こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
本日は豊洲市場問題調査特別委員会と百条委員会による、豊洲新市場の合同視察が行われました。
…といっても、相変わらずバタバタしている百条委員会は結局視察が「自由参加」となり、百条委員会単独で所属しているメンバーで参加されたのは、民進党・共産党のお二人だけでした。いろいろな意味で大丈夫でしょうか。
実際の採水状況を見学。暫定値となっている第9回の再調査では、先進国で行われている最新の採水方法を駆使して、極めて慎重な採水が行われているそうです。
視察には専門家会議の平田座長も同席してくださり、直接意見交換やレクチャーを受けられる貴重な機会に。改めて、
「現時点で、豊洲市場の地上部分・建物内は科学的に安全である(むしろ都内の平均的な大気より綺麗なレベル)」
ということが確認できました。
もちろん移転判断は科学的な安全性だけはありませんし、経営面・都民感情などを含めて総合的な判断にはなりますが、現状に続いて
・第9回に検出された数値は妥当か否か
・仮に妥当だとしても、地上部分への影響は生じないのではないか
ということが専門家によって確認されれば、環境面で残る課題は「安心(風評面)」だけということになり、移転議論が一歩前進することが期待されます。
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これに先立って木曜日に行われた市場問題PTの会議では、築地市場内の建屋の違法性と耐震性の欠如が委員によって指摘され、大きな話題となっています。
築地市場6棟、耐震基準満たさず…違反の仮設も
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170223-OYT1T50099.html
>都によると、公共性が高い建物は、震度6強程度の地震に耐えられるようIs値0・6以上が必要。しかし、水産物を扱う仲卸業者の営業施設など計4棟は、業者側の協力が得られないなどの理由で本格的な耐震改修がされず、2棟は補強工事もしていないという。
(上記記事より引用、強調筆者)
築地市場は東日本大震災の際、震度5程度で倒壊こそ免れたもののかなりの被害を被りましたが、それもそのはず。メインである仲卸事業者の施設すらこの耐震性を満たしていない状況で、中にはIs値が0.4台という建屋もあるようです。
なおこれらは隠蔽されていたわけでもなんでもなく、公表データとして開示してあります。
いくつかの仮設施設が手続き上、使用期限切れとなっていたことは都の怠慢であり、厳しく糾弾されなければなりませんが、そもそも使用期限が過ぎた仮設施設を取り壊せなかったのも、抜本的な耐震工事を行うことができなかったのも、現場の事業者たちの意向(工事反対)を尊重したからに他なりません。
同じPT会議の中で、別の委員の方から
「移転ということで事業者のコンセンサスが取れたのなら、補修のほうがコンセンサスが取りやすいのではないか」
との趣旨の発言があったようですけども、個人的にこれはまったくの逆だと思います。
全面移転はほぼ平等に全員が不利益を分け合う一方、再整備のために玉突き工事(ローリング工事)を行うことは、立地によって順番や期間で著しい不平等が生じるからです。
「最新の技術を使えば、築地は再整備できる」
「かつては無理だったが、今ならすべての事業者が再整備に協力してくれる」
という一部から示されている見方についても、同様に楽観的すぎると感じています。なぜなら事業者の中には、現状維持以外のすべてに反対する方々が必ず一定数存在するからです。
この理由を知るには少し、踏み込んだ話をしなければなりません。以前に少し触れたように、築地の仲卸事業者の約半数は債務超過に陥っており、事実上の破綻状態です。より精度が高いと言われる金融機関の調査では、その数は約7割にのぼっています。
こうした方々は債務超過のため、行政が用意する低金利の融資すら利用することが危うく、一時休業や引っ越しの影響で被る不利益に耐えることができないので、移転であれ再整備であれ現状を動かすことには反対する可能性が高いのです。
また、いまの築地を一度でも見られた方はおわかりになると思うのですが、多くの事業者が店外のスペースにモノを置いて利用しており、ああいうのは基本的にグレー(というか黒)です。
もっと言えば、その土地を専有して商売をしていること自体が、なんら法的根拠がないケースすらありえるのは、築地市場の公然の秘密となっています。
現在地再整備ということになれば、こうしたケースはすべて整理することが強いられますが、果たしてそのコンセンサスが取れるのでしょうか。
こうしたグレー状態を一旦リセットして、「全員が(完全ではなくても)ほぼ平等に、法的根拠に基づいて区画を使いましょうね」ということで納得したのが豊洲市場移転であって、今の築地の中でその了解を取り直すことは、想像を遥かに超える困難が待ち受けているように思います。
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ということで、業界や都が改めて現地事業者の意向調査を行うという話も耳にする昨今。意向調査をするのは良いと思うのですが、その際にはぜひ現実的に
「再整備の場合、一時休業や現有地の縮小を余儀なくされますが、賛成ですか?」
というような意向を確認することが必要ではないかと思う次第です。
市場移転の決着に向けては、引き続き組織内や議会でもこうした視点での意見を提言していきます。
それでは、また明日。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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