こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
米国・トランプ大統領と北朝鮮・金正恩委員長との歴史的会談から一夜開けて、有識者による様々な見解が披瀝されています。
「抽象的な内容に留まった」
「具体的な非核化への道筋が示せず、北朝鮮側の勝利」
といった論調が多いように見受けられ、私も生で(テレビで)共同声明およびトランプ大統領の記者会見を見て、同じことをおおむね同じことを感じた次第です。
なぜこの非核化交渉の「チキンレース」から、あれだけ強硬に見えたトランプ大統領があっさり降りてしまったのかといえば、そもそもトランプ氏の目的が「選挙のための成果」にあったからという理由にもっとも合点がいきます。
米朝会談は「ホワイトハウスでの米韓朝3か国会談」の前座に過ぎない https://t.co/xcqbsEaT18
— ワタセユウヤ (@yuyawatase) 2018年6月13日
トランプ大統領が選挙上最も必要としていたものはノーベル平和賞ですが、今年1月に2018年10月のノーベル平和賞は推薦締め切りが過ぎてしまったため、トランプ大統領は共和党の議員らによって今年5月に2019年のノーベル平和賞に「朝鮮戦争終結」「朝鮮半島の非核化」の功績で推薦されているのみの状況となっています。しかし、1年後のノーベル平和賞への推薦だけでは選挙戦に対するインパクトに欠けるため、トランプ大統領は選挙戦を左右するだけの決定的な「画」を求めてると言えます。
それはホワイトハウスにおいて「米韓朝の三か国の首脳が集まることによって朝鮮戦争の終結を宣言する」という政治ショーの画に他なりません。韓国がお膳立てしたという形でもなく、北朝鮮がうまくやったというのででもなく、あくまでも米国=トランプ大統領が「朝鮮戦争終結」を主導したという形を整えることが必要だからです。そのため、むしろ今回の合意文書で詳細が公表されていては困るわけで、むしろ今後はクラマックスに向けて両国の歩み寄りが徐々に進んでいくと考えることが妥当でしょう。トランプ大統領も金正恩も大した役者だなと素直に感心する次第です。
(上記記事より抜粋、強調筆者)
以上は「トランプの黒幕」の著者であり、ほぼこの事態を正確に予測していた渡瀬氏の論考です。
思うように支持率の上がっていないトランプ氏は、オバマ前大統領が受賞したノーベル平和賞級のインパクトと「絵」を求めており、本丸はホワイトハウスにおける朝鮮戦争の終結宣言ではないか…。
つまり、世間ではトランプ氏は「独裁者だ」「民主主義の敵だ」などと散々に非難されてきたわけですが、結局のところ民主主義政治家にとって最大の試練である「選挙」からまったく自由ではないということです。
むしろ、全世界における民主主義政治家のトップであるトランプ大統領こそが「民主主義の権化」として、選挙というものを何よりも重要視しているのかもしれません。
そう考えると、「段階的」という言葉がひたすら強調された意味もわかってきます。
「段階的」としておけば、選挙までに明確な結論が求められることはなく、とりあえず会談を行ったという「絵」が最大の効果を発揮するからです。
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目先の「選挙」で明確な手柄が必要になるため、どうしてもトランプ大統領の行動には一定の制限がかかる一方、金正恩氏は言わずとしれた本物の独裁者です。
選挙による投票はもちろんのこと、極端に言えば国の安寧すら気にする必要はなく、ただただ自分たちの体制保証を目指せばいいわけです。
こうした状況下で、どちらかが交渉における「チキンレース」で優位に立てるか…。
良くも悪くも、今回の米朝首脳会談は「民主主義」の特性や限界の一つをよく表したものではないかと感じます。
とはいえ、民主主義における「選挙」という外圧に加えて、トランプ氏という類を見ない突出した個性を持つ政治家が存在したことで、これまでどの大統領もなし得なかったトップ会談が実現したことも確かです。
現時点ではなかなか明るい見通しがない展開ではありますけども、民主主義を奉じる政治家の一人として、より良い方向に結末が進むことを願ってやみません。
末尾になりますが、日本人拉致被害者の方々の一刻も早い帰国を祈念し、地方議員の立場から世論の醸成や国・政府への働きかけを継続して参ります。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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