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完璧な民主主義も選挙制度も存在しない。○○なら勝てた!はナンセンス

日々のこと

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

委員会の質問ラッシュで都政については原稿を書きまくっている毎日ですので、気分転換に別の話題をば。

衝撃の大統領選挙から数日が経ちまして、今回の米大統領選挙では

「ヒラリー氏(敗者)の得票数が、トランプ氏(勝者)を上回っている」

という逆転現象が生じる見込みとなっており、米民主党議員たちが「選挙制度の欠陥だ!」として抗議の声をあげているようです。

敗者が100万票以上リード=民主に制度見直し論-米大統領選(時事通信) – Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161116-00000096-jij-n_ame

こうした現象が起こるのはアメリカの「選挙人制度」という、州ごとに勝敗が決まって当選に必要な「選挙人」を集めていく特殊な制度に因るものです。

ですが結論から言えば、私は米民主党議員たちが主張する「制度見直し論」はまったくのナンセンスだと思います。

仮に大統領選が選挙人制度ではなく、単純に全米での獲得有権者数を争う制度だったとすれば、ヒラリー陣営・トランプ陣営の選挙戦略はまったく異なるものになったでしょう。

具体的に一例をあげれば、トランプ陣営は人口の多いカリフォルニア州を敗色濃厚として早々に「捨てた」ためほぼ選挙活動を行わず、得票数でヒラリーに大きく水をあけられましたが、有権者数で争うレースならこうした行動は取らなかったはずです。

この一事から見ても、現行制度での結果やデータを持ち出して当てはめて、「こういう制度なら勝っている!」と論じるのはまったく無意味であることは明らかではないでしょうか。

実はこれは我が国でも見られることで、

「国民投票(全員投票)で決めよう!それなら勝てる!」

という主張もほとんど一緒です。脱原発や安保法案、あるいは築地移転などでも散見されるように、

「今の選挙結果は民意の反映ではない」
「世論調査(アンケート調査)なら、反対が多数だ!」

という理論を展開されるわけですが、直接選挙へと制度転換すれば有権者の意識や行動も変わりますし、各政党や為政者はそれを意識して行動をアジャスト(調整)していきます。

結局のところ、アメリカでも日本でも現行の間接選挙制度・代議制民主主義というのはよく出来ていて、少しくらいそのやり方をいじったところで結果も民意も早々に変わるものではないのです。

「完璧ではないにせよ、少なくとも卓越している」

建国の父の一人であるアレクサンダー・ハミルトンが、選挙人制度を論じた言葉だそうです。

「民主主義は最悪のシステムだ。ただしこれまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる仕組みを除けば、だが」

という、かの有名なウインストン・チャーチルの言葉にそっくりですね。

不完全で悩ましく、それにゆえに愛おしい民主主義という仕組みの中で、我々はもがき苦しみながら最適解を求め続けるしかないのです。

政治って面白いなと、こういう時に思うのでした。

明日もオリパラ委員会で登壇予定です。それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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