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「オリンピック憲章を読み直しなさい、勉強不足!」と怒られたので、改めて読んでみたのですが…

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

天候に恵まれた最高の週末ですね。どの議員さんもそうだと思いますが、11月は防災イベントや周年行事、地域祭りなどたくさんの予定が入っております。

さて、先日出演した「朝まで生テレビ」におきまして、私がかねてから問題視していた「五輪組織委は本来、都の監理団体にしておくべきだった」という旨を発言したところ、

参考:都政改革本部の提案は正論。五輪組織委員会はルールに則り、都の監理団体とするべき
http://otokitashun.com/blog/daily/12883/

元JOCでスポーツコンサルタントの春日良一さんに

「そんなことは不可能。オリンピック憲章に、五輪組織委は政治的中立を保たなければならないと書いてある。みんな勉強不足!きちんと読み直しなさい!」

と一喝され、反論しようと思ったところで田原総一朗さんにカットインされてしまいました。。

なので、この点について今日は補足・考察してみたいと思います。

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(私の左にいるのが春日さん。スポーツマンらしくきっぷの良いナイスガイですよ!念のため)

まず怒られたのでオリンピック憲章を改めて読み直してみましたが、少なくとも五輪組織委員会について「政治的中立が必要」なる記載は書いてありません。

2016-11-06

35 組織委員会 *

開催都市の国の NOC ならびに開催都市自身は、オリンピック競技大会の組織運営を IOC から委ねられる。NOC はこの目的のために、 組織委員会 (OCOG) 設立について責任を持つものとする。OCOG は設立時からIOC理事会に直接報告する

オリンピック憲章 P64より)

ただし、この組織委員会の設立について「責任を持つ」とされている国内オリンピック委員会・NOC(日本であればJOC)については、政治的中立が定められています。

NOC は自律性を確保しなければならない。 また、オリンピック憲章の遵守を妨げる恐れのある政治的、法的、宗教的、経済的な圧力、その他のいかなる種類の圧力にも対抗しなければならない

オリンピック憲章 P54より)

春日さんはここをつなげて、「組織委員会は政治的中立でなければならないため、都の下部組織にすることは不可能」と主張されているのだと思います。

また、組織委員会を規定した「OCOG(組織委員会のこと)は設立時からIOC理事会に直接報告する」という一文が、東京都が「特例」として組織委員会を監理団体から除外した根拠になっていると言えます。

さて、ここまでを前提として、論点は主に3つくらいでしょうか。

1. 五輪組織委員会に求められる規定について
2. 地方自治体の監理団体と、五輪憲章が求める中立性について
3. そもそもの五輪憲章の解釈について

まず1点目ですが、前述のように組織委員会に対して明確な政治的中立性を求める文面はありません。

NOC(JOC)やIOCとの関係の中で読み解いていくことになりますが、これは解釈の余地が残ります。ので、春日さんのいうように「ダメと書いてある!」と断じることは不適切ではないでしょうか。

そして2点目は、五輪組織委員会にもJOC並の中立性が求められるとして、地方自治体の監理団体になるとそれは失われるのか?という問題です。

五輪憲章が求めている「政治的、法的、宗教的、経済的な圧力、その他のいかなる種類の圧力」というのは、オリンピックが独裁者や宗教団体などの一部の勢力に政治利用されることを懸念していることは明らかです。

事実上の出資者であり、開催都市である都の監理団体になることと、この懸念内容が一致するかどうかは大いに疑問です。

ここに非常に厳格な政治的中立を求めていくのであれば、国や地方自治体が関係するあらゆる公共機関や施設(学校や財団、認定NPOなど)の中立性が疑われ、存在できないことになってしまいます。

そして3点目については、大雑把に言うと五輪憲章は国における憲法のようなものです。ご承知の通り、日本国憲法でもその内容・解釈を巡って様々な議論があるように、その理解は決して一つではありません。

憲章の理念を大事にしながら、開催国・開催都市にとって最もふさわしい形を模索していくのは当然のことと言えます。

というわけで長文に渡って考察してきましたが、五輪組織委員会を都の監理団体にする余地については、やはり十分に残っていると私は考えます。

ただ昨今のIOCなどの動向を見るに、今からそこまでの組織転換を行うのは極めて難しいのも事実です。

小池知事「調整会議は役目終えた」IOCと対話希望
http://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/1733672.html

一方で、機能を疑われていた調整会議がその「役目を終えて」、今後はIOCを含めた新たな形での意思決定体制が構築されていくものと思われますので、こうした動きには期待がもてるのではないでしょうか。

五輪憲章の理念を守りながらも、都民の財産が適切に使われる体制となるよう、引き続き議会からも監視の目を光らせ、政策提言を続けて参ります。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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