こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
他の地方議会の話になりますが、私の友人でもある議員が奮闘しているので、本日はこちらの話題を。
議員資格議案廃案に 北杜市議会
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/20180629/1040003015.html
山梨県北杜市という自治体で、藤原尚氏という議員に関する「居住実態」について議論が紛糾しています。
基礎自治体の地方議員には「住所要件」というのがありまして、立候補して議員をやっているその自治体の中に住民票を置き、また実際に生活していなければなりません。
実際にこの住所要件を満たしておらず、これまで失職をした議員は数多く存在します。
今回の藤原氏の件についても市民から指摘があり、議会が特別委員会を設置して検証。
調査をしたところ、水道の利用実績が丸4ヶ月間ゼロで、ガスもほとんど利用なし。
誰がどうみても生活実態がないだろうという状態にもかかわらず、なんと特別委員会は
「畑で用を足して節約していたから」
などとする藤原氏の言い分を是とし、多数決で「住所実態があった」という結論を採決してしまいます。
藤原氏は議会で多数派を形成する会派に所属しており、そのグループが数の力で押し切ったわけですね。
詳しくはこの問題を提起している北杜市議・池田やすみち氏のブログをご参照ください。
●水道使用量が年8ヶ月ほぼゼロ→トイレは畑でするから、で納得する市議会だとしたらどう感じますか?
(他にもブログ内に関連記事多数あり)
こうした池田議員の粘り強い情報発信などで市民や地元報道機関が動き、最終日の本会議は紛糾。
特別委員会は数の力で強引に押し切られたものの、本会議では議決できず「流会」となり、この議員資格の問題は次の定例会まで結論が持ち越されることになったようです。
●議会最終日は大紛糾。午前0時まで再開されることなく流会となりました。
■
私も池田議員のブログや報道内容に目を通しましたが、これでまだ議員資格が剥奪されていないというのが信じられないような状況です。
何より目も当てられないのが、議員職に固執する本人は元より、それを守ろうとしている多数派議員たちの態度です。
ここまで生活実態がないことが明らかなのであれば、仲間である同会派の議員たちこそが辞職を薦め、議会の正常化を図るべきではないでしょうか。
残念ながら地方議会にありがちな、価値観に染まった古い議員たちが、
「どうせ市民はすぐ忘れる」
「しらばっくれておけば大丈夫だ」
とタカをくくっていたのでしょう。
実際、これまでの議会の慣習・常識であれば、数の力で採決を押し切って、そのまま問題をもみ消すことができたかもしれません。
しかしながら、先の選挙で初当選した一期生の池田議員が積極的な情報発信を続けたことにより、まず地元のローカルメディアが反応し、世論が喚起されました。
地域で日々新しい話題を探しているメディアは議員のブログなどで「ネタ探し」をしていることも多く、こうした議員の地道な発信が実際の報道につながることは少なくないのです。
そして最終日には多数の傍聴人が本会議に押しかけ、それが不測の事態を誘発し、「数の力」に頼んだ強行採決が阻止される結果となりました。
少数派の議員でも、正しい発信で世論を味方につければ、議会を動かすことができるという一つの事例であると思います。
■
「議員資格あり」の採決は見送られたとはいえ、まだ問題が解決されたわけではありません。
いち地方議会の問題ではありますが、このように普通の民間感覚では明らかにおかしなことを、古い議員たちが「数の力」で押し切ることは多くの議会で発生していることです。
引き続き北杜市民の皆さまはぜひこの問題に注視していただくとともに、皆さまもご自身の自治体の議会の実態などを振り返る機会としていただければ幸いです。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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