「歳費返納の意向は取り下げたい」――。
参政党の初鹿野議員が当選前に掲げていた「歳費自主返納」の公約を、当選後にあっさり撤回したというニュースが報じられました。
公約違反の重さ
ここまで明白な公約違反は、実は案外と珍しいレベルです。選挙中に明確に掲げていた政策や行動方針を、当選直後に翻す――これは有権者への裏切りに等しい行為です。
しかも今回の選挙は僅差での勝利。もし「歳費返納」を信じて票を投じた有権者が一定数いたとすれば、その民意を踏みにじることになりかねません。やるせない思いを抱いている方は多いでしょう。
なぜ政治不信が広がるのか
こうした事例が積み重なるたびに、「どうせ政治家なんて約束を守らない」「選挙のときは耳障りのいいことを言っているだけだ」という政治不信が増幅されます。
特に今回は、議員本人の待遇・金銭にかかわることですから、その不信の最たるものです。
もちろん政治の現場に出れば、理想と現実のギャップに直面することは避けられません。全ての公約を100%遂行できる政治家など存在しないでしょう。
しかし「できない理由を正直に説明し、軌道修正を図る」ことと、「当選直後に公約を撤回する」ことはまったく別次元の話です。
今回のケースは、政治全体への信頼を大きく損ねるものであり、特に新興政党にとっては致命的なダメージになりかねません。
公約は「約束」ではないのか
選挙公約は「もし当選したらやります」という約束です。その約束をどれだけ守れるか、あるいは修正するときにどれだけ丁寧に説明できるかが、政治家の資質を測る大きな基準になります。
「有権者との約束をどれだけ重く受け止めるのか」。
今回の報道は、あらためて政治家一人ひとりが突き付けられている根源的な問いを示しているように思います。
終わりに
歳費を返すというのは、制度的に返納が難しくても「寄付」という形で履行できる、きわめてシンプルで個人的な公約です。
それを撤回するのは、やはり明白な裏切りにほかなりません。
政治家が信頼を失うのは一瞬。取り戻すには長い年月がかかります。今回の件を、他山の石としなければなりません。
おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 41歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)」
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