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LGBT・セクシャルマイノリティにも「里親」という選択肢を!それは何より、子どもたちのために

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
本日はLGBT当事者・支援者団体と東京都職員が、
実際に顔を合わせて意見交換をする

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東京都×LGBT(第18回 市民と行政の協議会)
http://lgbtetc.jp/news/202/

こちらのイベントに参加をさせていただきました。
その中で、「LGBTと社会的養護」をテーマに活動する団体である
レインボーフォスターケア(RFC)の方が

「東京都は同性カップルを『里親認定基準』から排除しているのではないか」
「そのような対応をとっている理由は何か?」(要約)

ということを質問されておりまして、それに対する東京都の答弁が
「里親認定基準を読み上げるだけ」という残念な対応でしたので、
今日はこの点について突っ込んで取り上げたいと思います。

社会的養護・児童養護に関する過去記事はコチラから↓
http://otokitashun.com/tag/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%9A%84%E9%A4%8A%E8%AD%B7/

何らかの事情で親や保護者と暮らせない「要保護児童」を育てる
里親(養育家庭)という制度において、結論から申し上げますと
現時点では同性カップルは事実上、東京都では里親になることは困難です。

国が定める「里親制度運営要綱」においては、
単身者でも里親となることを排除しないなど、必ずしも同性カップルに対して
里親の門戸を閉ざしているわけではありません。

参考:厚労省「里親制度の運営について」
http://goo.gl/wQbwV6

しかしながら、里親認定基準は運営主体である
広域自治体が別途定めることになっておりまして、
東京都は国よりも厳格(なのか?)な基準を採用しています。

まず東京都では、里親になれるのは原則「夫婦」とされています。
これは「事実婚も可」とはされていますが、その配偶者には
同性パートナーは対象とされておりません。

単身者でも里親になれる
例外規定はあるものの、それがまた曲者なんです。

(5) 里親申込者は、配偶者がいない場合には、次の全ての要件を満たしていること。

ア 児童養育の経験があること、又は保健師、看護師、保育士等の資格を有していること。
イ 起居を共にし、主たる養育者の補助者として子供の養育に関わることができる、20歳以上の子又は父母等がいること。

東京都里親認定基準より引用。強調筆者

配偶者がいなくて補助者がいれば…という可能性は残しているものの、
その補助者を「子または父母」という血縁者に限るという徹底っぷり

行政区分においては同性パートナーは残念ながら「赤の他人」であり、
この補助者として認められることはありません。

つまり東京都の現時点における認定基準では、
同性カップルはほぼ完全に「里親制度」から排除されていると言えます。


ただし、家族と同居の単身者が里親になり、
その人に「たまたま」同性パートナーがいて同棲していた場合は、
理論的には里親となれる可能性はある。確認済。


なお特別養子縁組については、
同性カップルが行うためには民法の改正が必要。

一方で諸外国を見てみれば、アメリカや私も先日訪れたオランダなど、
多くの国で同性カップルが里親・養親として認められており
すでに多くの実績を挙げています。

家族のあり方が多様化していることは否定出来ない事実であり、
私は里親・特別養子縁組制度はLGBT・セクシャルマイノリティに対して
広く門戸を開いていくべきであると考えます。

ただ誤解してほしくないのは、それはあくまで
「子どものため」が第一義であり、マイノリティの権利擁護は副次的な効果です。
これは重要な点なので、先の質問をしたRFCの方も強調されておりました。

そもそも社会的養護は、子どものための制度。
不妊の夫婦、あるいは同性カップルなどは子どもが持てないので、
彼らのために里子・養子を…というものではありません。

一方で実の親に虐待されて要保護児童になってしまう事例が
後が立たない現在では、大事なのは血縁や形式ではなく、
子どもたちが健やかに成長できる居場所・環境を増やすことです。

その観点から海外の先行事例を見ると、

「LGBT・同性カップルも里親になれる」
「様々なタイプの里親の元に行ける可能性がある」

という選択肢が存在することは、確実にプラスに働きます。
増え続ける要保護児童に対して、里親候補者のリクルートは
どの国でも課題となっており、心ある同性カップルの存在は貴重な戦力です。

「いやいや、まずは実の親。それがダメなら、異性の夫婦に育てられるのが一番!」

という考えが、わが国では非常に根強いと思います。
しかし虐待を受けてきた要保護児童には様々なケースが存在し、
異性夫婦よりも

「単身者、あるいは同性カップルのほうが良い」

という場合も実際にあるのです。

イメージが湧きづらいと思いますので一例を紹介すると、
母親から激しい虐待を受け、女性と生活するとどうしても問題行動を
起こしてしまっていた児童が、男性カップルの元で健やかに成長した事例などがあります。

まさに社会的養護における問題の根深さと、
選択肢が増えることによる効果を証明するようなケースと言えます。

東京都の里親認定基準は昭和48年に定められ、
マイナーチェンジは繰り返しているものの、抜本的な見直しは行われていません。

価値観の変化や現代の家族のあり方に鑑み、
何より「子どものため」という観点から基準を緩和し、
施設での対応を余儀なくされている要保護児童たちの受け入れ場所を増やすべきです。

今日の夜にちょうど出席してきましたが、
いままさにこうした里親基準に関しましても、
東京都の児童福祉審議会での議論が行われている最中です。

こちらの行方に注視しつつ、
私も議会から積極的な政策提言を続けていきたいと思います。

本日のイベントで貴重な意見をいただいた関係者の方々・運営者の皆さま、
本当にありがとうございました!最後に「主義信条」を「趣味嗜好」と言い間違えて、
軽く地雷を踏んでしまい大変申し訳ありません…

それでは、また明日。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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