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特定秘密保護法、成立の夜に

日々のこと

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昨晩、都議会の本会議が終わったのが20時前ごろ。
特定秘密保護法案の採決が行われる参議院本会議の行方が気になって、
懇意にしている山田太郎参議院議員の事務所に電話をかけてみると

「ちょうど21時から本会議が再開です。傍聴券ありますよ!」

とのことでしたので、「あ、それ俺も行く!」と長時間の都議会本会議明けにも関わらず
ノリノリ(死後)な両角幹事長とともに、二夜連続で参議院の傍聴へと出かけました。

結果は皆さんご存知の通りなのですが、
簡単に参議院での採決へ至る流れをご説明したいと思います。

「与党が、民主主義を踏みにじるようなやり方をした!」

という批判が行われていますが、
具体的に国会では何が起きていたのでしょうか?

以前にご紹介したように、議会には「委員会」という組織があります。
本会議の前に、この細分化された委員会で十分な審議を行ってから
議案が採決されるというのが議会運営の流れです。

参考:所属委員会決定!…「委員会」ってなんだ?
http://otokitashun.com/blog/togikai/1376/

各委員会には「委員長」がおり、この委員長のポストは
与党が独占するのではなく、会派(政党)の人数に応じて割り振られます

これは、「少数の意見を汲み取ってこその民主主義である」という
議会運営の知恵から踏襲されている伝統で、強大な権限を持つ委員長ポストを
野党もいくつか持つことで、与党に対して駆け引きが行えるわけです。

委員長は、その気になれば意見の異なる委員に発言をさせなかったり、
質問を受け付けないまま強引に採決を強行することができます。
この委員長ポストを民主党は2つ持っていました。

ところが与党は、特定秘密保護法案に慎重な立場から
議論を尽くそうとする民主党委員長2名を、多数決で強引に解任。
自民党の委員長を立てて、法案の強行採決へと踏み切りました。

理論上、議会内で過半数を閉めていれば各委員会でも当然与党が過半数を
とっているわけで、多数決で委員長を変えようとすれば強行することができます

都議会でいえば、上田令子都議がいま環境・建設委員長を勤めていますが、
同委員会にはみんなの党は彼女1名のみで、自公の委員が過半数を占めます。
解任しようと思えばものすごく容易です。でも、それは通常ありえません。

そんな強引な運営をしないのが『慣習』であり、
少数意見を尊重するための古の『議会の知恵』だったわけです。
ところが文字通り禁を破って、与党はこのルールを踏みにじりました。

与党が強引に自民党委員長を立てて特定秘密保護法案を可決した
安全保障特別委員会の最後の議事録は、こうなっています。
※久米英一郎氏のFacebookより引用

【参考】参議院記録部作成の12/5委員会議事録(未定稿) 
(最後の強行採決の部分)

○委員長(中川雅治君) 石井浩郎君。(発言する者多し)
○石井浩郎君 ・・・(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
○委員長(中川雅治君) ・・・(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
[委員長退席]
午後四時八分  

正規の記録である「議事録」において、
採決された事実すら記されていません

おそらく、石井委員が採決を動議→委員長が採決を宣言→
自公の賛成多数で可決…という流れを強引に行ったのでしょう。

このように、参議院での法案審査は衆議院とは比較にならないほど
遥かに杜撰かつ強引なやり方が行われました。

実際に2日間、参議院を傍聴して肌身で感じましたが、
こんな信頼関係が絶無な状態では、修正協議に応じた法案とはいえ
みんなの党が採決を棄権したことも致し方なかったように思います。

それにしても法案可決直前の駆け引きは、まさに壮絶なものでした。

連日に渡る自民党委員長や、安倍内閣総理大臣への不信任案・問責決議案。
野党から厳しい反対討論が相次ぎ、それでも数の力で否決されると
民主党・維新の会・みんなの党は議場から退席。

この後、秘密保護法案への反対討論を棄権した形になった民主党が席に戻ってきて、
反対討論を行いたいと申し入れたため議場が騒然として進行がストップする場面もありました。
(傍聴席からスニーカーも飛んできましたし。汗)

ちなみに民主党は、なんか高度な戦略なのかと思ったら
単に内輪揉めしてたみたいですね…

10分でUターン、衆院と異なる対応=民主とみんな、採決で迷走―秘密保護法
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131207-00000023-jij-pol

みんなの党が賛成→棄権に回った理由は、上記に述べた通りです。
それでも3名の造反(反対)議員が出るなど、懸念点は残りました。

何はともあれ、昨晩可決された特定秘密保護法案。
前にも述べた通り、これで終わりでは決してありません。
この法案を、もっと言えばこの国がどうなるかは、自分たち次第。

今回、政治系アイドル(?)の春香クリスティーンさんをはじめ、
傍聴席に若い方が非常に多かったことを嬉しく思いました。
見知らぬ方から、

「都議会議員のオトキタさんですよね?ブログ読んでます!」

と突然お声がけいただいて一緒にあれこれ話したりもして、少しずつだけれど、
ネットというツールで横のつながりも感じられるようになってきています。

「どうせ国民はすぐ忘れる」

と政治家に思われれば、政治も社会も変わりません。
反対反対と大合唱はするけれど、決まってしまえば

「所詮こんなもんか」
「日本は終わりだ」

とシニカルに背を向ける…
安保騒動から繰り返されてきたそんな先人たちの過ちを、
僕達の世代は繰り返してはいけないと思います。

本当にこの国を、社会を変えたいと思うのなら、
活動にも闘いにも終わりはありません。

秘密保護法案の厳密な運用をはじめ、
引き続きたくさんの若者が政治に高い関心を持ってくれるよう、
私は引き続き情報の発信を続けていきます。

すんごい長くなりましたが(汗)、それでは今日はこの辺で。

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音喜多駿

おときた駿
参議院議員(東京都選挙区) 40歳
1983年東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ社員を経て、2013年東京都議会議員に(二期)。19年日本維新の会から公認を受けた参院選東京都選挙区で初当選。21年衆院選マニフェストづくりで中心的役割を担う。
三ツ星議員・特別表彰受賞(第201~203国会)
ネットを中心とした積極的な情報発信を行い、ブログを365日更新する通称「ブロガー議員」。ステップファミリーで三児の父。
著書に「ギャル男でもわかる政治の話(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」、「東京都の闇を暴く(新潮社)

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