平成25年第四回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 おときた駿
質問事項
一 オープンデータへの取り組みについて
二 シェアハウスについて
一 オープンデータへの取り組みについて
東京都のオープンデータへの取り組みについてお伺い致します。近年の情報技術の急速な発展を受けて、行政データを電子的に二次利用可能な手法で公開していくオープンデータという概念が注目されています。我が国でも本年4月に初めて総務省により、行政が保有する情報のオープンデータ化のテストケースとして、情報通信白書のオープンデータ化が行われました。また6月に閣議決定された『世界最先端IT国家宣言』の中では、「行政が保有するデータは信頼性の高い基礎データとして、民間での利用ニーズが高いが、現状は公開データの二次利用に制約があり、機械判読(ソフトウェアによる解析・処理)が困難なデータが多い、目的のデータの有無や所在が分かりにくい、ビジネス等に活用できる多くのデータが公開されないままになっている等の要因から、公共データが十分に利用されていない。公共データの民間開放(オープンデータ)及び公共データを自由に組み合わせて利活用可能な環境の整備を早急に推進する必要がある」と明確に指針が述べられています。
こうした流れを受けて、オープンデータの先進自治体として注目されている千葉市では、すでに「推計人口、年齢別人口・町丁別年齢別人口、町丁別人口及び世帯数」や「千葉市保健統計(出生、死亡、婚姻、離婚、死産に関する統計情報)」などが加工しやすいエクセル形式かつ、二次利用可能なライセンスで公開されており、民間による新たな価値の創造が期待されています。日本の首都である東京都においても、このオープンデータ化の流れは避けて通れるものではなく、むしろその見本として強くオープンデータ化を進めていくべきと考えます。そこで、以下4点についてお伺いいたします。
1 現時点で、東京都が取り組んでいるオープンデータ化の施策や、実際に公開されているデータがあるのか教えてください。
2 情報公開にあたり、行政機関内のみで利用されるクローズドなデータと異なり、公開データについてはより慎重な対応が求められます。また、行政機関がデータを公開する際は二次加工の難しいPDF形式であることが一般的ですが、これを他者が利用しやすいフォーマットに転換すれば民間が創意工夫できる余地が生まれるとともに、情報改ざんなどのリスクが高まることが予想されます。こうした理由から、情報公開に積極的ではない自治体も多いのが現状ですが、東京都の現時点でのデータ開示に対する見解をお聞かせ下さい。なおデータ開示については、「これまで公開されてこなかった情報を公開すること」と「現在公開されているデータを、二次利用が可能な形式・ライセンスで公開すること」の二点が考えられますが、それぞれについてのお考えを教えてください。
3 今後、更なる情報技術の発展により、行政にはさらなる情報開示、オープンデータ化が求められることが容易に予想されます。今後の行政のオープンデータ化について、全庁横断的に検討を行っていく組織が不可欠であると考えますが、そうしたシステムは現時点であるのか教えて下さい。また、オープンデータ化への今後の展望を、具体的な施策があればそれとともに合わせてお聞かせ下さい。
4 最後に建設局に対し個別の事案についてお伺い致します。建設局が先月11月から取り組まれている「工事設計書の情報提供」は、民間からの需要が高いデータを公開する、素晴らしい取組です。全庁においても、このような「民間企業や住民から情報請求の多いデータ」を公開していくことが経済活性化に繋がると考えます。一方、素晴らしい本取り組みではありますが、オープンデータの観点では課題も残っています。
・情報を閲覧するために都庁まで出向かなければいけないこと
・提供データがPDF形式なため、データ加工が困難なこと
・これらのデータを二次利用することについて触れていないこと
これらの課題に対しては、例えば下記のような取組が考えられます。
・情報をインターネットを通じて公開する
・データを加工可能なエクセルやシェイプなどの形式で公開する
・クリエイティブ・コモンズ「CC BY」を明記し、二次利用を認める
実際に、今年の総務省の実証では佐賀県・福岡市にて、社会インフラや工事情報をインターネットを通じて公開し、建設会社のマーケティングや住民の安全情報として活用する実験が行われています。建設局として、この「工事設計書の情報提供」についてどう取り組んでいくか、今後の展望とお考えをお聞かせ下さい。
二 シェアハウスについて
東京都内におけるシェアハウスについてお伺い致します。近年、新しい居住形態として急速に注目を集めているシェアハウスですが、防災や安全面において不安のある「脱法シェアハウス」の横行に伴い、国土交通省は本年9月に「事業者が入居者を募集し、自ら管理する物件に住まわせるものは建築基準法上の寄宿舎」とする通知を行いました。これを東京都の建築安全条例に当てはめると、狭く危険な脱法シェアハウスだけでなく、URが提供する団地の4LDKを4人でシェアするといった一般的なシェアハウスまでも規制の対象となる可能性があり、多くの居住者が住まいを失うことになりかねません。実際にシェアハウスに対して行政指導を行うのは基礎自治体ですが、現場からは「業者が仲介するシェアハウスと、血縁家族が暮らす住まいに明確な線引きは難しい」「一戸建てを転用したシェアハウスに空地などないし、作れというのも困難だろう」と言った声もあると聞きます。そこで、以下の3点をお伺い致します。
1 国土交通省の通知に基づき、東京都建築安全条例を満たさないシェアハウスがいくつ都内に存在するのか、実態を把握されているのか教えて下さい。把握していない場合、今後の調査予定や進捗状況をお聞かせ下さい。
2 厳格に国からの通知と東京都建築安全条例を現状に当てはめることはほとんど現実的ではなく、東京都が独自に適切な条例改正を行うことや、国に対してシェアハウスの基準を改めて定めてもらうための働きかけが必要になるかと思います。狭く危険な脱法シェアハウスとは異なり、家族が数人で暮らしているのと同様の環境下で行われているシェアハウスには一定の配慮が必要かと思いますが、これに対する法整備について東京都の現時点での見解を教えてください。
3 仮に現状に則した法整備が行われない場合、現実に存在するシェアハウス用の住居や住人に対して基礎自治体と連携して今後どのような対応を行っていくのか、指針をお聞かせ下さい。
平成25年第四回都議会定例会
おときた駿議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 オープンデータへの取組について
1 現時点で、都が取り組んでいるオープンデータ化の施策や、実際に公開されているデータがあるのか伺う。
回答
情報公開条例では、情報公表施策及び提供施策の拡充を図り、都政に関する正確で分かりやすい情報を都民が迅速かつ容易に得られるよう努めるものと定められており、これに基づき、各局において、情報提供の量的拡大や質的な向上等に努めております。
例えば、総務局のホームページで、「東京都の統計」として、毎年度分の多様な統計データをPDF・HTML形式に加えて、エクセル形式でも提供しています。
なお、平成25年7月から九都県市首脳会議にて、千葉市の提案により、「ビッグデータ・オープンデータのまちづくりへの活用」をテーマに、各自治体が共通で保有している公共データを対象とした共通ルールの策定について検討しております。
質問事項
一の2 情報公開における現時点でのデータ開示について、「これまで公開されてこなかった情報を公開すること」及び「現在公開されているデータを、二次利用が可能な形式・ライセンスで公開すること」の二点について見解を伺う。
回答
情報公開条例では、情報公表施策及び提供施策の拡充を図り、都政に関する正確で分かりやすい情報を都民が迅速かつ容易に得られるよう努めるものと定められており、これに基づき、各局において、情報提供の量的拡大や質的な向上等に努めております。
質問事項
一の3 今後の行政のオープンデータ化について、全庁横断的に検討を行う組織が不可欠だが、そうしたシステムは現時点であるものなのか。また、オープンデータ化への今後の展望について、具体的な施策があればあわせて伺う。
回答
都はこれまでも情報公開条例に基づき、各局において、公文書の開示のほか、重要な基本計画や主要事業の進行状況等について、都民からの開示請求を待つことなく、情報の公表や提供に取り組んできております。
今後も引き続き、都政に関する正確で分かりやすい情報を都民が迅速かつ容易に得られるよう、関係局連携のもと、情報公開の総合的推進に努めていきます。
質問事項
一の4 建設局が平成25年11月から取り組んでいる「工事設計書の情報提供」について、どのように取り組んでいくのか、今後の展望と見解について伺う。
回答
工事設計書については、これまで東京都情報公開条例に基づく公文書開示請求により個別に開示の対応を行ってきました。
近年開示請求の件数が増大していることから、開示請求を待つことなく原本と同様の様式や体裁で情報提供することによって利用者の利便性を向上させ、かつ、行政運営の効率化を図るために、建設局では平成25年11月より工事設計書の情報提供を試行として始めたところです。
今後も工事設計書の情報提供については、試行による状況を踏まえつつ、適切な運用に努めていきます。
質問事項
二 シェアハウスについて
1 国土交通省の通知に基づき、東京都建築安全条例を満たさないシェアハウスがいくつ都内に存在するのか、実態を把握されているのか伺う。把握していない場合、今後の調査予定や進捗状況について伺う。
回答
東京都や23区等の特定行政庁では、国土交通省の要請に基づき、違法貸しルームに対する立入調査等を随時、実施しています。
調査結果については、国が取りまとめており、建築基準法や建築安全条例ごとに集計されておりません。
引き続き、実態把握に努めてまいります。
質問事項
二の2 家族が数人で暮らしているのと同様の環境下で行われているシェアハウスについては一定の配慮が必要だが、これに対する法整備について、都の現時点での見解を伺う。
回答
各特定行政庁は、違法貸しルームについて、その形態が事務所や倉庫を改造したものから、一戸建て住宅を転用したものまで、様々であることから、随時、立入調査等を実施し、実態把握に努めています。
都としては、国から出された通知を踏まえつつ、安全面などに問題のある建築物については、その状況に応じて、適切な是正指導を行うことが必要と考えています。
質問事項
二の3 現状に則した法整備が行われない場合、現実に存在するシェアハウス用の住居や住人に対して、基礎自治体と連携して、今後、どのような対応を行っていくのか、指針について伺う。
回答
各特定行政庁は、調査対象の建築物等の状況に応じて、関係機関等と連携を図り、適切に対応していくことが必要と考えています。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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