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有権者によるネット投票での議員コントロールは可能か?bot議員が意思を持つとき…

日々のこと

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

今日は堀江貴文さんが主催するイベント「ホリエモン祭り」にゲストとしてお呼びいただき、2014年都知事選に立候補した家入一真さん、選挙プランナーの松田馨さんとトークセッションしてきました。

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話題は主に、選挙や政治全般に関することだったのですが、その中で堀江さんが斬新なアイディアを披露していました。

・都議選に向けて、クラウドファンディングで1億円くらい集める
・この資金で当選した議員は、意思を持たずに有権者のネット投票に従って賛否行動を決める「bot議員」になる
・これにより、限りなく直接民主政に近い政治や議会を実現する
・さらに、bot議員が過半数を取れば「議員をゼロにする」条例案を可決して、本当に直接民主政を実現しちゃうのもありかも?!

※bot
ロボットの短縮形・略称で、機械的な作業をひたすら行う自動化プログラムのこと等を指す

この場合、候補者は没個性で誰でもよくなるので、クラウドファンディングの資金で出馬した候補者たちはみんな、アノニマスの仮面を被ってポスター写真を撮って選挙活動をするそうです(笑)。

さて、現職都議会議員として、また一時期はまさにネットを用いた直接民主制を標榜したミニ政党にいた立場として、このアイディアを検証するといくつか大きな課題が見つかります。

まず、都議会議員が対応している議案は、豊洲や東京五輪のように面白い・わかりやすいものばかりではなく、むしろ8割以上は非常に細かくある意味では退屈なものばかりです。

実際に、地方議会で党員による擬似的な直接投票を実施しているドイツ海賊党はこの壁にぶち当たっており、党員投票の低投票率に苦しんでいるそうです。議案によっては、投票率が10%~20%になってしまうとか。。

参考:ドイツ海賊党の苦悩…偉大なる「素人集団」の挑戦の行方は?
http://otokitashun.com/blog/daily/7247/

こうした場合に対する対応策として、アイディアマン・堀江さんは

「経済の議案はこの人、福祉の問題はこの人にというように、自分が詳しくない分野については票を委任できるようにする

というアイディアもすでに持っていましたが、実はこれもすでにドイツ海賊党が実装済み。その結果、何が起こったかというと、

「弁舌さわやかで、見た目も誠実そうで賢そうな池上彰みたいな人」

に議題を問わず委任票が集中することになり、結局そういう影響力の高い人たちの意見が党内決定を左右する間接民主制・寡頭政が誕生してしまったそうな…。

二つ目の懸念は、「bot議員が意思を持つ」こと。

当選した直後は、クラウドファンディングに出資した人たちのネット投票で機械的に行動を決めていた議員たちが、その言うことを聞かなくなったり、最悪の場合bot党(仮)から離党してしまう場合もありえます。

というのも、大変残念ながら議員というのは「バッジをつけてしまえばこっちのもの」で、どれだけ公約を反故しようと有権者からの約束を破ろうと、罪に問われることはありませんし、その行動を止めることもできません。

元維新にいた某U女史などを想像すると、わかりやすいと思います…。ああいう人でも、任期が来るまで有権者はどうすることもできません。

議員というのはそれなりの権力を持っていますから、選挙から時間が経てばやがて「クラウドファンディングの資金で当選させてもらった」という意識が薄れ、自我が芽生えて暴走する可能性は十分にあります。

また、他党からの切り崩しも怖いです。

「bot議員なんてやってないで、我が党に来いよ。議会質問も自由にできるし、次回の選挙も安泰だぞ!」

なんて言われれば、何人かはなびいてしまうのではないでしょうか。というか、私が他党の議員だったら、絶対にbot議員の懐柔を図りますね。←

というわけで、この「bot議員構想」の成否は、一気に過半数を取って議会を掌握することだと思います。数人程度のbot議員では、上記の理由によりなかなか制御・継続が難しいのではないでしょうか。

ネットを通じた直接民主政の実現は、見果てぬ夢ですが、こうした形で実現する可能性もあるのかもしれませんね。

今年の都議選で堀江さんがチャレンジした場合、なかなか正面から応援はできませんが(苦笑)、アノニマス候補たちの動向を興味深く注視したいと思います。都議選の台風の目になるかも?!

というわけで堀江貴文さん、長丁場に及ぶホリエモン祭り、大変お疲れ様でした&ありがとうございました!来場者の皆さまにも大感謝。こうした場で政治の話ができるのは、本当にありがたいことです。

投票率の向上に向けて、様々な場で情報発信を続けていきたいと思います。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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