思うのよね。

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来週から議会が始まりますので、ますます働きますよー!
明朝は王子駅にて街頭予定。引き続きご指導よろしくお願いいたします^^

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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