こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
本日は関係団体や利用者からご相談・陳情を受けたことをきっかけに、江東区にある「都立東部療育センター」に視察へ伺いました。
地元の政治マターということもあり、江東区議会議員である妻・三次ゆりかも一緒で、珍しく(?!)夫婦による視察です。
東部療育センターは、肢体不自由と知的障害が重複した「重症心身障害者(児)」を受け入れる入所・通所施設に加えて、医療機関を併設した総合センターです。
中でも特色は、人口呼吸器による呼吸管理や経管栄養などの高度な医療技術が必要とされる「超重症心身障害者(児)」を中心に対応していることで、入所者の8割近くがこの超重症心身障害者となっています。
こうした超重症心身障害者(児)の中に、私が以前から取り上げている医療的ケア児が含まれるわけですが、やはりこうした障害者・障害児に対応できる施設・専門人材は限られており、東部療育センターも例外ではなく高い稼働率が続いています。
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医療技術の発達により、超重症心身障害者(児)の数は増え続け、また幸いなことに寿命も伸びています。こうした局面を迎えて、
・受け入れる施設側の根本的なキャパシティ不足
・保護者が亡くなった後、どのように対応するか
が大きな課題となってきます。
現在わが国では介護と同様、障害者政策も「施設から在宅へ」の方針が取られています。
限られたリソースを活用するためにも、ダイバーシティ社会実現のためにも望ましい方向性ではある一方で、現実問題としてこうした超重症心身障害者(児)への在宅対応の負担は極めて大きく、また保護者が亡くなった後の在宅対応は実質的に不可能です。
じゃあ施設の受け入れキャパシティを増やせるかというと、これも簡単ではありません。
東部療育センターを視察してお話を伺ったところ、問題は施設規模よりも人材確保にあるようです。
元より超重症心身障害者(児)への対応は人手がかかるのは勿論のこと、災害時・非常時にはかなりの人数がいなければ、安全に利用者を避難させることができません。
例えば東部療育センターは海抜3メートル地点にあり、津波被害も想定されています。真夜中に津波がきた際に、避難誘導に対応できる専門人材を何人常駐させることができるのか。
こうした観点から逆算していくと、仮に施設規模にまだ余裕があっても、入所者数は限られた数にせざるを得ないようです。
そこで仮に予算が豊潤につけられて、追加人材が雇えることになったとしても、一筋縄では行きません。
繰り返しになりますが、超重症心身障害者(児)に対応できる介護・医療技術を持つ人材は限られており、夜勤も生じる入所施設のハードワークを志望する人はさらに少数になるでしょう。
療育施設の社会的プレゼンスを向上させながら(ここで働きたい!と思える価値を発信する)、専門技術をもった人材を育成していく。
これからの政治行政には、この難しい舵取りが求められると言えそうです。
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また東部療育センターには未就学児向けの母子通所施設が併設されているのですが、稼働しているのはキャパシティの問題で週3日。
こちらは母子分離型ではなく、障害児と保護者と一緒に利用しなければならないため、母子分離型での対応を望む利用者の声も多くあります。
これは「療育」の観点から母子分離を避けている面がありつつも、やはり母子分離となれば施設側の受け入れキャパシティをさらに拡張しなければならないこともあり、こちらでも人材増強など抜本的な対応策が必要となりそうです。
少なくとも東部療育センターの管轄内では、医療的ケア児を持つ保護者が子どもを預けて働くためには、やはりフローレンスさんが運営する障害児専門保育園「ヘレン」以外の選択肢はないようで、「保育」という観点からもこの問題への注力は非常に重要です。
参考過去記事:
「医療的ケアが必要な障害児は、親と一緒に過ごすべきで保育は必要ない」?!都における障害児保育の脆弱さ…
http://otokitashun.com/blog/daily/13381/
こちらの課題につきましても、引き続き議会から改善に向けた積極的な政策提言を続けて参ります。
お忙しい中視察を受け入れていただいた東部療育センターの皆様、ありがとうございました。
それでは、、あた明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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