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平成26年12月19日 厚生委員会質問内容

〇おときた委員 初めに私の方からも指定管理者制度についてお伺いいたします。
 平成十八年度より運用を開始された指定管理者制度は、競争原理を働かせつつ、民間事業者の手法を活用することにより、サービスの向上や経費の削減を図ることが主な狙いであり、今後も基本的には推し進めていくべきものであると考えます。
 福祉事業については、その特殊性から、コンペティションを行わずに特定業者の指定になることも理解はできますが、委託する行政と事業者の側には、常に一定の緊張感が保たれていなければなりません。
 今回、我が会派が主要政策課題として取り組んでおります児童養護施設の指定管理者の更新に当たりまして、その全てが東京都社会福祉事業団を指定管理者候補としておりますが、まずは、この事業者がいつから指定管理者として児童養護施設を管理されているのかを伺います。

〇西村事業調整担当部長 東京都社会福祉事業団は、都立施設がそれまで培ってきた利用者支援のノウハウを継承するとともに、時代の変化に対応できる柔軟で弾力的な施設運営を行うため、町田福祉園の開設を機に、平成十年度に設立いたしました。
 以降、順次都立施設の受託運営を進め、平成十二年度からは、都立児童養護施設の運営を始めております。
 その後、地方自治法の改正による指定管理者制度の導入に伴いまして、平成十八年度からは指定管理者として都立福祉施設を運営しております。

〇おときた委員 長きにわたり単一の事業者が管理をされていることがわかりました。
 そして今回も三年から五年という長期間、私、こちらは決して短くない期間だと思いますが、こちらを再びお願いすることになるわけですが、これまでの東京都社会福祉事業団への東京都の評価、こちらをお聞かせください。

〇西村事業調整担当部長 指定管理者による施設の管理運営状況につきましては、毎年度外部委員を含む委員会を設置して評価を実施し、その結果を施設運営に反映することで都民サービスの向上を図っております。
 また、指定管理者の候補者の選定に当たりましては、公募、特命にかかわらず、指定期間中の事業計画と法人施設の運営実績について、外部委員を含めた選定委員会において審査を行っております。
 こうした中で、東京都社会福祉事業団は、被虐待児や最重度障害者など、支援困難な利用者を受け入れ、専門性の高いサービスを提供するとともに、こうした利用者に対する支援のノウハウを民間福祉施設にも普及させており、都全体の福祉サービス水準の向上に寄与しているものと評価されております。

〇おときた委員 東京都及びその選定委員会は、福祉事業団の実績を高く評価しているということがわかりました。
 一方で私は先日、実際に同事業団が管理する石神井学園に足を運びまして、また、利用者や関係者からの評価もヒアリングいたしましたが、スタッフの人手不足や質の面、児童生徒への学習面でのバックアップ、そして退所した後のアフターケアなど、まだまだ改善すべき点は多く存在するように思います。
 そこで、この次の指定期間を迎えるに当たりまして、東京都は同事業団にどのような働きかけを行っているのか、今後の運営において期待することをお伺いいたします。

〇西村事業調整担当部長 今回の指定管理者の選定に当たりまして、東京都社会福祉事業団から提出された事業計画では、利用者本位のサービスを徹底するとともに、質の高いサービスを安定的に提供するため、人材の確保、育成に取り組むこととしております。
 児童養護施設においては、対象児童の居宅や職場を計画的に訪問し、生活相談に応じるなど、アフターケアを充実することや、新任職員に育成担当者を配置し職務を通じた能力向上に取り組むことなどが提案されております。
 都は、先ほど申し上げました指定管理者の運営実績の評価を行う中で、事業計画に沿って適切な運営が行われているか確認してまいります。
 また、社会福祉事業団は、監理団体として行政に対する支援、補完機能を担っており、現在、多くの児童養護施設、障害者施設を指定管理者として運営しております。
 今後とも、利用者サービスの一層の向上に取り組んでいくことを期待しております。

〇おときた委員 監理団体として密接な連携をとっていくということになると思います。
 繰り返しになりますが、事業の特殊性や安定性、また継続性の観点から、特命による指定を続けることは理解ができるものの、これがサービスの低下や惰性的な運営を招かないように細心の注意を払う必要があります。
 今後も、選定委員会とともに厳しい査定を行うとともに、民間の活力を生かすという指定管理者制度の意義を十分に尊重しながら、継続ということも非常に大事なんですけど、やはり緊張感を保つということも一面非常に大事だと思いますので、事業者と連携して、未来ある児童生徒によりよい社会的養護を与えられるよう、最大の努力を尽くしていただけるよう要望いたします。
 次に、補正予算の中から、事業所内保育施設の認可化移行支援についてお伺いいたします。
 来年度から施行される子ども・子育て支援新制度では、事業所内保育事業も区市町村の認可の対象になると聞いております。
 現行では、事業所内保育施設は認可外保育施設として位置づけられておりますが、まず、都内で事業所内保育施設として届け出されている施設は何カ所あるのかを伺います。

〇手島少子社会対策部長 平成二十六年十月現在、都内で事業所内保育施設の届け出がある施設は、三百六十七カ所となっております。

〇おときた委員 多くの事業所内保育施設が都内には既に設置をされており、本事業の対象となる可能性があることはわかりました。
 事業所内に保育施設を持つ事業者を地域型保育事業へ移行させる本予算の狙いは理解をできますし、待機児童解決のために打てるべき手は全て打つという明確な姿勢があらわれた補正予算については、高く評価ができます。
 ただ、利益を上げなければならない民間企業にとって、社員の福利厚生である事業所を地域へ開放することのメリットは、必ずしも明確でなく、本制度の普及活用には一抹の不安も残ります。
 そこで、本事業の制度設計と狙い、補正予算額、規模とあわせて、認可に移行することの事業所にとってのメリットについてお伺いいたします。

〇手島少子社会対策部長 事業所内保育事業は、子ども・子育て支援新制度において、待機児童解消を図るために、地域の児童を受け入れることが認可要件となっております。
 そのため、これまでの新規開設補助に加え、新たに既存施設の認可移行に必要な修繕費等の補助を創設することで、事業所内保育施設を活用して待機児童解消を図る区市町村を支援することといたしました。
 今回ご提案申し上げております補正予算案では、三カ所、約七千万円を計上しているところでございます。
 認可に移行する事業者のメリットについてでございますが、事業所内保育事業の区市町村認可を受けると、地域の子供だけではなく、従業員の児童につきましても、保育の必要性の認定を受ければ地域型給付が支給されることになり、事業者の負担が軽減されます。
 また、事業者の利用が少ない場合でも、地域の児童を受け入れることで利用者が確保され、経営の安定にもつながるものと考えております。

〇おときた委員 事業所側にとっても、CSRや広報的な側面だけでなく、事業所運営のコスト軽減等につながることがわかりました。
 補正予算額は約七千万円、三つの事業所が本制度を利用することを想定されているとのことですが、こうした制度はスタートが肝心ですので、制度をつくったものの利用者はいないという事態を招かないよう、最大限の努力をしていかなければなりません。
 本制度の利用に向けて、事業者にどのような働きかけを行っていくのかを伺います。
 また、こちらは新事業の補正予算ですので、来年度以降はどの程度の事業所数を移行させていく計画なのか、またそれによって都内で何名程度の待機児童が解消される見込みなのか、今後のプランについてもあわせてお聞かせください。

〇手島少子社会対策部長 都は既存の事業所内保育施設設置者に向けまして、今月、新制度の説明会を開催し、認可移行についての説明を行いました。
 また、保育の実施主体でございます事業所内保育事業者の認可権者となる区市町村に対しましては、先月末、補正予算案について説明をしたところでございます。
 一方、区市町村におきましても、認可移行を希望する事業者向けに説明会を開催している自治体もございます。
 都といたしましては、今後とも、保育担当の課長会など、さまざまな機会を捉え、区市町村に対し本事業の活用を働きかけてまいります。
 次に、待機児童解消に向けた計画についてでございますが、都は、さきにお示しをしました長期ビジョン中間のまとめにおいて、平成二十九年度末までに、保育サービス利用児童数を四万人分ふやす目標を掲げ、年末に策定をいたします最終報告で、その具体的な工程を示すこととしております。
 また、年度末に策定をいたします、仮称でございますが、東京都子供・子育て支援事業支援計画において、区市町村が策定をする保育サービスの整備目標を踏まえ、待機児童解消に向けた取り組みを盛り込むこととしております。
 その中での事業所内保育施設の認可移行計画数についてでございますが、保育サービスの整備は、地域の実情を最も把握をしている基礎的自治体であり、かつ、保育の実施主体でございます区市町村が、事業所内保育事業はもとより、認可保育所、認証保育所、認定こども園、家庭的保育事業、定期利用保育事業など、さまざまな保育資源を地域の実情に合わせて選択し、組み合わせ、計画的に進めていくべきものであるというふうに思います。
 今回提案をいたしました補正予算案は、これらの整備を進めていく区市町村の選択肢をふやし、取り組みを支援していくものでございます。

〇おときた委員 丁寧なご答弁ありがとうございます。
 こちらは新規の事業ですから、補正予算を審議するに当たっては、本体となる事業計画についても詳細を確認するべきと思うのですが、具体的な数値などについては、年末までに作成予定ということでお答えいただけないようで、そちらについては残念です。
 新規事業をスタートする場合、やはり中長期的な計画、そして数値からその実施の可否を判断するのが、やはり民間などでは当然のことですので、その頭の部分だけを補正予算として審議、そして決議しなければならないことについては、懸念を表明しておきます。
 とはいえ本制度は、区市町村の負担もない注目すべき東京都の独自の制度です。
 区市町村の取り組みを促すとのご答弁でしたが、窓口となる区市町村には、事業者への積極的な働きかけを行う、待機児童が多いエリアの事業所に関しては、いわば営業活動を行うというぐらいの積極性を見せていただきたく思います。
 東京都としても予算をつけるだけでなく、区市町村と連携してリーダーシップをとって、少しでも多くの事業所内保育施設が地域型へと移行し、待機児童解消に向けて寄与されることを強く求めまして、私からの質問を終わります。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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