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議会が「議員同士で議論をする場に変わるべき」なのは、ずばり人口減少社会だからである?!

日々のこと

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
本日の夜はユースデモクラシー推進機構が運営している

「20代当選議員の会(1985年以降生まれの議員たち対象)」

の勉強会に、20代じゃないのにお邪魔してきました。
32歳のオッサンですいません…。

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ゲスト講師は元我孫子市長・元消費者庁長官の福嶋浩彦先生。
自身もかつて20代で当選し、長く議会・行政に携わってきた経験から

「人口減少社会と自治体 -議員の役割を考える」

というタイトルで講演をいただきました。
まず前提として、およそ多くの人が誤解されていることとして、

「地方議会には、議員同士が議論をする場所がない」

んですね。
皆さんが一般的にイメージする議会は「国会」なので、そこでは
安倍さんVS野党議員というように議員同士が議論をしている場面をよく見ると思います。

ですがこれは国会が「議院内閣制」であり、
政府・内閣が最大与党だから成立するシチュエーションであって、
首長(国会でいう総理)を選挙で選ぶという

「二元代表制」

と取る地方自治体の議会においては、
議論は首長(行政府)VS議会(立法府)という構図が基本になります。

このあたりの地方議会の実態については、
過去記事でも触れましたのでご参考に(中盤あたりから)。

議員の「ブログ発信禁止」で、地方議会は言論の府として完全に終わる
http://otokitashun.com/blog/daily/4046/

こうした状況に若手議員はみな薄々、

「ダメだろう、これは…」

と感じているわけですが、「なぜダメなのか?」ということについては
よく考えるとクリアに説明するのがなかなか難しかったりします。
これに対して福嶋先生の説明は、新鮮かつ納得感がありました。

ずばりその理由は

「人口減少社会だから」

…これだけいきなり言われると、何のことやらわからないと思います。
これまで日本社会における地方議会は、経済成長・人口増加を前提で運営されていました。
人口増加社会では、税収は基本的に年々上がっていきます。

そして技術の発達や権利意識の情勢とともに、
増え続ける市民たちからは

「もっと○○を充実して欲しい」
「行政が××というサービスを担うべきではないか」

という要望がどんどん出されます。
端的に言えば、旧来の地方議員の役割はこうした

「市民の要望を、議会を通じて行政に届けること」

でした。

そしてそれは、優先順位がつけられることがあっても、
基本的にいつかは実現されるものでした。そりゃそうですよね。
税収は増えてるし、有権者のいうことを聞かないと首長も議員も当選できないわけですから。

議員は要望を首長(行政)にあげる。
首長は議会で議員との議論を通じて、優先順位を決めていく。
でも、いつかはすべてがそれなりに実現されていく。。

こうした構図においては、
議員たちの意識は

「いかに自分の要望を、行政に早く実現させるか」

という方向に向くことになり、
議員同士が議論をするインセンティブや意味は希薄になります。
こうして自治体・行政の規模と支出は膨らみ続けてきたわけですね。

ところがこれからの日本では、
いかなる自治体であれ人口減少社会に突入します。
税収は激減しますし、実際に多くの基礎自治体がすでに財政破綻に瀕しています。

これからの行政は「何をやるか」ではなく、

「何をやらないか」
「何をやめて削っていくか」

を決断しなければなりません。
このような状態の行政に対しては議員たちはこれまでのように、
市民の「御用聞き」に徹しているわけは行きません。

そこで、議員たちの役割は劇的に変わります。
議員たちはそれぞれの支持母体となる市民たちの実態と要望を把握した上で、

「これをやめて、こちらをやるべきだ」
「いや、こっちの方が今こそ必要なものだ」

というのを議論し、取捨選択していく存在になるべきなのですね。

もちろん全員がそうだとは申しませんが、基本的に市民は自分たちの要望を
「部分最適」で判断します。そこをやや俯瞰した立場から、議論をして行政に
適切な解を示す役割こそ議員が担うべきではないか…という理論には、一定の説得力があります。

私も常々これからの議員は、

「何をやるかではなく、何をやめるかも合わせて主張するべきだ」

ということを財政面の観点から主張してきましたし、
これはそもそも人口増加社会でも行われるべきだったと思っています。

実際に今は栗山町などの議会では独自の議会条例が設定され、
「議会は議員同士が議論をする場である」と規定されたそうです。

ですが、この改革を両手を挙げて歓迎する議員は、
現状では残念ながら少ないでしょう。

「これはできません」
「これからは、自助努力も必要です」

などと主張する政治家は、
これまでの常識では当選などできるはずがないからです。
こうした議会改革には同時に、有権者の意識改革も必要になるでしょう。

ただ、人口減少社会の中で有権者にも少しずつ、危機感が芽生えているはずです。
我々若手地方議員がまず率先して、落選を恐れずに議会改革の旗を振る必要があるでしょう。

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福嶋先生の講義の前には、私も前説(?)として
選挙制度改革について少しお話をさせていただきました。

30代の少し年上議員として?!
心ある仲間たちと邁進していきたいと思います。

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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